「年を重ねるほど味わい深くなる」といわれる熟成ワイン。熟成はどのように起こり、味にどのような変化をもたらすのか、白と赤ワイン別に解説する。

年を重ねて「熟成」が生み出す化学反応

ワインの熟成とは、長い年月置くことによってワインの色合いや口当たり、そして香りを芳醇なものへと変化させる過程を指すが、厳密には化学が大きく関係している。熟成によってワインに含まれる有機酸や糖、アントシアニン、タンニンなどの成分が変化することで、ワインがより美味しくなるのだ。

たとえば、赤ワインの色はアントシアニンによるものだが、このアントシアニンは熟成年数に応じて減少し、 11年目には約90%が化学的に安定な状態へと変化することで、ワインの赤みをより渋い赤へと変化させる。

他にも、ワインを熟成させる樽に秘密がある。熟成用の樽には木樽やステンレスタンクがあり、ステンレスタンクはメンテナンスが楽でコストがかからないなどのメリットがあるが、一般的には木樽による熟成の方がワインにより深い変化を与える。木樽での熟成ではワインが適度に酸素に触れることができ、酸化による変化が深まる。また、木樽のポリフェノールやタンニンがワインに溶け出して、複雑な香りが生み出される。酸素との反応で旨みが深く、まろやかで落ち着いた味になる。

赤ワインの味と色の変化

赤ワインは、若いときの方が濃い色をしているといわれる。始めは紫がかった赤をしていても、熟成を重ねるとオレンジ色がかった赤へと変わっていく。熟成による色の変化は、アントシアニンの含有量が多いワインに起きやすいため、アントシアニンを含むカベルネソーヴィニヨンなどの品種を使用したワインが熟成によって色合いが変化しやすいワインといえるだろう。

また、ワインの味にも変化が生じる。熟成による穏やかな酸化は、タンニンの渋みを澱(おり)に変化させて沈殿させ、旨みを引き出す。若くて荒さが残る味から、まろやかな味へと変えることができる。

ただし、ワインによって熟成のピーク時期は異なり、ピークを超えてしまうと今度は強い渋みが生じてしまう。ヴィンテージワインは熟成速度が遅いため、熟成期間が長くかかる。ワインのピークの見分け方は専門家にも難しいとされるが、それもワインの魅力のひとつといえるだろう。

白ワインの味と色の変化

熟成には赤ワインのイメージがつきまとうが、実は熟成工程を必要としない銘柄が多い白ワインにも熟成によって造られるものはある。トロッケンベーレンアウスレーゼ、トカイアスーなどがあり、主に高級な白ワインで熟成が必要とされる。

白ワインの熟成では、赤ワインとは逆に色が濃く変化していく。熟成するほど透明感が消え、オレンジがかった深い色になっていく。熟成が進むほど、フルーティーな味わいからドライアプリコットなどの広がりある風味に変化し、フレッシュな果実味が丸く優しい印象の味に変化していく点が特徴的だ。

ワインが熟成することで味わいやまろみが深くなる。しかし、飲み頃を過ぎるといきなり渋くなるため、適切に見極められる目を養おう。