まるで“ウナギの寝床”なお店へ
西木屋町四条上ル。飲み屋が並ぶ細い路地が縦横に交差する一角に「立ち呑み」の提灯が灯る。期待しながら店に入ると、奥まで長く延びた店内にはペタペタと品書きが貼られ、開店早々なのに賑わいを見せている。
「ここは魚が旨いよ」と常連さんからアドバイスをもらう。店主の渡邊周さんおすすめの「本まぐろ脳天トロ」と福井の酒「一本義」で一献を。超辛口でキレのよい酒とトロの脂が、たんまりと口の中でひとつになり、酒→トロ→酒の連鎖が止まらない。
「お客さん同士、節度をもって楽しく、がうちのモットー(笑)」と渡邊さん。1人で来る客も多いが、店でよく会う常連同士だからこその振る舞い方がある。それをよく知る店主の店は限りなく心地いい。
だしの効いた京都らしい味付けのおばんざいをはじめ、酒と一緒に食べたくなるメニューの数々に舌鼓を打ちながら、気取らない雰囲気と気さくな店主の笑顔に癒されたくて今夜もついつい足が向く……。
呑める銘柄
一本義、香住鶴、花垣、月桂冠ほか
※新型コロナウイルス感染症対策のため営業時間・定休日に変更の可能性あり(2016年取材)
文/郡 麻江 写真/木下清隆