森の木々に囲まれて佇む離れ客室にふたりだけの穏やかな時間を紡ぐ

江戸時代末期より五頭山の麓で温泉宿を営んできた老舗の湯宿。6000坪の広大な敷地の中には清水が流れ、多くの山野草が自生する。静かな森は冬になり雪が降ると、水墨画の世界が広がる。

森の中に明治時代や大正時代に造られた客室が、離れ形式で点在している。どの部屋も趣が異なった造りで、一部は登録有形文化財だ。わずか10室。温泉付きの客室が3部屋、ベッド客室もある。

「チェックインから食事、チェックアウトまで全て部屋で済ますことができるので、他の宿泊客に会うことがなく、ふたりでゆっくりと滞在できます。冬は全客室にこたつを用意しました」

村杉温泉は開湯より約700年。全国有数のラジウム温泉だ。ラドン(自然界にある放射能を持つ元素)が新陳代謝を促し疲労回復、美肌効果、老化防止などの効能がある。冬にこそお勧めの温泉だ。

食事は夕朝とも部屋食。夕食は月ごとに変わる会席料理で、新潟の山海の冬の味覚を堪能できる。

文/阿部文枝