京都の食卓に欠かせない 京漬物の魅力を知る

錦天満宮から約400mのアーケードが続く錦市場。「京の台所」 のその名にふさわしく、店先には京野菜や魚、漬物、惣菜、スイーツなどが所狭しと並べられ、通りを少し歩くだけで、京都の食文化の豊かさに気づかされる。なかでも漬物は京の人々の食文化に深く根付いており、古くから人々に親しまれてきた、京都人が愛してやまない食べ物のひとつだ。

豊かな地下水に恵まれた京都では、多種多様な野菜が育まれ、独自の漬物文化が発展してきた。京漬物で代表的なものといえば、「すぐき漬」だろう。このすぐき漬から植物性乳酸菌「ラブレ菌」が発見されたのは平成5年(1993)のことで記憶に新しい。ラブレ菌は免疫力の向上や整腸効果があるとされており、当時この発見は世界中で話題となった。

しかし漬物が京都の人々に愛され、その食文化が育まれてきた理由は、健康だけではないだろう。ではなぜ京都で漬物文化が長く育まれてきたのか。

京都で漬物文化が 根付いた理由とは?

一.多種な京野菜

京野菜の種類は豊富で、絶滅した2種を含む37品種が 京野菜として認定されている。平安遷都以来、文化の 中心であった京都では、全国各地から人々が集まり、 その交流によって様々な食文化がもたらされた。 京野菜のような珍しい品 種が栽培され、また野菜 中心の食文化が相まって 漬物文化が発達した。

二.地理的背景

出典◎国土地理院ウェブサイト

京都は周囲を山々に囲まれた盆地であり、海産物の入手が難しいことから野菜作りが盛んになり、保存食を工夫する文化が生まれた。また、海産物を運ぶ際などの保存方法として発酵の技術が発展したと考えられる。さらに、冬は寒さが厳しく、夏は暑いという気候は、漬物の発酵に適していたようだ。

三.文化的背景

長く朝廷が置かれ、貴族文化の中心地であった京都では、庶民の文化も同様に花開いた。京都の人は先祖代々、質素な生活を美徳としており、野菜を塩で漬け込んだ漬物はその精神とも符合、数多くの漬物が生まれた。また、禅宗の普及で精進料理が親しまれるようになったことも関係しているようだ。

>>「男の隠れ家」2020年2月号
「冬を味わう奥・京都の名店。」より