6598京都の“せんべろ”。昼呑み客が殺到する「たつみ」|京都府・四条河原町にある昼呑みの名店

京都の“せんべろ”。昼呑み客が殺到する「たつみ」|京都府・四条河原町にある昼呑みの名店

男の隠れ家編集部
編集部
京都・四条河原といえば、観光客で溢れかえっている場所だが、そんな喧騒な場所から路地ひとつ入ると違った景色がみえるのも京都の特徴だ。“裏寺町”と呼ばれる一角に開店と同時に昼呑み客で一杯になる大衆酒場「たつみ」がある。

酒も肴も超充実した庶民の味方

観光客であふれ返っている四条河原町から、ほんの少し路地を入っただけで、時間軸が50年ほど逆戻りした錯覚に陥る一角が存在する。裏寺町と呼ばれるそのエリアに、正午の開店と共に昼呑みの客が殺到するという、大衆酒場「たつみ」がある。

実際、昼の12時になり扉が開かれたとたん、それまでどこにいたのかと驚かされるほど大勢の老若男女が、店内に吸い込まれていく。少し遅れて店内に入ると、立ち呑みのカウンターに陣取ったひとり呑みの客たちは、みんな早くも酒が注がれたジョッキやグラス、などを傾け、目を細めている。

店内はまず立ち呑みカウンターがあり、その隣にはコの字型の着座カウンターがある。1、2人での来店の場合、このいずれかに案内されることが多い。さらに店の奥へと進むと、テーブル席と2卓分だけ小上がりの座敷が用意されている。どの席に着いても、周りの壁には“これでもか!”というぐらい手書きメニューの短冊が貼り付けられていて、これぞ大衆居酒屋といった風情を醸し出す。

「創業は今から50年以上前ですね。はっきりした年はわかりませんけど、最初のメニューは牛すじと串カツでした」と教えてくれたのは、客席の間を飛び回っていたスタッフの上田翠さん。この2品は今も人気というので、まずは持ってきてもらうことにした。それに脂の乗った「きずし(しめ鯖)」と「鯖のへしこ」「野菜の天ぷら」を注文。どれも日本酒と相性が良いと言われたので、燗酒をお願いした。

右は「きずし」と呼ばれているしめ鯖で400円。左は香住直送の「鯖のへしこ」で380円。きずしの鯖は脂の乗りが最高で、思わずお代わりを頼みたくなる。へしこは糠(ぬか)の風味が強く、ひと
切れで酒が3杯は進んでしまう。まさに美味。

トロトロの牛すじは、ひと口食べただけで牛肉の甘みが口いっぱいに広がり、思わず相好が崩れてしまう。日本酒はもちろん、ビールやサワー、ハイボールなどとの相性も抜群だろう。衣がサクサクの串カツは、軽い食感なので何本でもいけそうだ。驚かされたのはきずしである。口に含んだ瞬間、上品な脂の旨味が広がり、思わず杯を重ねてしまった。

日本酒だけでなく、自分で炭酸を注ぐハイボールや瓶入りのハイリキなど、庶民の懐に優しい酒が揃っているのもありがたい。京都とは思えない会計には感激だ。

文/野田伊豆守 写真/金盛正樹

編集部
編集部

いくつになっても、男は心に 隠れ家を持っている。

我々は、あらゆるテーマから、徹底的に「隠れ家」というストーリーを求めていきます。

Back number

バックナンバー
More
もっと見る