62863地酒を知り尽くした店主が教える信州の本当に旨い日本酒!

地酒を知り尽くした店主が教える信州の本当に旨い日本酒!

男の隠れ家編集部
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長野県には約80もの酒蔵があり、それぞれ異なる個性を持った銘酒を醸している。信州地酒の魅力と、地酒を楽しめる店を「男の隠れ家」が厳選して紹介する。

■自然豊かな土地で醸された信州地酒の魅力とは

長野県は、山々と深い谷、緑あふれる盆地など豊かな自然に恵まれた土地。酒造りに重要な水は、千曲川水系、木曽川水系、天竜川水系、犀川水系のほか酒蔵によって異なり、その多くが天然の湧き水を用いている。長野県酒造組合の塩入和彦さんは、信州地酒の魅力は〝食事に寄り添う酒〟であることだと話す。

「米の旨みを生かした信州の酒は派手さこそないですが、気づくとスルッと飲んでしまう、傍に置いておきたくなるような味わいです」

地域や酒蔵によって異なる味わいを楽しんでみてはいかがだろうか。

・各エリアの日本酒の特徴

【長野エリア】
善光寺平とも称される、門前町として発展した地域。軽やかなものからどっしり深みのあるものまで幅広く楽しめる。
・主な酒造:松尾(信濃町)、川中島幻舞(長野市)、若緑(長野市)など

【中野エリア】
酒造好適米「金紋錦」が生まれた地。高社山南北で酒質が異なり、辛口対旨口のような不思議な味わいが楽しめる。
・主な酒造:勢正宗(中野市)、岩清水(中野市)、水尾(飯山市)など

【北安曇エリア】
白馬連峰をはじめとする、大自然の恩恵を受けて育まれた酒造り。山の名前にちなんだ銘柄が多いのも特徴。
・主な酒造:金蘭黒部(大町市)、白馬錦(大町市)、大雪渓(池田町)など

【上田エリア】
江戸時代からの伝統を引き継ぐ酒造が集まっている。やわらかな口当たりと余韻が長めの深みのある味わいが特徴。
・主な酒造:信州亀齢(上田市)、福無量(上田市)、月吉野(上田市)など

【松本エリア】
3000m級の山々が連なる北アルプスから流れ出る雪解け水が松本平を潤す。地元でないと飲めない味がたくさん。
・主な酒造:アルプス正宗(松本市)、善哉(松本市)、岩波(松本市)など

【木曽エリア】
江戸時代、中山道の宿場として栄えた木曽路では酒造りの文化が継承されている。さまざまな酒米の違いを楽しめる。
・主な酒造:木曽路(木祖村)、七笑(木曽町)、中乗さん(木曽町)など

【佐久エリア】
千曲川の最上流地域にあたる佐久平は美味しい米の産地として知られており、たくさんの酒蔵が点在している。
・主な酒造:浅間嶽(小諸市)、寒竹(佐久市)、佐久の花(佐久市)など

【諏訪エリア】
諏訪湖周辺の酒は香り豊かなものが多く、すっきりとした後味が特徴。“諏訪五蔵”と呼ばれる蔵巡りもお勧め。
・主な酒造:本金(諏訪市)、横笛(諏訪市)、真澄(諏訪市)など

【伊那エリア】
天竜川が作った肥沃な大地では多種多様な酒米が豊かに育つ。米の旨みを生かした酒をじっくり味わいたい。
・主な酒造:夜明け前(辰野町)、井の頭(伊那市)、信濃鶴(駒ヶ根市)など

【飯田エリア】
かつては多数の酒蔵がひしめく日本酒先進地であったが、現在はそれらの蔵が統合され伝統を引き継いでいる。
・主な酒造:喜久水(飯田市)

■信州の美酒が味わえる店と店主オススメの日本酒

長野県にある地酒を楽しめる店と、信州地酒の魅力を知り尽くした店主が選んだオススメの地酒を紹介しよう。ぜひ日本酒選びの参考にしてほしい。

●醗酵バー醸

平成27年(2015)、北陸新幹線開業に合わせてオープンした同店は長野駅ビル「MIDORI 長野」の中にある立ち飲みスタイルの日本酒バー。信州産の酒だけを取り揃え、日本酒はもちろん、ワインやクラフトビール、最近では樽生シードルの販売も開始。日本酒は月替わりで12種類提供しており、「きき酒セット」は、その中から好みの3酒を選んで楽しむことができる。

酒に詳しくない人でも、その時期に合うお勧めの新酒などをセレクトしてくれる。さらに、信州を意識した小鉢のつまみがランダムで付いていて、気に入れば物販コーナーの「信州くらうど」で購入することも可能。電車待ちの合間にもふらっと立ち寄って楽しめるのも嬉しい。

注文すると目の前で並々注いでくれる。基本は冷で提供。
信州産の酒と酒肴をお得に味わえる「きき酒セット」(700円)。

【店主 松下昌靖さんに聞いたオススメ地酒】

・北安五十九(北安曇)
酸味と旨みを引き出した酒。甘口の酒造りを信条とする数少ない蔵元。冷やしても燗にしても良い。

・澤乃花 花ごころ(佐久)
優しく香る吟醸香が魅力。米の甘味を生かした、ゆったりとした深みのある味わいの辛口純米酒。

・真澄KURO(諏訪)
飲み飽きしない食中酒。七号酵母発祥蔵「宮坂醸造」の、透明感とふくらみを合せ持つ1本。

醗酵バー醸
長野市南千歳1-22-6 MIDORI長野2階
TEL:026-219-6139
営業時間:10:00~20:00(LO19:30)
定休日:不定休
アクセス:JR「長野駅」より徒歩すぐ

●日本酒専門居酒屋 深酒

松本城の近くにある同店は、県内外の日本酒が常時50種類以上取り揃えてあり、季節に合わせた旬の地酒や店主が厳選した日本酒を楽しむことができる。店名は、店主の深澤広亮さんが日本酒好きの友人と一緒に「深酒」しながら考えたもので、自身の名前と、日本酒を深く知ってほしいという思いを込めて付けたのだそうだ。

料理に合う日本酒ではなく、日本酒を引き立てるような料理にこだわり、地元の旬の食材を使用した手作りの肴が味わえる。土日祝は13時から営業しているので、旅の合間に昼飲みできるのも嬉しい。

店は深澤さん夫婦2人で切り盛りしている。
酒肴のお勧めは開田高原産そば粉を使った「自家製そば豆腐」(380円)と「菜の花の昆布〆」(580円)。

【店主 深澤広亮さんに聞いたオススメ地酒】

・御湖鶴(諏訪)
モダンで上品な味わい。近年、世界最高峰の日本酒コンクールでNo.1を受賞した人気の酒。

・居谷里(北安曇)
店で人気の看板酒。超軟水の仕込み水の特徴を生かした程よい酸味と膨らみのある味わい。

日本酒専門居酒屋 深酒
長野県松本市大手4-3-2
TEL:0263-41-0527
営業時間:平日17:00~23:00、土曜13:00~23:00、日曜・祝13:00~21:00(休前日は~23:00)
定休日:不定休
アクセス:JR「松本駅」より徒歩15分

●信州長屋酒場

長野駅のすぐ近く、酒樽の装飾でびっしりと埋め尽くされているド派手な外観が目を引く同店。まるで蔵の中のような店内には、囲炉裏やこたつのある席もあり、いつも多くの客で賑わっている。

長野県全域72蔵の地酒と、全ワイン蔵の銘柄が揃っているため、ここ一軒で長野の酒をくまなく味わうことができる。さらに、野沢菜やおやき、信濃蕎麦といった長野の郷土料理から、ローメンやソースカツ丼などのB級グルメまで、さまざまな長野の食を一度に楽しむことができるので、初めて長野を訪れる人にお勧めしたい店だ。

広々とした店内には座敷席とカウンター席があり、暖簾をくぐって店に入ると太鼓の音で歓迎してくれる。
人気の「昔ながらの野沢菜漬け」(649円)。

【店主 内藤高史さんに聞いたオススメ地酒】

・水尾(中野)
地元産にこだわり抜いた酒。奥信濃の小さな酒蔵で醸造。シンプルながら幅のある香りと味わい。

・大雪渓(北安曇)
豊かな自然が育む味。店の定番酒。北安曇の美しい自然が育んだ地元の人々に愛される酒。

信州長屋酒場
長野県長野市南石堂町1418-12 千石長谷川ビル
TEL:026-269-8866
営業時間:17:00~24:00
定休日:年中無休
アクセス:JR「長野駅」より徒歩3分

■まとめ

いかがだっただろうか? 今回は長野の地酒が楽しめる店でオススメの日本酒をそれぞれ紹介してもらった。ひと言で日本酒といっても、その特徴は多種多様。ぜひこれを参考に新たな日本酒の魅力に出会っていただけたら嬉しい。

取材協力/長野県酒造組合
写真提供(一部)/お酒に関する全ての人を応援するサイト「OSAKE」

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いくつになっても、男は心に 隠れ家を持っている。

我々は、あらゆるテーマから、徹底的に「隠れ家」というストーリーを求めていきます。

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