840ねも|東京・台東区のオーセンティックバー

ねも|東京・台東区のオーセンティックバー

男の隠れ家編集部
編集部

ギネス級を誇る数のボトルは 全て飲むために揃えられた

浅草六区からほど近い場所に地元・浅草は言うに及ばず、世界中からそこを目指し、足を運ぶ人が絶えないバーがある。それは数ある老舗の中でも、群を抜く存在感を発揮するバー、「ねも」である。

その扉を開けた刹那、まず目に飛び込んで来るのはピカピカに磨き上げられた長いカウンター。そしてその背後には、圧倒され息をするのも忘れてしまうほどの数のボトルが並んでいる。しかも表のボトルの奥にも、さらにボトルが並ぶ。
「スコッチウイスキーだけで8400種類はあります。ボトル総数でいえば8万本は下らないでしょう」。

と語ってくれたのは2代目オーナーの根本寛氏。それだけのボトルは、さすがにバックバーに全て収めることは不可能だ。実はカウンターの裏側に、寛氏が企画した「洋酒博物館」があり、そこに収められているのだ。もちろん「全てのボトルはお客様に飲んでいただくためのものです。単なるコレクションとして集めたわけではありません」。

ボトルの数はまさにギネス級と言われるねもは、もともと根本氏の父である根本元吉氏が昭和35年(1960)に開店させた店だ。昭和7年(1932)生まれの父は浅草育ち。公務員になるも27歳で退職し、バーテンダーの道に入る。そして日本バーテンダー協会の役職を歴任し、その地位向上に尽力した。さらに業界の神様と称されるほど、卓越した技量の持ち主でもある。今もすぐ隣で「バー&レストランねも」のマスターを務めている現役選手だ。

「私の師匠は父です。口うるさく仕込まれたのではなく、普通は経験できない接客の妙や知識などを、体験から学ばせてもらったのです。その意味からすれば、親の七光りです」
と、根本氏はあくまで謙虚だ。しかしその知識、目利き、技術、マナーのすべてにおいて超一流を身に付けたのは、根本氏の努力の賜物だ。今宵も店内には「お客様の笑顔」があふれているだろう。

文/野田 伊豆守

編集部
編集部

いくつになっても、男は心に 隠れ家を持っている。

我々は、あらゆるテーマから、徹底的に「隠れ家」というストーリーを求めていきます。

Back number

バックナンバー
More
もっと見る