42229“オクシズ”で生まれる3年物の至宝ウイスキー 「ガイアフロー静岡蒸溜所」

“オクシズ”で生まれる3年物の至宝ウイスキー 「ガイアフロー静岡蒸溜所」

男の隠れ家編集部
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静岡市北部に設立された意欲的な蒸溜所は、他にはない製造設備を備え、個性豊かな味を追求する。将来は“オール静岡のウイスキー造り”を目指す。

■好きな事を突き詰めた情熱が静岡をウイスキーの聖地に

真新しいポットスチルがひと際目をひく。蒸溜所は見学ツアーも行なわれている。ウイスキー好きなら足を運びたい。

時には偶然が必然だと思えるような事柄が起こることがある。平成24年(2012)に設立したガイアフロー(株)が、その2年後から静岡市玉川地区にウイスキーの蒸溜所を設立するために奔走する経緯は、まさに必然によるものと思われる。

ガイアフローを設立したのは静岡県清水市(現・静岡市清水区)出身の中村大航さん。氏は造り酒屋の跡取りでも飲食関係の仕事に携わっていたわけでもない。ウイスキー好きが高じて平成24年(2012)にスコットランドを訪れ、アイラ島やジュラ島の新興蒸溜所を巡った。その最後に訪れたベンチャーの小さな蒸溜所、キルホーマン蒸溜所に中村氏は衝撃を受け、そして、こう思った。

「自分もできるかもしれない」

まずは国産ウイスキー造りの先達、秩父蒸溜所の肥土伊知郎さんに相談した。その答えは「まずは業界に入ってみる」というものだった。そこで別の事業として立ち上げたガイアフローでウイスキーの輸入からスタートさせた。と共に国内外のウイスキー蒸溜所、ビール醸造所、ワイナリーなどを訪れ、研鑽を積んだ。

さて、蒸溜所建設の場所だが、地元の静岡市は平地が少ないため難しいのではと考え、全国各地を探した末に偶然見つかったのが、地元静岡の玉川地区だった。ここは山間地帯だったが、1990年代の開発で丘陵が削られ平地になっていた。しかも有効な活用法が見つからず、間伐材と共に放置されていたのだ

こうした出会いに支えられ、平成28年(2016)11月に第一弾原酒が完成。この蒸溜所で特筆すべきは、スコットランドのフォーサイス社製の薪直火蒸留機を使用している点だ。スコットランドでも直火加熱は少なく、しかもガス加熱。つまり薪の直火を採用している蒸留機はここだけで、世界唯一ということになる。燃料となる薪はもちろん、静岡県産のものを使用。令和2年(2020)にはシングルモルトもリリース開始。さらに長期熟成のウイスキーも期待したい愉しみな蒸溜所なのだ。

スコッチの本場・スコットランドのフォーサイス社が製造した、世界で唯一の薪の直火を使った蒸留機も備えているのも特筆ものだ。フォーサイス社製としては間接加熱蒸留機もある。

■静岡の山間部発極めの味が世界に飛躍

南アルプスの山々を源とする安倍川支流の、清流に恵まれた地に建つ蒸溜所は、ウイスキーの熟成に適した環境に囲まれているのが一番の強み。

自然との調和により生まれた「繊細な味わい」は、今後も進化を遂げるであろう。蒸溜所に足を運んだ人には、自然や美味な食材が豊富な“オクシズ”の魅力も、同時に知ってもらいたいとのことだ。

■静岡の自然と調和した新しい国産ウイスキーの誕生

・樽単位で予約「プライベートカスク」

自分だけのウイスキーをという願いをかなえる「プライベートカスク」の予約を実施している。麦芽(英国産ピーテッド麦芽・日本国内産ノンピート麦芽)と初留の蒸留機(薪直火蒸留機・間接加熱蒸留機)が選択可能。内容量50ℓで、3年間熟成させた後でボトリングして手元に届く。毎月の抽選が実施され、当選者のみが予約できる希少な商品。詳しくはホームページより。

文/野田伊豆守

ガイアフロー静岡蒸溜所

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