62300天王洲アイルはアメリカ西海岸!? 倉庫をリノベしたブルワリーは東京屈指のデートスポット

天王洲アイルはアメリカ西海岸!? 倉庫をリノベしたブルワリーは東京屈指のデートスポット

編集部
目次

東京にある個性的な地ビールブルワリーを訪問。醸造所を見学しながら、ビール造りにかける思いをインタビュー。併設されたレストランや売店にも立ち寄り、そのブルワリーならではの地ビールの魅力を探る。

今回は、東京湾の運河に浮かぶブルワリーレストラン「T.Y.HARBOR」を訪れた。

■アメリカ西海岸のブルワリーレストランをイメージ

高層ビルと水辺の美しさが調和する天王洲アイルのテラスからの景色

天王洲アイルは、都会的な水辺の景色と心地いい風が東京にいながらにしてお出かけ気分が味わえる街。それまで倉庫街だった街並みを変えたランドマークの一つが「T.Y.HARBOR」だ。

このブルワリー併設のレストランがオープンしたのは、1997年。いわゆる地ビールブーム全盛期の頃だが、ブームの中心は地方。東京で小規模なブルワリーは珍しく、新しい街・天王洲アイルのシンボルとして注目された。実は、水辺を活かしたブルワリーレストランにはモデルがあるとブルーマスターの阿部和永さんは言う。

「(当時の運営会社の)寺田倉庫が飲食業に参入しようというとき、アメリカの西海岸にある倉庫街をブルワリーレストランにした例があって、それをイメージしました。設備だけでなく、醸造技術もアメリカ仕込み。もともと、ペールエールの発祥はイギリスですが、小規模醸造によるペールエールはアメリカから日本にやってきた。当時の日本ではドイツ系ビールを取り入れるのが主流でしたが、当社ではアメリカンスタイルがベースになっています」(阿部さん、以下同)

ブルーマスターの阿部和永さん

オープン当初はペールエール、ウィートエール、アンバーエールの3種類でスタート。主に併設のレストランへ供給がメインだったことから、食事に合う味が重視された。

ビールの味は好評を博し、徐々にブルワリーも拡大して定番ラインナップは5種類にまで増えた。そして、2017年には、第2のブルワリーであるパイロットブルワリーをショップの隣に設立し、期間限定ビールを含めたラインナップはさらに7〜10種類に。

種類が増えただけでなく、パイロットブルワリーはT.Y.HARBORにとって新たな役割があると言う。

2017年から稼働しているパイロットブルワリー

「パイロットブルワリーでは、実験的なビールを造っています。これまで、ドイツのラオホという薫香ビールを参考にして、サンマを燻製にしてスダチをアクセントにしたビールや、ゴボウを使った土っぽい香ばしさのあるビールなんていうのも造ったことがあります。好評だったら大きいタンクで仕込んだりすることもできるんです」

T.Y.HARBORのビールは80%がレストランで消費されている。そのため、現在の定番5種類(ペールエール、ウィートエール、アンバーエール、インディアペールエール、インペリアルスタウト)の“食事に合う味”は25年目を迎えた今も変わらない。

定番の味を変えない中、パイロットブルワリーの革新的なビールが融合することで、T.Y.HARBORの個性が際立ってくる。今後も基本的なスタンスを変えず、おいしさと楽しさを提供されることが期待できそうだ。

■水辺の心地よさが満喫できる、さまざまなシチュエーションのビール体験

クラフトビアバーには赤銅のタップがあり、ここからビールが注がれる

T.Y.HARBORのビール造りの歴史と特徴を知った後は、いよいよレストランで味わってみたい。ビールと食事を楽しむ場所はクラフトビアバー、ダイニング、テラス、リバーラウンジの4つが用意されている。

クラフトビアバーは、レストランの入口部分にあり、毎日通し営業となっている。ガラス越しに醸造所があるのもここ。そのため、ダイニングが営業していない15〜17時に来店時や醸造所を感じながらビールを楽しむのもおすすめ。醸造所をガラス越しに見るときは、少し見上げてみよう。運が良ければ実際に作業している様子が見学できる。

ダイニングは約350席を有し、メインダイニング、テラス席、20人までの個室席などがある。ビールを楽しむのにおすすめなのは、テラス席か1Fの小上がりのスペース。テラス席は運河沿いの水辺の景色を眺めながらビールが心地よく味わえ、小上がりのスペースは熟成タンクを眺めながらビールがいただける。

リバーラウンジは、品川から天王洲アイルを訪れるときに渡る、ふれあい橋のたもとにある

隠れた穴場なのが、運河に浮かぶリバーラウンジ。ふれあい橋のたもとにあって、最も水辺を身近に感じられる。毎日17時からオープンし、ダイニングと同じメニューが注文できる。人数やシーン、気分によってビールを味わうシチュエーションが選べるのが魅力となっている。

メニューは各国の料理を洗練されたアレンジで楽しむアメリカ料理。ソーセージや魚や肉のグリル料理、ピザ、サラダなどがいただける。そして、ビールは醸造所からすぐにフレッシュな状態で運ばれるのがなんといっても魅力だ。

「レストランへ出すビールは、樽に詰めて1、2日でなくなることも珍しくありません。原料にはイギリスのものをベースにして、高品質なモルトを使用しています。当社のビールは、料理に調和する最強の食中酒。単独で味わうのではなく、料理と一緒に飲むことで本当のおいしさが分かってもらえると思います」

「グリルソーセージの盛り合わせ、クレオールマスタードソース、ポテトチップス」1,900円、上から「アンバーエール」「ウィートエール」「ペールエール」S(250ml)550円

ビールは定番5種類と月替りなどの限定2〜3種類がオンリストされている。それぞれS(250ml)、M(420ml)、L(650ml)、ピッチャー(1,800ml)と4サイズあるので、Sサイズで種類をいろいろ味わうのもおすすめ。

■バランスの良さが魅力の定番

左から定番のペールエール、ウィートエール、アンバーエール、インディアンペールエール、インペリアルスタウト ©︎T.Y.HARBOR

T.Y.HARBORの定番5商品は、いずれもドイツやイギリス、ベルギーの伝統スタイルの味をアメリカで現代的に磨き上げられたものを、さらにT.Y.HARBORで食事に合うようなレシピで造られている。

「当社のような小規模なブルワリーだと、大手ビール会社が造るようなラガー系よりもエール系の方が特徴を出しやすいので、ペールエールなどエール系が4種類と多くなっています。例えばペールエールは、カスケードというグレープフルーツの香りが際立つホップを使い、程よい苦味との調和が魅力です。まろやかさもあって、とにかくバランスがいいのが自慢です。黒ビールのインペリアルスタウトは、濃厚ですが、みずみずしさもあって飲みやすい味。冬季限定にしているところが多いですが、夏でも飲み飽きないので、定番としていつでも飲めます」

ショップ店内。奥にはパイロットブルワリーが見える

そして、T.Y.HARBORはブルワリーレストランだけでなく、ショップも用意されている。ビールやビールグッズが購入できるのはもちろん、ぜひ利用してみたいのが、日本では珍しいグラウラーのシステム。グラウラーとはマイボトルに使えるリユーザブルボトルのこと。

グラウラーをここで購入し、ビールを量り売りしてもらえる。サイズもいろいろと揃っている。そして見逃せないのが、ショップからガラス越しにパイロットブルワリーが見学できること。ビール醸造の現場を感じながらショッピングが楽しめる。

現在、見学は休み中だが、通常はパイロットブルワリーを使って毎月1回完全予約制の見学が実施されていた。内容は、醸造所に入って設備や原料の説明を受け、終わったらテイスティングができるもの。醸造担当者が説明にあたり、終わったら質疑応答がある。ぜひ、再開されたら予約してみよう。

T.Y.HARBORでは、料理に合うベーシックな味わいのビールや季節限定の革新的なビールがあり、さらには天王洲アイルの景色やブルワリーであることを感じる食事のシチュエーションが存分に用意されていた。その掛け合わせは、いっそうビールがおいしくなるものばかり。季節ごとに気分を変えて訪れたくなるブルワリーだった。

【T.Y.HARBOR】
東京都品川区東品川2-1-3
TEL:03-5479-4555
ランチ
平日:11:30〜15:00 (14:00 L.O.)、土日祝:11:00〜16:00 (15:00 L.O.)
※平日のみ、ベビーカーのダイニング入店は13:00~
ディナー
平日:17:30〜23:00 (22:00 L.O.)、土日祝:17:00〜23:00 (22:00 L.O.)
クラフトビアバー
平日:11:30~23:00 (22:00 L.O.)、土日祝:11:00~23:00 (22:00 L.O.)
リバーラウンジ
平日:17:00~23:00 (22:00 L.O.)、土日祝:17:00~23:00 (22:00 L.O.)
ブルワリーショップ
12:00〜21:00
https://www.tysons.jp/tyharbor/

取材・文:岡本のぞみ(verb) 撮影:八木竜馬

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