髙木晋吾さんは大学時代から日本酒好きで、28歳の時に日本料理店で燗酒の美味しさに出合い、燗酒の道に。

カウンター内には湯温が60度と80度の2種類の湯燗器を用意。二つを使い分けて燗をつける。例えば、火入れした酒は60度でじっくりとお燗する。通常は燗にしない生酒は80度へ。

「生酒は中途半端に燗にすると生臭くなります。80度に入れて一気に温度を上げると、嫌な匂いや苦みが消えて美味しくなります」

フルコースで味わう日本酒の例は、左より「丹澤山」「悦凱陣(よろこびがいじん)」「王禄」「旭日」「昇龍蓬莱(しょうりゅうほうらい)」「るみこの酒」。

さらなる魔術師の極意が「デキャンタする」ことだ。チロリで熱くした酒を徳利に移し替える際に、何度も空気に触れさせて酒を柔らかくする。10年、20年寝かせた熟成酒は何度もデキャンタすることで、強い熟成香が消えて、とげがなく優しい味わいになるという。

「世界のアルコールの中で温度によって違う愉しみ方があるのは日本酒だけ。5度刻みで名前があり、お燗番という仕事がある。人間の舌は冷酒よりも温かい酒の方が甘味や旨味を感じます」

燗酒と共に味わう酒肴は、肉料理をメインに提供している。日本酒は燗酒にすることで、脂っこい料理や濃い味付けの料理にも相性が良くなる。出身地の岐阜から届く肉やジビエを肴に、魔術師のつける熱燗に酔いしれたい。

髙木さんの地元・岐阜の酒「竹雀」(1合1,100円)と岐阜鹿肉スペアリブの中華風煮込み(1,200円)。温度差を愉しむために、杯は大きめの平盃を使用。
蒸しカキ(750円)はオイルと甘辛ハリッサで。

文◎阿部文枝 撮影◎遠藤 純

えんじゃく、

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