“銀座のバー”の正統を守る 名店の矜持に満ちた一杯

バーテンダー・保志雄一氏がカクテルと出会ったのは学生時代にアルバイトをしていた宇都宮の名店「パイプのけむり」。酒といえばビールかウイスキーくらいしかなかった当時、色鮮やかなカクテルに魅了された。

同時に世界のカクテルコンペティションで活躍するオーナーバーテンダー・大塚徹氏の活躍を間近で見て、“酒で世界に挑戦できるのか”と衝撃を受けた。

以来42年間カウンターに立ち、自身も国内外のコンペティションでの受賞を重ねてきた。基本に忠実に、そして先駆的に。氏のもとでそんな“保志イズム”を学んだ後進たちが今、銀座のいたる所で店を構える。

伝えたいのは確かなプロの技術、そして気遣いだ。「間違いのない本物を提供すること。それが銀座という街が持つ伝統です」。

銀座が家なら後進の一人ひとりは家族だと、保志氏は続ける。街と酒と人を愛する氏が作るカクテルが、今夜もカウンターを彩る。

文/奥 紀栄 写真/秋 武生