靴を脱いで店内へ足を踏み入れると、板間のカウンターには様々な銘柄の酒瓶や、新鮮な京野菜が客を出迎えてくれる。旧家をリニューアルしたという店内は、やや薄暗く、大きな掘りごたつを囲むような席のほかに、縁側の座敷には小テーブルが並ぶ。

店内の中央には掘りごたつの大きなテーブル。
暖簾が掛かかっていることで料理店だとわかる。

夕食はコースのみ。3000円から5000円程度で、毎日3種類のコースを用意。コース料理は「おばんざいの盛り合わせ」をはじめ、「京みず菜のサラダ」「万願寺とうがらしのあぶり焼き」など、全7~8品前後をいただける。

トロリとした餡(あん)がかかる「旬の京野菜の京地どりそぼろ餡かけ」は、肌寒さを芯から癒してくれる温かい味わい。

タワーのように高く盛られた「京みず菜のサラダ」は、癖のない柔らかさで、瑞々しい水菜が存分に味わえる。「万願寺とうがらしのあぶり焼き」は、大きく肉厚で野菜の甘みがじわりと広がる。

京野菜をメインに扱い、いつでも美味しい京野菜料理が味わえる店として「旬の京野菜提供店」にも認定される萬川。

「冬のお勧め京野菜は、聖護院大根、京みず菜、花菜、海老芋、金時人参、堀川ごぼう、聖護院かぶら、九条ねぎなどですね」と、店主の萬川淳一さん。

ある日のコース一例、「京都ポークと旬の京野菜のあんかけ」。
「京の大根ふろふき食べ比べ」は、異なる種類の大根を食べ比べできる。

心地良い演奏が流れる店内で、ほど良い温かさ、程よいタイミングで給仕される料理は、どれも京野菜の素材の味が生きた体に優しい味わい。京野菜にこだわりを持った店主の思いが伝わる至福の料理を堪能していただきたい。

海老芋、聖護院大根、鶴首かぼちゃなど上賀茂の京野菜や、京都府内で採れた様々な種類の旬の京野菜が楽しめるのは、この店の自慢。

文/阿部文枝