ワインボトルの裏ラベルを見ると、さまざまなマークがある

ワインボトルの裏ラベルを見ると、さまざまなマークがあることに気づく。サステナブル認証、オーガニック認証、ヴィーガン認証などがそれに当たる。これらはそれぞれどのような意味合いを持つものなのだろうか。

地球環境や社会的な視点からのワイン選びについて、ワインジャーナリストの綿引まゆみさんに話を聞いた。

■ワインに広がるさまざまな認証の正体とは?

サステナブルやオーガニックは、食品選びをするときに用いる新しい基準の1つとなっている。ワイン選びにもそれを助ける認証が登場している。こうした動きは新しい産地や生産者はもちろん、伝統生産地でも顕著だと言う。

「フランスの銘醸地・ボルドーのブドウ畑は、2020年には75%以上が何らかの環境認証を取っていて、地域をあげて取り組んでいます。温暖化でこれまで認定されていた品種の収穫が見込めなくなることを想定して、新しく6品種の植栽が認められた動きもあります。

また、世界農業遺産にイタリアで初めて認定されたヴェネト州のソアヴェも畑の脇に小川をつくるなど水質改善を図り、産地をあげてサステナブルな活動をしています」
(綿引まゆみさん、以下同)

地球環境や社会的な持続性を定めた認証は世界各国に認証機関があり、次のようなものが代表例として存在している。

●サステナブル認証

将来の持続可能性を見据え、子の代や孫の代に負の遺産を残さないように地球環境の保護や社会的な信用に対する活動を示す認証。例えば、ニュージーランドのSWNZ認証は、畑とワイナリーに対して、「生物多様性、土壌・水・空気、エネルギー、化学物質、副産物、人、事業活動」の7つの柱を設け、ガイドラインとしている。ほかにも、チリやカリフォルニアなど国や生産地組合による認証団体が各地にある。

●オーガニック(ビオロジック)認証

有機栽培されたブドウを使って生産された製品に対する認証。生産だけでなく、加工や輸送方法、保管方法に関する条件もある。緑のカラーに「AB」と書かれたフランス政府の認証や、黄緑のカラーに星が葉を形成した「ユーロリーフ」が代表的な認証マーク。スーパーに並ぶ自転車ラベルの「コノスル」はオーガニック認証を取得している銘柄もある。

●ビオディナミ認証

有機農法を前提に、プレパラシオン(調合剤)によって畑と土のバランスを改善したうえで栽培されたブドウが使われ、月の満ち欠けに従って栽培や醸造、瓶詰めが行われるのがビオディナミ農法。ドイツの「デメター」が有名。

●ヴィーガン認証

菜食主義の人が食べられる製品を示した認証。ワインの場合は、ワインを濾過する過程で卵白の使用をやめるなど動物性のものを使用しないことが求められる。宗教やアレルギーだけでなくアスリートなどは個人の意志によりこうした認証が不可欠。どんな人にもワインを飲んでもらいたいと選択肢を広げる手段となっている。

このほか、減農薬栽培の認証やユダヤ教認定ワインを示すコーシャ認定、ムスリム向けのハラール認定(ノン・アルコール)なども存在している。

■認証が示すワイン生産者の動き

ボルドーやソアヴェの動きにも見られるようにワイン生産者はサステナブルやオーガニックを目指す動きがある。40〜50代の生産者やその子ども世代に当たる20代では、特にオーガニック農法やビオディナミ農法を支持する取り組みが盛んになっているそうだ。こうした活動にはどのような背景があるのだろうか?

「2021年はフランスで4月に深刻な霜害が発生し、広範囲でブドウの芽がダメージを受ける被害がありました。山火事などの災害でワイナリーがなくなってしまう例もあります。

かつて私が訪れたドイツ・アール地方のワイナリーでは、洪水でワイナリーと事務所が流され、ストックされたワイナリーもなくなる深刻な被害を受けました。こうした異常気象や災害は気候変動によるもの。ワイン生産者は、当事者として温暖化を食い止めようと取り組みを始めています。一人だけではどうしようもないので、産地をあげて取り組む必要があります」

欧米は日本よりも農村地帯が身近にあることも手伝って、意識が高い消費者も多いという。

「スーパーにはオーガニックコーナーがあり、そこで買うと決めている人は多いですね。イタリアにはFederBioというイタリア・オーガニック・バイオダイナミック農業連盟があり、オーガニック認証製品に力を入れ、オーガニック製品の輸出は世界トップクラスです。

日本でも消費者の立場から、同じような商品があればその企業やワイナリーの姿勢を評価して購入するのも1つの方法です。少し高くてもそうしたワインを買うことは生産者を応援することにつながります」

スーパーや専門店でワインを購入するときは、裏ラベルのマークもきっかけにしてみよう。

【取材協力:綿引まゆみ】
ワインジャーナリスト。ワイン専門誌「Winart」をはじめ、料理系雑誌、ライフスタイル誌、出版系webサイトなどで、ワイン、食、旅に関する記事を執筆。ワインセミナー講師、トークショー、海外のワインコンクール審査員を務めるなど、幅広い活動を行なっている。チーズプロフェッショナル、ビアソムリエ、コーヒー&ティーアドバイザーの資格も所有。

取材:文:岡本のぞみ(verb)