カリブのラムに惹かれ 随一のラムバーを開く

西麻布の路地に看板のない一軒の店がある。そこが、ラムを専門に置くバー「タフィア」だ。

平成11年(1999)、多東千惠氏は、当時働いていた都内のバーで一杯のラムに魅せられた。その名は、ホワイトラム「ペールラバ」。

「それまでのラムのイメージを覆す甘みと滋味深さでした。サトウキビが原料なのに磯の香りがする、このダイナミックなお酒がどうやって造られているのか知りたい、と思ったんです。だからカリブへ飛んで、蒸留所でラムの基礎を学びました」

何度かカリブを訪れたのち、日本でも日常的にラムを飲む人が増えれば、という思いから、平成14年(2002)にタフィアを開いた。その志は今も全く変わらない。

「友達に『店も子育てと同じだね』と言われました。子育ては日常だから辛いことがあっても辞めようがない。だからこれからも続けていくだけです」。そう語る多東氏の目は、どこまでも真っすぐである。

写真/遠藤 純