六本木で生き抜いて33年 今も客を温かく見つめる

外苑東通りから1本入った道に黒格子と赤文字の看板が灯る。そこが「バー六本木」だ。

「商店街の中に店を建てたし、女性のいない店で無愛想な男がバーテンダーだから苦しい時代もありました。常に生きるか死ぬかという気持ちでしたね」とオーナーバーテンダーの山下和志氏は昭和61年(1986)のオープン当時を振り返る。

当時を支えた客との思い出のひとつに漫画『BARレモン・ハート』の作者、古谷三敏氏との出会いがある。

「お客様がこの店は『レモン・ハート』みたいだ、と言うので読んでみたら男ひとりでバーを切り盛りしている話だった。おかげでひとりで店をやるのはかっこ悪くないと思えました。それで、古谷さんに手紙を出したらなんと店に来てくれたんです」

様々な客との出会いを経て、今では六本木を代表するバーに。

「お客様が笑顔でお帰りになる時、いつも幸せを感じます。これからもそうして六本木で生き続けたいです」

文/奥 紀栄 写真/遠藤 純