57419うさぎや(東京都・阿佐谷)|うまい団子が食べたい。其の一

うさぎや(東京都・阿佐谷)|うまい団子が食べたい。其の一

男の隠れ家編集部
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苦難の時代を超えて今に続く、母から受け継いだ味と誇り

もっちりした団子をカリッと焼き、艶のあるたれをかけた絶品の「みたらし団子」(1本151円)。

JR阿佐ヶ谷駅のすぐ近く、「うさぎや」は70年の歴史を持つ和菓子屋。上野と日本橋にも店があるが暖簾分けではなく、初代の子孫がそれぞれ店を継いで営んでいるのだという。

阿佐ヶ谷にある同店は、現在の店主である瀬山妙子さんの母・龍さんが始めた店。戦後間もない昭和25年(1950)に西荻窪で小さな店を開いたのが始まりだ。当時は砂糖や小豆、米などの確保が困難だったが、本物の材料しか使わないというのが母・龍さんのこだわりだったという。

「プライドが高い人だったから、安い人工甘味料もあったけど絶対に砂糖を使っていました。創業時は上生菓子や鹿の子、饅頭を売ってたんですが、それじゃあやってけないよと職人に言われて、団子やどら焼きも売り始めるようになったんです」

団子の上下にたっぷり餡を塗る。
1日に150本作る団子は全て手作り。

開店間際の作業場は慌ただしく動く職人たちの活気であふれていた。うさぎやの団子はもっちりとした食感と大ぶりなサイズ感が特徴。みたらしは飽きの来ない甘さで、表面につけた焦げ目と甘じょっぱいたれのバランスが絶妙だ。あんこに使う小豆は創業以来、仕入れ先は変えず信頼した材料のみを使い続けているという。

店で働いて20年になるという職人の丸山さんは「シンプルなだけに、特にあんこの味は変えないように気をつけています。ほんの少しの味の変化にもお客さんは気付くものですからね」と話す。

戦後の混乱期を乗り越え、誇り高く生き抜いてきた和菓子屋の味と伝統、その想いはこの先も続く。

製造は、妙子さんの弟(右から2番目)と数名の職人とで行う。仕込みは朝の4時半から。体力を使う重労働だ。

【店舗情報】
うさぎや



東京都杉並区阿佐谷北1-3-7
TEL/03-3338-9230
営業時間/9:00~19:00
定休日/土・金曜 ※第4金曜は営業
アクセス/JR「阿佐ケ谷駅」より徒歩3分

撮影/むかのけんじ

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