昔日の繁華街に佇むこれぞ大坂酒場

暖簾をくぐるとその先は、酒好きの世界が広がっている。

店の前に立った瞬間、「これぞ大阪の大衆酒場!」と思わず手を打ちたくなるその構え。

ビールの名前が記された大きく存在感のある暖簾と、“ミヨシ正宗”の古い木看板。積まれたビールケースがずらっと並び、自転車までもが昭和な情緒を醸している。

目を引くコの字型のカウンター席。ひとりで訪れても落ち着く場所だ。

さらに暖簾をくぐった先には、これまた思い描いた通りの空間が。「いらっしゃいませ~」の声と共に座したカウンター席は理想的なコの字型を成し、赤い丸椅子とのバランスもいい!

懐かしさ満点の品書き。
テーブルの醤油類は、酔っぱらっても間違えないよう太文字で。

ひとり昼呑みのための特等席と言わんばかりの光景は感動的ですらある。

店の開業は50年余り前。長い間、京橋で愛されている。今は三代目の高橋謙二さんが店主だ。

「何しましょう?」「どこからですか?」。関東煮(おでん)を前にしたカウンター席では店の人とも話が弾む。そんな時間も楽しみだ。

ビールはもちろん、先代から扱っている広島県福山のミヨシ正宗と共に味わいたい料理は数多く、定番から本日のお勧めメニューまで200前後と盛りだくさんだ。もちろん値段は嬉しい京橋価格である。

サバの煮つけ(300円)、天ぷら(200円)。
広島県福山の清酒・ミヨシ正宗(1合280円)が店の定番。昔ながらのガラスの徳利と店の名前が入ったお猪口で一献。ほかではなかなかな食べられないドジョウの唐揚げ(350円)と共にちびりちびり味わいたい。もちろん焼酎、チューハイ、ワインと何でも揃っている。
京橋の大衆酒場の代表的な一軒。カウンター28席、テーブル34席のゆったり空間は居心地もいい。店の外に下がる暖簾は、11月〜4月は紺色に“ミヨシ正宗”を染め抜いた暖簾に変わる。いかにも大阪の酒場らしい賑わいと居心地の良さを感じる店だ。

文/岩谷雪美 写真/秋 武生