複雑かつ立体的な伝説の
ジントニックを味わう

銀座のベテランバーテンダーに、「驚きのジントニックを出すバーがある」と薦められたのが「アンセム」である。そして、事実驚いた。

メイキングスペースに並ぶ炭酸は3種。ライムの皮に包丁目を入れること約50カ所。そして謎の粉をサッと加え、本来使わないはずのシェイカーが登場。一口飲む。なんて華やかな香りと重層的な味わい!

その謎解きを、マスターの浅倉淳氏にしてもらった。炭酸は植物の樹皮から取るキナ抽出分入りのトニックソーダと強炭酸水を合わせることで、複雑味と立体感を実現。

さらにライムに細かい包丁目を入れることで、劇的に香りが立つように。謎の粉は、キナ皮の粉末で、ほのかな苦味をプラス。シェイクするのは、一体感を持たせるためだ。

「バーのスターターであるジントニックがおいしければ、お客様の期待が高まるかと、つき詰めました」。
勉強家で気配りの人。同業者がくつろげるバーはそう多くない。

文/沼 由美子 写真/秋 武生