腹が立っても最後は堪忍

覚えておきたい夫婦間におけるマナー。どんなに腹が立っても怒らずに、最後には堪忍することが肝心という心構えだ。

扇子の要は表裏からしっかりと留め合わされ、親骨と中骨を支えている。要がしっかりしていないと、扇子は広げることができない。武家にとって、家の繁栄は何より大事なこと。夫婦が扇子の要のようになることが重要だった。

見てみぬふりはするな

王陽明像・田米知佳画集より/国立国会図書館蔵

中国の思想家・王陽明が生み出した言葉に「知行合一」というものがある。知識と行動とを一致させる、という意味で、武士道が目指したものもこれであった。

見てみぬふりの対極に位置する考え方であり、困っている人を助けることは武士道精神を体現する好例といえるだろう。「相手への思いやり」が中核の礼法にとって、欠かせない要素のひとつだ。

あわてて話すべからず

あわてて話すことは自信がない証拠。武士も、言葉は容易に口から出すものではないと考えていた。何か言いたくなったときは、「ひと呼吸」おくのがいい。

「ひと呼吸」というのは、丹田を意識して行う腹式呼吸のこと。手のひらを丹田にあて、吸って、吐いてを繰り返すことで浮ついた気持ちが収まっていく。武士の会話に焦りは禁物だ。

相手の「気」を外す

国立国会図書館蔵

武道やスポーツの世界でよく聞く言葉に「相手の気にのまれてしまった」というものがある。技術的に上回っていても勝負に負けてしまった時に使われる言葉だ。

「気」の重要性を端的に示した言葉だが、武士道でも「気」を重視する姿勢は変わらない。相手の「気」をうまく外すことができれば、無用の争いを避けることにつながるからだ。

人前で泣いてはいけない

国立国会図書館蔵

武家の女性のしつけに、まつげを濡らしてはならない、というものがある。人前で涙を見せるのは、相手の同情を誘い、周囲の人間を自分の感情で振り回すことになるので失礼な振る舞いである、という考え方によるものだ。

他者に不快な思いをさせてはならない、という、相手への思いやりを重視する武士道らしい教えといえる。

おわびは「すぐ、潔く、心から」

失態を演じてしまったときに、非を認めてすぐに謝るのは勇気のいること。思わず保身的行動に走りがちになるものだが、謝罪ができないのは自分の自信のなさの表れである、というのが武士道の考え方だ。

自分の行動に責任がとれるかどうかが、その人が大人であるかどうかの判断基準にもなる。自由と責任は表裏一体だ。

むやみに争わない

国立国会図書館蔵

武士や武家の女性は武芸を身につけるが、これは争い事を好むからではない。新渡戸稲造が「武士道」の中で「負けるが勝ち」という格言について述べているように、譲れるものは譲り、無闇な争いは避けるのが武士道の思想だ。

もちろん譲れないものは戦って守らなければならないが、できるだけ争いは避ける。武士道の究極の理想は平和である。

言われたらすぐにする

仕事はぐずぐずしていたり、先送りしたりするのではなく、すぐに取りかかること。相手への配慮を何より大切にする武士道らしい姿勢だ。また、言われたことをすぐにする習慣が身につけば、今度は言われる前に取りかかるようになる。

言われてばかりの状態では己を向上させられないし、相手にも失礼。自分で行動を起こすことが重要だ。

武士道に学ぶ基本のコミュニケーション術、日々実践してみてほしい。

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