里山の美味な食材を味わえる
山人料理が自慢の宿

雄大な谷川岳の山容と、奥利根川湖など利根川上流の水源風景が広がるみなかみ地方。群馬県を代表する温泉地のひとつ「水上温泉郷」は、連なる18カ所の温泉地から形成されており、高い泉質と豊富な湯量を誇っている。

そんな大自然のなかに佇む田舎宿が「蛍雪の宿 尚文」だ。冬には雪が周辺の景観を白く染め上げる。四季ごとの表情が愉しめる空間に包まれた建物には、天然木や天然石が使われており、一歩足を踏み入れると、自然の呼吸を感じるかのような雰囲気が感じられる。

客室にも呼び出しがあるまでスタッフは来ないという、つかず離れずの程良い接客が受けられる。

尚文では別名「宝珠の湯」と呼ばれる向山温泉の湯を惜しみなく使い、無料で入浴できる3種の貸切風呂に注がれている。貸切風呂のひとつ「蛍雪の湯」は、自然の息吹が感じられる半露天風呂。冬、外へと目をやれば、真っ白な白銀世界が眺望できる。

ほかにも「岩の湯〈壱〉」と「岩の湯〈弐〉」がある。どちらの浴場も利根川の水辺を思わせる勇壮な岩造りの設え。無色透明で肌あたりの良い柔らかな湯に浸かり、ほのかに灯る照明に照らされながら、大自然に融け込むかのような雰囲気が味わえるのが特徴だ。

貸切風呂は40分制だが、予約が空いていれば無料で何回も利用することができるのは嬉しい。

湯上がりには、休み処にある無料の利き酒コーナーで軽く1、2杯いただくのも良い。夕食は個室の食事処で。

もともと畑仕事と宿泊業を兼業していたというだけあって、食へのこだわりが強い。現役の猟師でもある料理長が生産者の元に足を運び、山人料理に使用する食材を仕入れている。さらに、全ての料理には良質な標高約900mの場所から出る天然水を汲み上げて使用。

食材も一つひとつ手作りにこだわり、味噌の仕込み、調味料作りなどもこの宿で行われている。肉は群馬のブランド肉・尾瀬ドリームポークや上州麦豚、赤城地鶏と地元の味が並ぶ豪華なラインアップだ。

そして尚文ではこだわりの朝ごはんもお勧め。旬の野菜を使った「田舎煮物」や、地元の精肉店「育風堂」から取り寄せ、肉の旨みがぎゅっと詰まったソーセージ、20年以上も作り続けているという「手づくり胡麻豆腐」など、一日の始まりを快活にさせてくれる充実の内容だ。

田舎に帰ったような素朴だが温かみのある宿で、田舎ならではのおもてなしを心ゆくまで堪能したい。