山の中をのんびりと進むケーブルカー。昔は数多くあったが近年はかなり数が減ってしまった。そんなケーブルカーを懐かしく感じている世代に向けて、ケーブルカーの動く仕組みについて解説しよう。

急勾配を走り抜ける。ケーブルカーの動く仕組みを知る

まずケーブルカーとは、ケーブルを繋いだ車両を機械で山上に引き上げたり、麓に下ろしたりして動かす乗り物のことだ。昭和時代にもっとも需要があり、現在でも山の上にある観光地などへ向かうための交通手段として稼働を続けている。

街中を走る電車と異なり自走できないため、2台ある車両はケーブルの両端に1台ずつ繋がれ、山上側の駅にある巻上室に置かれた大きな歯車でケーブルを巻くことで斜面を上下する。片方の車両が山上にあるときもう片方の車両は麓にあり、麓の車両が斜面を登るのと同時に山上にあった車両が麓へ下ってくるという仕組みである。これを「つるべ式」という。

車両には乗務員が1人乗車しているが、これは車掌である。運転手は山上にある運転室で操作を行って車両を動かしている。ケーブルカーはたいてい自然の中を走っており、いつ状況が変化するかわからないため、車掌はレール付近に異常がないか常に確認を行い、安全を保っている。

また単線であるケーブルカーのレールの中間点には「ターンアウト」と呼ばれるすれ違うための仕組みがある。電車で使用されるようなポイント(分機器)は、整備に手間がかかることと斜面にあるということから、ケーブルカーでは使用されない。

一般鉄道との違い。ケーブルカーの車輪が独特の構造を持つ理由

ターンアウトという仕組みがあると述べたが、ではケーブルカーはその場所でどのようにすれ違うのだろうか。

ケーブルカーは「溝車輪」と「平車輪」という異なる車輪を使用し、進行方向を一方に決めてしまうことですれ違いを安全に行っている。
まず溝車輪は、レールの両側に当たる部分にフランジという突起があり、レールをしっかりと挟み込んでいる。そして平車輪は何も突起のない平らな形をしており、レールの上に乗っているだけである。

そして2台の車両で車輪の配置は逆になっている。麓から見て、麓にある車両が溝車輪を右側につけている場合、山上にある車両は左側につけているという形になるわけだ。そうすることで、ターンアウトに差し掛かったとき麓から来た車両は右に、山上から来た車両は左に曲がり、すれ違いが可能となる。

今では数が少なくなったケーブルカーだが、関東なら高尾山や筑波山、関西では高野山や比叡山など有名な山には残っていることが多い。もしケーブルカーに乗る機会があれば、このような仕組みを思い出して色々と観察しながら乗ると、また新たな発見があるかもしれない。