35245“第4のワイン”として話題の「オレンジワイン」の特徴と魅力とは?【ワインを学ぶvol.1】

“第4のワイン”として話題の「オレンジワイン」の特徴と魅力とは?【ワインを学ぶvol.1】

男の隠れ家編集部
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ここ数年世界中で流行している「オレンジワイン」。とはいえ、オレンジワインに合う料理や味わいの特徴まで知っている方は少ないだろう。今回は白や赤、ロゼに次ぐ「第4のワイン」として注目を浴びているオレンジワインの特徴や魅力を解説していきたい。
目次

オレンジワインとは?

オレンジワインは、もともと古くからワイン発祥の地であるジョージアで「アンバー(琥珀色)ワイン」と呼ばれていた。2000年代に入り、イギリスのワイン商がアンバーワインを見て「オレンジワイン」と形容したのがきっかけで、今日ではオレンジワインとして世界中に広く認知されるようになった。

つまり、オレンジワインという言葉自体は比較的新しい概念で、正確な定義はない。

なかには「フルーツのオレンジで作っている」と勘違いしている方もいるかもしれない。だがオレンジワインは他のワインと同様、「ぶどう」から作られている。他のワインとの違いは「使っているぶどう品種」と「発酵過程」の組み合わせによって変わる。

ワインの醸造フロー

白ワイン
ぶどう:白ぶどう
発酵方法:果皮や種を除いて発酵

赤ワイン
ぶどう:黒ぶどう
発酵方法:果皮や種ごと入れて発酵

ロゼワイン
ぶどう:黒ぶどう
発酵方法:果皮や種を除いて発酵
※「直接圧搾法」と呼ばれる製法。他に「セニエ法」や「混醸法」などがある。

オレンジワイン
ぶどう:白ぶどう
発酵方法:果皮や種ごと入れて発酵

つまり、白ワイン用のぶどうを使って、赤ワインと同じ醸造方法で作ったものがオレンジワインだ。白ぶどうの果皮の色素が果汁にうつることによって、きれいなオレンジの色調が生まれる。果皮由来の渋みやアロマは生産地や造り手の理念によって大きく変わるのが特徴だ。

オレンジワインの主な生産地

オレンジワインが世界的に広まったのは、イタリア北部のフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州がきっかけだ。現在では西欧、東欧諸国や日本、カリフォルニア、オーストラリアなど、世界各国でオレンジワインが造られている。なかでも注目したいのはオレンジワインの元祖ともいえる「ジョージア」と、オレンジワインを世界的に広めた起源である「イタリア」だ。

ジョージア

ジョージアと言えば、約8000年前からワインを造っていたと言われている古い歴史を誇り、地球上ではじめてワインが造られた「ワイン発祥の国」として知られている。

なかでも「クヴェブリ」と呼ばれる地中に埋められた大きな土器のなかで造られる伝統的な醸造法が有名だ。国際市場では長い間日の目を見なかったが、近年では世界各国に徐々に流通しはじめている。

ジョージアでは「アンバーワイン」と呼ばれていて、個性的な品種や伝統的な醸造方法で、味わいやアロマは多岐にわたる。

イタリア(フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州)

また、自然派ワインを追求するなかで、果皮と一緒に醸すスタイルを徐々に確立したのがフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州だ。ジョージアのアンバーワインにヒントを得て、1998年にフリウリ州の生産者、グラヴナーがはじめてオレンジワインを造ったのがきっかけと言われている。

そしてフリウリで造られたオレンジワインを模倣して、各国にオレンジワインのスタイルが広まっていった。

オレンジワインと料理のペアリング

オレンジワインの良さを一言でいえば、「白ワインと赤ワインのいいとこどり」。白ワインらしいさっぱりしたさわやかさと、赤ワイン特有のタンニン(渋み)をバランス良く持ち合わせている。このバランスの良さが、さまざまな料理とペアリングするうえで大事な要素だ。

また、もちろん生産地や醸造法によって個性が違うので一概には言えないが、オレンジワインは飲むときの温度によって表情が変わる。

冷やした状態はさわやかで、柑橘類やヴィネガーのアロマがやさしく香る。一方で少し温度が上がってくると、今度は紅茶や烏龍茶のような茶葉系のニュアンスと、それまでは控えめだったタンニン(渋み)が徐々に主張してくる。

オレンジワイン×和食

近年日本でもオレンジワインが流行っているのは、「和食」とのペアリングの良さも要因のひとつだ。特に、お酢(ヴィネガー)のニュアンスが感じられるオレンジワインと手巻き寿司を合わせるペアリングは至高だ。

また、味噌や醤油といった調味料との相性も良い。あくまでも高級和食ではなく、さばの味噌煮や肉じゃが、サンマや鮭の塩焼き、ぶり大根など、家庭的で素朴な日本食とのペアリングを楽しんでいただきたい。

オレンジワイン×エスニック料理

料理の味を邪魔しない奥深さがあるオレンジワインには、タイ料理やベトナム料理といったエスニックとの相性もよい。
スイートチリソースにつけた生春巻きや、コリアンダーを効かせたガパオライス、香辛料を入れたケバブなど、一見ワインと合わせにくい料理でも、オレンジワインなら上手にペアリングできる。

おわりに

オレンジワインは、フレッシュかつフルーティなタイプから、ドライな飲み口で渋みがしっかりあるタイプまで、生産者の理念や醸造法によって味わいの違いがあるのが面白いところ。この機会に味わいの幅広さと特有の複雑味を楽しんでいただければ幸いだ。

筆者プロフィール:
吉川大智(ヨシカワダイチ)
世界40ヶ国200都市の酒場とワイナリーを訪問したJ.S.A認定ソムリエ。ワインバーのマネージャーを経て、現在多数のメディアにてコラムやエッセイを執筆するライターとして活動中。
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