アメリカで大流行している新カテゴリーアルコール飲料「ハードセルツァー」。今年に入ってから日本の大手からも発売され、さまざまなタイプが登場している。今回は、早くからハードセルツァーに注目していたワインジャーナリストの綿引まゆみさんが代表銘柄を試飲。飲用シーンをご提案いただいた。

2021年に入って日本でもハードセルツァーの販売が増えた

■ハードセルツァーとは? アメリカで流行した理由は?

ハードセルツァーというアルコール飲料が2018年頃からアメリカで大流行している。ハードセルツァー(hard seltzer)は、アルコール入りの炭酸水を意味する言葉。メーカーによって、スパイクトセルツァーやアダルトセルツァーとも呼ばれているが、炭酸アルコール飲料である点は同じ。どのような特徴を持つ飲料なのだろうか?

「無糖タイプを始め低糖質で、アルコール度数が5%程度に抑えられているのが特徴です。ベースとなるお酒は、サトウキビや穀物由来のアルコールや中性スピリッツ、果実酒などさまざまですが、それにフルーツやハーブなどのフレーバーを付け炭酸水で割って造られています。グルテンフリーを謳っているものもあり、ヘルスコンシャスな飲料として人気を集めています」(綿引まゆみさん、以下同)

欧米の炭酸アルコール飲料の歴史をさかのぼると、1990年代にレモネードにアルコールを入れた「Hooper’s Hooch」や「Two Dogs」がイギリスやオーストラリアで登場しヒット。

その後、2013年にハードセルツァーの「Bon & Viv Spiked Seltzer」がアメリカで発売され、人気に。2018年に現在全米シェアNo.1の「White Claw Hard Seltzer」が発売になり、ブレイク。2019年にはワイン専門誌で「ハードセルツァーを知らないなんてマイナーだ」という特集が組まれるほど流行したという。現在、アメリカではどんなふうに楽しまれているのだろうか?

「かつてアメリカのアルコールの選択肢は、ビール、ワイン、ウィスキーが主流でした。そこに登場したのがヘルシーでライトなハードセルツァーです。ここ数年、アメリカでは健康に気を使う人が増えていて、若い年代はなおさら。細長いスタイリッシュな缶飲料を開けて気軽に飲める点が若者に受け、大学のパーティーの飲み物はビールからハードセルツァーに様変わりしました。多彩なフレーバーが選べるのも人気で、飲食店でも流行っています」

■日本でも発売! ハードセルツァーの代表銘柄を試飲

このアメリカでの人気ぶりを受け、日本でも今年に入って大手ビール会社を中心にハードセルツァーが販売され始めている。日本ビールからアメリカでシェアNo.2の「トゥルーリーワイルドベリー」が輸入されたほか、3月にオリオンビールから「ドゥーシー」、8月にサッポロから「ウォーターサワー」、9月にコカ•コーラから「トポチコ ハードセルツァー」が発売。そのほか、地ビールメーカーからも地元の特産品を使ったハードセルツァーが出されている。このうち、代表銘柄となりそうな4つを綿引さんに試飲していただいた。

●トゥルーリーワイルドベリー(日本ビール)

「色々なベリーがミックスされたアメリカらしい香り。ガムのような主張するベリーの風味が新鮮です。中身はハードセルツァーらしく軽快ですが、しっかりとキレがあります」

●ドゥシー シークワーサー、グレープフルーツ、アセロラ(オリオンビール)

糖類ゼロにこだわり、月桃由来エキスを配合。アルコール度数2%、250ml

「自然な果物のフレーバーと月桃エキスがみずみずしく、キレも酸もあって、優秀。クリアななかにジューシーさもあって、素直においしい。日本人になじみやすいハードセルツァーです」

●トポチコ ハードセルツァー アサイーグレープ、タンジーレモンライム、パイナップルツイスト(コカ•コーラ)

トポチコは世界展開されたハードセルツァーブランド。アルコール度数5%、355ml

「タンジーレモンライムの組み合わせはアメリカらしいエキゾチックなフレーバー。パイナップルとアサイーグレープは果実味がジューシー。ほかと比べると、シャープ感はやや控えめです。どれも1本あたり110kcalというのもうれしい限り」

●サッポロ WATER SOURレモン、オレンジ(サッポロ)

無糖、アルコール3%でライトにのめる炭酸水テイストの缶入り飲料。アルコール度数3%、350ml

「フレーバー、味わいともに最もニュートラル。甘さもなく、アルコール感もクリアなので、ガブガブと飲むことができます。スッキリしたいときはレモンがおすすめ」

■缶チューハイ文化のある日本でハードセルツァーはどう流行する?

ハードセルツァーは、缶チューハイよりも軽快でスタイリッシュ

ハードセルツァーは、フルーツフレーバーの缶入りの炭酸アルコール飲料。すでに日本では、ジャパニーズハードセルツァーとも呼ばれる缶チューハイ文化がある。4銘柄を試飲して、缶チューハイとの味わいの違いが明確になった綿引さんに、どのようにハードセルツァーを楽しんだら良いかを聞いた。

「まず、ハードセルツァーと日本の缶チューハイは味わいがやや異なります。日本の缶チューハイは、果汁の多さや搾り方の工夫で果汁感をアピールしているものが主流で、結果として甘くてジューシーなタイプが多く、色が濁っているものもあります。一方のハードセルツァーは、無色透明で果汁感はフレーバーのみ。甘さはほとんどなく、よりみずみずしくクリアな味わい。アメリカから輸入されたり、世界展開されているものはミックスされたフレーバーも特徴です。

ハードセルツァーは、アペリティフやランチなど、よりすっきりとした潤いを求めるシーンになじむでしょう。缶デザインが細長く、白をベースにしたものが多いので、スタイリッシュさもあり、よりいろいろなシーンで気軽に楽しめます。さらに大手ビールメーカーなどが参入すると、市場もにぎやかになると思います。今後の動きにも注目したいですね」

味わいにも気分にも、より軽快さを与えてくれそうなハードセルツァー。まずは、1缶気軽に楽しんでみよう。

取材協力:綿引まゆみ
ワインジャーナリスト。ワイン専門誌「Winart」をはじめ、料理系雑誌、ライフスタイル誌、出版系webサイトなどで、ワイン、食、旅に関する記事を執筆。ワインセミナー講師、トークショー、海外のワインコンクール審査員を務めるなど、幅広い活動を行なっている。チーズプロフェッショナル、ビアソムリエ、コーヒー&ティーアドバイザーの資格も所有。

取材・文:岡本のぞみ(verb)