51740仏のボージョレだけじゃない!  世界のワインを新酒で味わおう

仏のボージョレだけじゃない!  世界のワインを新酒で味わおう

男の隠れ家編集部
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11月第3木曜は、ボージョレ・ヌーヴォーの解禁日。2021年は11月18日となっている。世界を見渡すと、新酒(ヌーヴォー)はフランスのボージョレだけでなく、イタリア、ドイツ、オーストリア、日本などにもあり、10月から新酒が出回り始める。今回は、世界のワインを揃えるワインマーケットパーティーの店長・沼田英之さんに世界の新酒とその上手な楽しみ方を聞いた。

世界にはボージョレ・ヌーヴォーだけでなく色々な新酒がある

■ワインの新酒が持つ意味合いとは?

ワインはラベルにヴィンテージ(収穫年)が刻まれているように、1年に一度収穫されたブドウから造られている。ボージョレ・ヌーヴォーをはじめとした新酒は、早めに収穫したブドウでその年の出来栄えを確かめ、収穫を祝うもの。「熟成していないから、イマイチ」などと切り捨てるのはナンセンスだと言う。

「ワインには、その年の天候が表われるもの。新酒を飲んで、その産地の気温や降水量に思いをはせてながら味わってみると良いですね。実際、同じ生産者のものを比べると、0.1%単位でアルコール度数を変更してくる生産者もいます。アルコール度数は、その年のブドウの糖度と密接に関係しているもの。そうした味わいの変化を楽しんでみてください」(沼田英之さん)

新酒で最も有名なボージョレ・ヌーヴォーは、主にガメイという品種のブドウによって、マセラシオンカルボニックという醸造法で造られ、フレッシュさが際立つ味わいになっている。こうした味わいを食事とともに楽しむのも良いだろう。次からは、ワイン新酒の味わい方のポイントを教えてもらった。

■沼田店長に聞くワイン新酒の楽しみ方

●同じ生産者の新酒を毎年、飲み続ける

同じ生産者の新酒を毎年飲み続けると、その年のその地域がどんな作柄だったかわかるように。例えば、ボージョレ・ヌーヴォーならフィリップ・パカレなど自然な造りをしている生産者もおすすめ。今年から始めてみてはいかが?

●食事とのマッチングを楽しむ

ボージョレ・ヌーヴォーは、赤ワインながらフレッシュなチェリーの果実味やキャンディ香が魅力のワイン。生牡蠣に赤ワインビネガーやポン酢をかけたものが好相性。ほかにフレッシュな酸味と合わせ、塩気の利いたサラミもおすすめ。赤ワイン=肉ではなく、軽い前菜や魚と合わせても○。

●正月に新酒を楽しむ

新酒は、解禁日に楽しむものというイメージがあるが、それを過ぎると飲み頃でなくなるわけではない。むしろ、ワインとして考えると、2〜3か月寝かせて落ち着いたタイミングが良い。正月におせち料理とともに新酒を楽しむのもおすすめ。

●同じ生産者の通常のワインと飲み比べてみる

さらに上級テクニックとしては、同じ生産者の同じヴィンテージの発売を待って、新酒とともに味わう方法もある。新酒と通常のキュヴェの違いがわかり、フレッシュな味わいと本来の味わいが両方味わえる。まずは、お気に入りの生産者を見つけてみよう。

「熟成していないから、イマイチ」などと切り捨てるのはナンセンス

■世界の新酒の解禁日と楽しみ方

●イタリア ノヴェッロ

イタリアの新酒・ノヴェッロの解禁日は、毎年10月30日。ハロウィンの前日と記憶すると覚えやすい。ノヴェッロは、地域に関係なく、全土で造られており、ブドウ品種も多種多様。白ワインも赤ワインもある。同じ解禁日なら、南の地域の方が熟度の高さが期待できるため、ピエモンテ州よりも、カンパーニャ州やトスカーナ州のワインの方が果実味の豊富なタイプが味わえる。

●ドイツ デア・ノイエ

ドイツの新酒・デアノイエの解禁日は、11月1日。イタリア同様に赤ワインでも白ワインでも認められているが、寒冷地のドイツではほとんどが白ワイン。リースリング種のものが多くなっている。デア・ノイエの白ワインは、まるで雪解け水のごとく張り詰めた柑橘系の氷のような味わいが特徴。カルパッチョや刺身など、あっさりした魚料理とマッチ。

●オーストリア ホイリゲ

ホイリゲの解禁日は、11月11日の聖マルティヌスの日。ドイツと同じように白ワインが多く、中でも混植混醸で造られるゲミシュター・サッツが有名。いろいろなブドウの個性がバランスよく味わえる。

●日本 山梨ヌーボー

日本でも新酒が造られており、山梨ヌーボーは11月3日が解禁日。甲州種やマスカット・ベーリーA種などで造られている。日本人であれば、夏の日照りがあったことや雨が多かったことを思い出しやすいため、今年の天気を回想しながら飲んでみたい。甲州種は、日本の梨や酵母の香りが引き立つ、みずみずしい味わいが特徴。

世界の新酒の楽しみ方を知ると、作柄を表す農産物としてのワインの魅力がわかってくる。その地域のワインの特徴や楽しみ方を知って、ワインの魅力をさらに掘り下げてみよう。

取材協力:ワインマーケットパーティー

世界から集められた1200種類のワインと、パーティを彩るワイングッズが豊富なワインショップ。テイスティングカウンターもあり、常時10種類以上のワイン試飲が楽しめる。

東京都渋谷区恵比寿4-20-7 恵比寿ガーデンプレイスB1F

03-5424-2580/11:00〜19:30

取材・文/岡本のぞみ(verb)

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