国内外で起こっている日本酒ブームで、改めて注目を浴びている日本酒。何となく体にいいような印象があるものの、具体的に何がいいかと聞かれると答えられないものだ。

そんな日本酒の健康に関する効果について解説。日本酒は太りやすい!?という疑惑もひも解いていく。日本酒の魅力を知って、今まで以上に日本酒好きになって欲しい。

日本酒は健康にどう影響するか?

日本では世界各国で生まれた酒が流通しており、人それぞれお気に入りの酒や銘柄があるだろう。しかし、忘れてはいけない。日本には日本の美味しい米と水で造られた、世界に誇れる日本酒があるということを。

そんな日本酒だが、「健康によさそうだ」というイメージを持つ人が多いのではないだろうか。実際の日本酒の健康に関する影響について述べていきたい。

日本酒は、適量を摂取する分には健康的な飲み物といえるだろう。日本酒には、一般的に善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールを増加させ、さらに血圧上昇を防ぐ成分も含まれている。日本酒の健康効果については、農林水産省も認めるところだ。

しかし、日本酒を含むアルコール類は、摂取し過ぎることによりアルコールの悪影響で肝に病変をもたらすことがある、というデメリットも覚えておいて欲しい。では、日本酒を飲むことで具体的にどのようなメリットが期待できるのだろうか。日本酒好きとしてはとても気になるところだ。

日本酒を飲むと期待できる3つのメリット

体にいいとされるビタミン・ミネラル・アミノ酸・有機酸など、さまざまな栄養素を多く含む日本酒。その栄養素の数はなんと700種類を超えるといわれている。中でも注目すべきは、人間の体内では作ることができない必須アミノ酸が全て含まれているということだ。アミノ酸の量は、ワインの約10倍に相当する。

食欲増進

日本酒の主成分「エチルアルコール」には、胃粘膜の知覚終端を刺激する・ヒスタミンを遊離する・ガストリン分泌を促進するといったはたらきがある。それによって胃酸の分泌が促進され、その結果、食欲を増進させる。このはたらきを上手く利用して、昔から食前酒を飲むという習慣が根付いているのだ。

肌を整える

日本酒に含まれている「コウジ酸」は、肌の大敵であるシミの元のメラニン生成を抑える効果が期待できるといわれている。また、ポリフェノールの一種である「フェルラ酸」も日本酒に含まれている美肌成分だ。これには活性酸素を抑制するはたらきがあり、シワなどに対する効果が期待できる。

血行促進

日本酒のアルコールに含まれている「アデノシン」には、血管を拡張し、血の流れをスムーズにするはたらきがある。また、アルコールが分解される際に生じる「アセドアルデヒド」にも、血管を拡張させるはたらきが認められている。つまり日本酒を飲むことで全身が温まり、血行促進効果で肩こりや冷え性の改善が期待できるということだ。

「日本酒を飲むと太る」は本当か?

ところで、日本酒は純米酒であるため炭水化物の米を原料としていることは、ことさら言うまでもないだろう。

古くから米食を中心としてきた日本人にとって酷な話だが、昨今さまざまなメディアで取り沙汰されているように、炭水化物を摂ることによる肥満化への影響は決して軽くない。となれば、米を原料とする日本酒も同様に太りやすいのではないか、と考える人も少なからずいることだろう。

しかし、それは大きな勘違いである。日本で多く飲まれているビールと比較してみよう。まず一番気になる日本酒とビールのカロリー比だが、100mlあたりで日本酒が約100kcalに対して、ビールは約40kcalだ。カロリーだけで比べると断然、日本酒の方が高カロリーで太るように思える。だが、ここには大きな落とし穴があるのだ。

日本酒とビールを飲んでいる姿をそれぞれイメージして欲しい。日本酒は、おちょこで少しずつ飲んでいるイメージだが、一方のビールはどうだろうか。ジョッキを傾けグイグイと流し込んで飲む姿を想像する人も多いだろう。それを踏まえて再度比較してみると、実際にはおちょこ一杯の日本酒が約30kcal、中ジョッキのビールが約170kcalと大きな差が出た。

ビール自体のど越しを楽しむ酒なので、つい一度に飲む量が増えてしまいがちだ。またアルコール量で比べてみても、日本酒に比べてビールはアルコール度数が低いので、気持ちよく酔うために飲む量が増える傾向にある。その結果、日本酒に比べてビールの方が飲む量が多く、太りやすいといえるのだ。

また、酒を飲む場面で本当に太る原因となるのは、酒そのものよりも酒と一緒に楽しむ食事であるケースのほうが多いのだ。酒といえば揚げ物だったり肉料理だったりと、とりあえずセットで考える人は多いだろう。

そういった食事で取り込んでしまった多くの脂質に対しても、日本酒は効果が期待できる。日本酒は醸造酒なので原料を発酵させて造るため、ウイスキーや焼酎などの熱を加えて造る蒸留酒に比べて、多くの栄養素が含まれている。その栄養素の中には、脂質の多い食事によって生成される悪玉コレステロールの酸化変性を抑える成分も含まれている。

これにより、動脈硬化の予防にもつながる。日本酒は太りやすいどころか、逆に多く取り過ぎた脂質によってもたらされる悪影響を抑えるはたらきも期待できる、まさに救世主のような飲み物なのだ。

日本酒と上手に付き合うコツ

これまで日本酒の利点について詳しく説明してきたが、忘れてはいけないのが、日本酒を適量飲むことによって健康的な効果が期待できるということだ。日本酒の効能を高めるためには、どういった飲み方が適切なのかについて、しっかりと理解した上で日本酒と付き合っていくことが大切だ。

日本酒の適量について(1日の目安)

一般的に、日本酒の適度な飲酒量は180ml(1合)といわれている。飲酒量が増えることで、脳梗塞などの発症リスクが上がることもあるため注意が必要だ。一度の飲酒量や飲酒の頻度などを考えながら、健康的に日本酒を楽しんで欲しい。

最適な飲み方

日本酒をビールのように勢いよく大量に飲むことは、体にとって大きな負担になってしまう。日本酒の最適な飲み方は、ゆっくりと香りや味わいを楽しみながら飲む。そして小休止を取りながら飲むということ。また、日本酒だけを単体で飲むのではなく、日本酒と共に和らぎ水やつまみを取るようにすることで、肝臓に対する負担軽減が見込める。

肝臓に負担をかけない食べ物と一緒に楽しむ

日本酒と一緒に食べることで肝臓への負担を軽減させるつまみだが、選択を誤るとかえって肝臓に負担が掛かってしまう。お酒のつまみとして好まれる唐揚げなどのように油分が多いものや、漬け物を代表とする塩分が多いものは避けるようにする必要がある。

お酒好きの中には、塩だけをつまみにして日本酒を飲むという人もいるが、体にはよくない行為なのでおすすめできない。つまみ選びでおすすめなのが、良質のたんぱく質が採れる食べ物、ビタミンやミネラルが豊富に含まれている食べ物だ。
具体的には、たんぱく質が豊富な肉じゃが・冷ややっこ・刺し身・焼き鳥など、あるいはビタミンとミネラルが豊富なサラダ・かぼちゃの煮物・いんげんの胡麻和え・枝豆などがおすすめだ。

日本人であれば知っておきたい日本酒の健康効果について説明してきたが、参考になっただろうか。日本酒には、血圧の上昇を抑える成分や、血行を促進する成分など、健康によいとされる成分が多く含まれている。

また、必須アミノ酸がすべて含まれていることも魅力のひとつだ。今まで飲み会の場で、ビールやワインなど海外の酒を楽しんでいて日本酒を飲む機会がなかったという人も、日本酒を飲むきっかけになればうれしい。

ただし、健康効果が期待できる日本酒だが、適切な量を守らずに過剰に飲酒することで、逆に健康面に悪影響が出るリスクもあることは忘れてはいけない。最適な飲み方で、日本が誇る自慢の酒、日本酒を楽しんでもらいたい。