一徹な料理人がカウンター越しに
提供する妥協なき旬の味

中京区河原町通四条上ル三筋目東入ル……。目指す「割烹 濱喜久」が位置するのは、河原町通と木屋町通に挟まれた京都の繁華街の中心部とも言うべきエリアの一角。

賑わいを避けた路地に、しっとりとした風情を漂わせて佇んでいた。近くには土佐藩邸跡や坂本龍馬遭難之跡など幕末の史跡も数多く見られ、高瀬川のせせらぎとと共に新旧の京都の魅力が息づいている。

店名が浮かぶ行灯と風に揺れる暖簾。白いその暖簾をくぐって引き戸を開けると、店内には磨き上げられた檜の一枚板のカウンター席が存在感を放ち、これぞ正統派割烹店の趣に、思わず心が躍るのを覚えた。

主人自らが腕を振るい、客と対峙して料理をもてなす。ほど良い緊張感と、主人との和みの会話が料理の味わいを深めるカウンター席でのひと時。2階に座敷もあるが、やはりお勧めはカウンターだ。

「直接、顔を合わせるからこそ、お客様の細かい注文にもお応えすることができます。多め少なめ、火の通し方など、お好みを遠慮なくおっしゃってください」と話す、三代目主人の宮脇一さん。

コースの中に〝好みでないのものが並んでいる〟ということがないよう、最高の食事の時を愉しんでほしいという思いからだという。食材も常に旬を先取りして現地調達。

「予約時に言っていただければ、極力ご用意いたします。4月末にはハモも美味しくなりますよ」

そんな会席コースももちろんだが、お昼ご飯でもそのこだわりの料理が堪能できる。いただいた「松花堂弁当」(4000円)は、お造り、炊き合わせ、天ぷらなど一品一品手をかけた料理が彩りよく盛られた正統派。

なかでも自家製鴨ロースの燻製、天然ビワマスの味噌漬けなどが舌に印象深く残った。味わうほどに感じる京都の粋と滋味。それは卓越した技と厳選素材、そして主人の心意気が映し出されているからなのだろう。