世界4大スピリッツのひとつでもあるテキーラ。有名ではあるものの、オーダーする人はそれほど多くはないだろう。そこで今回は、テキーラの魅力について解説する。歴史的背景や原料、製造方法などに加え、美味しい飲み方や手順も紹介していくので、ぜひテキーラを楽しむきっかけにしてほしい。

4大スピリッツ。テキーラ(Tequila)とは

スピリッツと蒸留酒は、基本的には同じ意味で用いられる。蒸留酒で代表的な、あるいはすぐに頭に浮かぶお酒がウィスキーやブランデーだ。今回の記事で扱うテキーラも、同じ仲間である。

さて、スピリッツにしぼって話を進めていこう。テキーラは、「世界4大スピリッツ」のひとつとされている。この中にはテキーラのほかに、「ジン」「ウォッカ」「ラム」が含まれる。世界4大スピリッツと呼ばれるだけあって、一度は耳にしたことのある有名なお酒ばかりだ。

テキーラはご存知のとおりメキシコが原産地だ。ハリスコ州グアダラハラ市近郊にある「テキーラ」というエリアで製造されている。コニャック地方で製造されるブランデーがコニャックと呼ばれているのと同様に、テキーラも、その原産地名が呼称に使用されているわけだ。つまりテキーラ産でない場合には、テキーラと呼ぶことは認められていないのである。

テキーラのはじまりともいえるのが「プルケ」という醸造酒で、なんと西暦200年頃にはすでに存在していたという。原料であるアガベは、放っておいても芯の部分で自然に発酵する場合がある。

このお酒にまつわるエピソードがいくつか残されている。たとえば、山火事が発生した際に焼かれたアガベの中心に酒ができていた、だとか、アガベの中に入ってしまった鳥がそこから出てきたときには酔っ払ってフラフラしていた、などといった類のものだ。なにしろ西暦200年頃の話とあって、今となってはその真相は確かめようもないが、テキーラの長い歴史的背景を感じさせるエピソードではある。

プルケというお酒は、日本の甘酒と似たような味わいだ。そして、蒸留技術がスペインから伝わったのち、プルケを蒸留してできたお酒が「メスカル」である。さらに、メスカルの中でも、CRT(Consejo Regulador del Tequila)というハリスコ州の政府機関が定める規則にかなったものを、特別に「テキーラ」と呼んでいるのだ。規則の内容は、原料に関する条件や蒸留される場所、あるいは最終アルコール度数の範囲などである。

テキーラの原料

メキシコテキーラの主原料はアガベの一種である竜舌蘭(りゅうぜつらん)だ。メキシコを中心に、アメリカ南部から南米の一部エリアに自生している植物だ。ちなみに、アガベの中でも指定のエリアで栽培されるアガベ・アスール・テキラーナという品種のみが、テキーラの原料として認められている。

このアガベ・アスール・テキラーナの球茎を使用して、テキーラは製造される。球茎の形状は、「丸くしたパイナップルの実」を何十倍ものサイズにしたようなものだと思ってもらえればよい。球茎を半分にして蒸気釜に入れ、デンプンなどを分解し、糖化していく。それを粉砕・圧縮したものに温水をかけ、残りの糖分をしぼり出し、糖汁液を発酵させる。

蒸留は2回行われるが、2回目の中留部分のみをとりおよそ50~55度の溜液を得て、この溜液から雑味を取り出したのち、タンクやオーク樽などに移す。ちなみに、オーク樽で熟成されるものは、熟成期間によってテキーラの呼称が異なる。たとえば、たっぷりと1年以上の熟成を経たものは「テキーラ・アニェホ」と呼ばれる。樽の香りの効果により、風味がまろやかなのが特徴だ。

粋な男が知っておくべき美味しい飲み方

「テキーラの正しい飲み方」なるものは明確に決まっているわけではない。自分のお気に入りの方法で、自由に飲むのがベストといえるだろう。ただ、人気の飲み方を知っておけば、参考になることもあるはずだ。ここでは、テキーラの美味しさを堪能できる飲み方を紹介しよう。

飲み方の手順|塩、ライム、テキーラでショット

ショット&塩&ライム。この飲み方は、体に配慮しながらテキーラの美味しさを味わうという点でとても理にかなっている。まず、ビタミンCを含むライムは、喉をアルコールから守る働きがあり、また悪酔いの予防に役立つ食材だ。塩は唾液の分泌を促すはたらきをもっているため、これも喉を保護することにつながる。さらに、スイカに塩をかけて食べるのと同じ理由で、塩もライムもテキーラの甘みを際立たせてくれる。塩とライムを使えば、テキーラはかなり飲みやすくなる。

飲み方の手順はこうだ。
(1)親指と人差し指の間をライムで湿らせ、その上に塩を乗せる。
(2)その塩を舐めたら、すぐにテキーラを飲む(塩の味が残っている状態で行うことがポイント)。
(3)テキーラを最後の一滴まで完全に飲みきってしまう前に、ライムをひとかじりする。
(4)もう一度塩を舐める。

オーソドックスな飲み方

上記で紹介した「塩、ライム、テキーラショット」以外の飲み方についても、いくつか紹介しよう。

ストレート

ストレートでテキーラを飲む場合は、常温のままか、少し冷やしたものが美味しい。テキーラ特有の甘みや芳醇な香り、そして飲んだあとも口の中に残る余韻などを堪能したいという人におすすめの飲み方だ。

オン・ザ・ロック

グラスに氷とウィスキーを入れて飲む、オン・ザ・ロックは、アメリカで人気のある飲み方だ。この飲み方では、氷が溶けていくにつれて徐々にまろやかさが増していく味わいを楽しめる。口当たりがよく飲みやすいので、ストレートはちょっと強すぎる……という人は、ぜひ試してみてほしい。

ショットガン

ショットガンは、テキーラに炭酸水(ジンジャーエールも可)を混ぜる飲み方だ。コツはただ混ぜるだけでなく、テキーラ全体に炭酸水を行きわたらせるために、混ぜたものを注いだグラスでテーブルを叩くこと。テキーラと炭酸水の分量の比率は1:1。アルコールがあまり得意でない人にもおすすめだ。さらに飲みやすくするには、ボトルを冷凍庫で冷やし、シャーベット状にしたものを使うとよい。

アルコール度数の高いテキーラは時間をかけてゆっくりと

テキーラは、アルコールが40度以上のものが一般的だ。お酒の中ではかなりアルコールが強い部類に属している。
ちなみに、世界4大スピリッツはいずれも度数が高い。ジンは40度~50度のものが多く、ウォッカは40度程度が一般的だが、スピリタスなど、銘柄によっては90度を超えることもある。ラムも同様で、だいたいは40度程度だが、中には75度のものもある。

テキーラの場合は、度数は35~55度と定められている。つまり、55度ものでは一般的なジンやラム、ウォッカなどよりも高いという見方もできる。ショットガンなどは口当たりがよいため、油断すると飲みすぎてしまうから注意が必要だ。飲みやすいとはいえ、55度のテキーラを使用した場合であれば、アルコール度数は27度を超えていることになる。

飲みすぎて体の調子を崩したりしないためにも、チェイサーと一緒にゆっくりと楽しむ飲み方もおすすめする。ストレートやロックなど、高い度数のまま飲むときには、特に大切だ。

そこで最後に、おすすめのチェイサーを紹介しよう。
「サングリータ」という伝統的なチェイサーだ。作り方は、トマトジュースとオレンジジュースを1:1の分量で混ぜたものに、ライムを少量加えるだけ。あとは、お好みでスパイスなどを加えるのも可。チリソースやすりおろした玉ねぎ、あるいは生姜などもおすすめだ。

テキーラは、長い歴史をもつ伝統的なスピリッツだ。さまざまな飲み方を楽しむこともできる。アルコール度数の高さなどがハードルとなり、これまであまりテキーラを飲むことがなかった人は、本記事をきっかけに挑戦してみてはいかがだろうか。