多くの車が行き交う河原町通と五条通に挟まれた一角に、かつては〝五條楽園〟という遊郭があった。

周囲には多くのお茶屋や置屋が建ち並んでいたが、今は静かな住宅街となっている。そんな雰囲気に溶け込むように佇んでいるのが「にこみ屋六軒」である。

元はお茶屋だった建物をリノベーションし、レトロモダンな雰囲気に仕上げられた店内は、昼でも薄暗くて落ち着く。

洋食屋や居酒屋で修業を積んだ店主・糸井一哉さんの物静かな佇まいも、店の雰囲気とマッチ。黒板に描かれた料理や酒を黙々と提供してくれる。

 日本酒は全国から選りすぐった銘柄が、常時10種類ほど用意されている。呑み比べがしやすい一合の半分の5勺から頼めるのがありがたい。

自家製のいぶりがっこをマスカルポーネチーズと和えたものやセロリのナンプラー漬けなど、酒によく合う創作料理がリーズナブルな値段で味わえるのも嬉しい。

文/野田伊豆守 写真/金盛正樹