12122至福の時を刻む素晴らしき相性「ラムと愉しむハバナシガー」|世界的に名声を得るキューバ産ラムとシガー

至福の時を刻む素晴らしき相性「ラムと愉しむハバナシガー」|世界的に名声を得るキューバ産ラムとシガー

男の隠れ家編集部
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ラムと切っても切れない関係にあるのが原産国を同じとするハバナシガーである。キューバの人々が、どんな時でも明るく力強く生きる糧は、ラムやシガー、音楽やダンスにあるのかも知れない。ラムとシガーを同時に愉しむ至福の体験は、大人の嗜みといえるだろう。
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葉巻とラムを味わうことはひとつの事件だ

ラムの名産地・キューバは、世界最高の誉れ高いシガーの産地でもある。夢見心地にしてくれるそのアロマは、多くの愛煙家を虜にしてきた。アメリカのケネディ大統領は、キューバへの経済封鎖を発令する前に、ハバナ産の葉巻ブランド「H・アップマン」を大量に買い込んだ。敵対国の大統領をも魅了したわけだ。

どの銘柄を愉しむか、ワクワクする時間。

そんなハバナシガーはラムとの相性が抜群にいい。現地を訪れると、男女を問わず大人たちはラムを飲み、シガーを嗜んでいる。食後はもちろん、食事中に葉巻をくゆらせもする。喉の奥に残った肉の脂のコクに紫煙の甘みが重なる瞬間は、キューバ人の生きる悦びそのものだ。

決して経済的に豊かとは言えないのに、彼らに接するとその生命力の強さに圧倒される。それは、音楽やダンス、そしてラムや葉巻といった、人生を力強く生き抜くための悦びを得ているからに違いない。

高級ハバナシガーはオールハンドメイド。

このように、キューバの日常に深く浸透しているラムとシガーだが、その生い立ちは正反対だ。約500年前から南北アメリカにおいて、タバコ葉は宗教儀式で嗜まれていた。それを発見したヨーロッパ人は、あのコロンブス。

1429年、キューバにたどり着いた彼らは、タバコ葉を巻いたものの先端に火をつけ、煙を吸う原住民・タイノ族の姿を目の当たりにする。この習慣がヨーロッパへ持ち帰られ、やがて上流階級の間にパイプやシガーが広がって行く。

濃密な紫煙をくゆらせる。

一方、ラムの原料であるサトウキビはキューバに自生しておらず、コロンブスが2回目の航海時に、砂糖を作る目的で持ち込んだものだ。それが今ではキューバの名産品となり、現地の人々の日常生活に溶け込んでいる。歴史の妙と言うほかない。

ダビドフを呼び戻したチェ・ゲバラの進言

ヨーロッパやアメリカでの喫煙の普及とともに、キューバの葉巻産業も発展していくが、大きな変化を与えたのが1953年から始まったキューバ革命だ。カストロによる国有化を嫌い、有名シガーブランド「ダビドフ」はキューバから脱出してしまう。

カストロは約900種あったシガーのブランドを4種まで減らした。しかし、チェ・ゲバラがタバコ産業の重要性を説き、その後、ダビドフを率いるジノ・ダビドフは再びキューバへと招かれた。それからの約10年間、彼はハバナシガー再興に尽力する。そして現在、ブランド数は約300種となり、かつての名声を取り戻したのだ。

モヒートとの相性も良い。

ジノ・ダビドフは「葉巻を味わうことは一つの出来事であり、くつろぎ、そして楽しみと期待のひとときでなければならない」と述べている。

紫煙をくゆらせた後、ラムを口に含む。すると甘い香りと、ラムの甘みが絶妙なハーモニーを奏でる。シガー1本で1時間は愉しめるが、その間、変化するシガーの味わいに合わせ、数種類のラムをマリアージュする人もいる。そんな至福のひとときが、明日への力を授けてくれるに違いない。

喘息持ちにも関わらずシガーを愛したチェ・ゲバラ。

取材協力/中山篤志(Bar Lamp) 文/浅川俊文 写真/古末拓也

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