お酒のつまみとして心もお腹も満たしてくれる「おでん」。おでんは地方によって味付け方も異なり、今は家庭によっても微妙に味わいが異なる。そんなおでんの由来と、具の種類別の栄養素について解説する。

時代を超えて愛された庶民食。おでんの歴史を振り返る

おでんという名前は「田楽」が由来とされている。田楽とは平安時代に行われていた、衣装に身を包み、棒に乗って豊作を祈願した「田楽舞い」から来たものだ。室町・安土桃山時代には、串に刺した豆腐を焼いて辛味噌をつけた辛味噌田楽が流行った。

焼き田楽からおでんに進化した歴史は諸説ある。一説によると、煮込むおでんになったのは、醤油が庶民に広く普及した江戸時代からとされている。

その後、明治時代に東京のおでん専門店で汁をたっぷり注いで客に提供したことが、現在のおでんの始まりだ。ちなみに、おでんと熱燗がセットでイメージされるのは、江戸時代に振り売りが熱燗とおでんを売り歩いていたのがルーツである。

大正時代には関西へ伝わり、味噌田楽と区別するため「関東煮」と呼ばれた。もともと東京の料理人が関西に持ち込んだわけだが、味の好みが違う関西で改良され、関西独自のおでんに進化していった。

おでんは昭和中期まで屋台や駄菓子屋で食べるのが普通だった。戦後復興と経済成長によって民間企業がだしの素のような商品を販売し出すと、おでんも家庭料理として広がり昭和の人気食となる。

肌寒い春に熱々のおでんで栄養を摂り、体を温める

現代のおでんには様々な栄養素が含まれている。いくつかおでんの具材を取り上げ、体への効果について紹介する。

大根

大根は低カロリー。腸を整える食物繊維を適度に取れる。鍋で煮込めば煮込むほど、だしが染み込み旨味が増す。

たまご

完全栄養食と言われるたまごには、タンパク質やミネラル、ビタミンが含まれており、栄養素のバランスがよい具材だ。

こんにゃく

「胃のほうき」と呼ばれ、食物繊維を豊富に含む食材。また、こんにゃくに含まれるカルシウムは体内に吸収されやすいと言われている。

ちくわ

白身魚のすり身から作られるちくわは高タンパク低脂肪。タンパク質は筋肉や血液を作るのに必要な栄養。

はんぺん

白身魚のすり身に卵白と山芋などを加えたもので、こちらも高タンパク。ボリュームがあるわりに安く購入できる。

つみれ

つみれの原料はイワシやアジ。中性脂肪やコレステロールを減らすDHAやEPAが含まれている。

がんも

水気を切った豆腐を揚げたもの。出血を止める役割があるビタミンKや貧血を防ぐ鉄などの栄養素を含む。

昆布

昆布に含まれるビタミンB1やB2には、疲労を回復する働きがある。また、新陳代謝を調節してくれるヨウ素も含まれる。

様々な具が煮込まれ、栄養たっぷりで身も心も温まるおでん。その歴史を振り返りながら味わうのも一興だろう。