49316執念か呪いか「無実の罪で沈められたお虎」|【城と怪談 その4】前橋城跡(群馬県)

執念か呪いか「無実の罪で沈められたお虎」|【城と怪談 その4】前橋城跡(群馬県)

男の隠れ家編集部
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女の嫉妬から起こった恐ろしい事件により、利根川が氾濫を続け、遂には城をも倒壊に導く。七代先まで怨み続けた女の事件とは何か。

無実の罪で沈められたお虎

酒井氏が前橋城主であった頃、何代の誰かは定かではないが、城主がとてもご執心だった“お虎”という名の美しい女性がいた。いつも身の回りに侍らせていたため、お呼びがかからなくなった奥女中たちは嫉妬にかられた。そしてお虎のあら探しをしたが、欠点が見つからず一層嫉妬の炎が燃え狂う結果となった。

ある日、お虎が運ぶ城主の飯碗に折った針を忍ばせた。怒った城主に、奥女中らは「お虎が殿を暗殺しようとした」と讒言(ざんげん)。こうして無実の罪を着せられたお虎は、ヘビやムカデを詰めた木箱に押し込められ、生きたまま利根川に沈められてしまう。

その後、毎年秋に利根川が氾濫。前橋城の西端は欠け落ち、本丸まで崩れ落ちてしまう。そこで近くの寺に「お虎稲荷大明神」が祀られた。

お虎を慰めるため、沈められた淵付近の利根川河畔に建つ六角形のお堂「虎姫観音」。昭和43年(1968)5月に開眼式が行なわれた。

【データ】
群馬県前橋市大手町3丁目14-1
城郭構造:輪郭式平城
天守構造:三階櫓
築城主:長野方業といわれている
築城年:15世紀末
主な城主:上野長野氏、上杉氏、平岩氏、酒井氏、結城松平氏
廃城年:明和6年(1769年)、大正15年(1926)
遺構:石垣、土塁、堀

群馬県前橋市大手町3丁目14-1
アクセス:関越自動車道「前橋IC」より車で約10分

文/野田伊豆守 写真提供/前橋観光コンベンション協会
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