本と食とコーヒーのある図書スペース
“Bibliotic ビブリオティック”は、図書館をもじった店名。「図書館のような空間でお茶が飲めたら……」。店主の小山満也さんのそんな思いが形になったカフェは、2002年12月のオープン以来、京都のブックカフェの先駆け的な存在として人気を集めている。
もともと呉服店だった築120年の町家をリノベーションした店内は、梁や柱をそのままに、2階の床を半分取り払って吹き抜けにした空間が気持ちいい。そこに小山さんがこだわる、天井まで届く本棚、木製の大テーブル、暖炉がわりの薪ストーブを設えた。
窓際のテーブル席に座ると店の外に植えられたバナナの木と大きな葉が、南国的な雰囲気を湛えながらガラス窓に映り込む。一見アンバランスに思える町家と東南アジアの融合が、不思議と心地いい。
首をついっと反らして見上げる本棚の高さは約8mもあるという。そこに埋め尽くすのは小山さんが長年集めてきた様々なジャンルの本、本、本である。アートやデザイン系のジャンルをメインに、小説や古い雑誌もあり眺めるだけでも面白い。
「想像力が膨らむビジュアルで見せる本が中心です。50~60年代のヴォーグや80年代のポパイといった雑誌も揃っています」
見渡せば客は皆、思い思いに食事や会話を楽しんだり、ひとり読書に没頭して過ごしている。イタリアンと日本食のシェフが常駐していることもあり、料理やデザート類のメニューが充実しているのも特徴だ。ハード系パンを焼くベーカリーも隣接しており、読書のみならず、食を目的として訪れても心が満たされるはずだ。
文/岩谷雪美 写真/佐藤佳穂