錦糸町駅の繁華街から少し離れたところにあり、隠れ家のよう。
入口のドアの横はガラス窓になっており店内の様子が少し垣間見られる。

実際、店に入ると、オーセンティックバーならではの心地良い緊張感と美しい空間が目に映り別次元へと誘われたかのよう。その一方でどこか下町の親しみやすさも感じとれる。

「近年、錦糸町も大型商業ビルやマンションが増え、新たな住人がお客様として増えています」と言うオーナーバーテンダーの佐藤賢一氏。21歳から5年間銀座の老舗バーで修業し、20年前に縁あってこの地に念願の店をオープンさせた。

「歩んできた歳月を振り返ると最初の10年は営業していくのに一生懸命でしたが、その後は少し心に余裕ができ、各種酒の故郷である海外へ足を運ぶ機会を増やしました」。

ヨーロッパやカリブの島など毎年10日間ほど出かけ、その数は20カ国以上。「例えばアブサン(薬草リキュール)を求めてチェコに行った時は、事前に調べた情報とはまったく違っていた。やっぱり現地に行かなきゃ、ということを実感しましたね」

海外で集めた写真や絵画などもディスプレイ。

さらに、もともとアンティーク好きだった佐藤氏は、ボヘミアングラス、ベネチアングラスなどのアンティークグラスや、ゴブラン織のコースターなどを現地で収集。店のバックバーの照明に浮かび上がるグラスのコレクションが圧巻だ。

チェコのボヘミアングラスや、イタリアのベネチアングラスなど現地で手に入れた貴重なアンティークグラス。

その中で今回、ボヘミアングラスに注がれた「スチューベンのフルーツマティーニ」を味わった。繊細なグラスの模様がスチューベンの葡萄色に映え、うっとりするような美しさ。口中に運んだ深みのある甘さと爽やかさもグラスに見事に調和している。中世の貴婦人も同じように酒を味わっただろうか……。そんな想像を巡らせる時間もまた愉しい。

所作を見るのもオーセンティックバーの醍醐味。

【Selected cocktail】スチューベンのフルーツマティーニ

スチューベンのフルーツマティーニ

青森産のフレッシュなぶどうスチューベンを使った色鮮やかなマティーニ(1300円)。ボヘミアングラスとゴブラン織のコースターも気品を醸している。

※営業日時などについては要確認。

文◎岩谷雪美 撮影◎秋武生

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