日本の米はおいしい。特に、今の時期は収穫されたばかりの新米を味わうことができる。

米という字の由来には、八十八という意味があるといわれる。米を収穫するまでには88もの工程を経るため、それだけ手間と時間を要するということだ。

食の多様化が進み、米離れといわれて久しいが、日本のブランド米を食べれば白米の持つ旨みを再認識することだろう。農家の努力と、味への追求の結晶ともいえる、注目のブランド米を紹介する。

●ブランド米とは

そもそも、ブランド米とは一体どういう米を指すのだろうか。実は、ブランド米という言葉には明確な定義がない。主に、次の2つの意味で用いられることが多いようだ。

▷認知度が高く1つの銘柄を袋詰めしたもの

一般的に認知度が高く、生産量の多い品種を、他の種類の米と混ぜることなく販売しているもの。例えば、コシヒカリやあきたこまちなどだ。品種を混ぜる場合は「ブレンド米」と呼ばれるため、それの対義語としても用いられる。

▷産地名と特定品種名

ある特定の産地名と、その土地で栽培するのに適した特定の品種名を指す場合。農作物検査法に基づいて農林水産省が指定する「産地品種銘柄米」が挙げられる。

例えば、「新潟県魚沼産コシヒカリ」といった、その土地ならではのおいしい米だ。一般的にブランド米といえば、こちらの「有名な産地のおいしい米」を指す場合が多いといえる。

●全国各地のおすすめブランド米

米のおいしさを知る基準のひとつに、日本穀物検定協会が実施している「食味ランキング」というものがある。この食味試験では、複数産地のコシヒカリのブレンド米を基準として、試験対象産地の品種を比較する。

ここでは、令和2年産の試験で、基準米より特に良好な「特A」に認められたものの一部を、地域ごとに紹介する。

▷北海道

つや、粘り、甘みのバランスが良く、冷めてもおいしさが長持ちする「ななつぼし」。ほどよい粘りと豊かな甘みが特徴「ゆめぴりか」、甘みが強くふっくらとした食感の「ふっくりんこ」がランクイン。

▷東北

青森県津軽「青天の霹靂」は、やや大きめの粒で食べ応えがありながらも、粘りとキレのバランスの良さが特徴。

透明感とバランスの良い食味が特徴の岩手県県中「銀河のしずく」、山形県村山「つや姫」をはじめ、最上「はえぬき」や庄内「雪若丸」も特Aに。雪若丸は平成30年に登場したニューフェイスで、しっかりとした粒感が特徴。

福島県は会津・中通・浜通すべての「コシヒカリ」が特Aだ。

▷関東

茨城県は県央と県南の「コシヒカリ」のほか、千葉県の県北や群馬県の北毛の「コシヒカリ」が特A。埼玉県の県西と県北の「彩のきずな」は、大粒で弾力があり、爽やかな甘みとうまさが特徴。

▷中部

米どころの新潟県は、上越・下越・魚沼の「コシヒカリ」が安定のランクイン。長野県の東信と南信州、岐阜県飛騨の「コシヒカリ」も特Aだ。

福井県「いちほまれ」、静岡県東部・中部・西部の「きぬむすめ」、愛知県三河中山間「ミネアサヒ」にも注目したい。

▷近畿

米のおいしい産地といえば東北が思い浮かぶが、実は近畿も米の産地として知られる。古くから江州米(ごうしゅうまい)や近江米と呼ばれる上質な米を産出してきた滋賀県は「コシヒカリ」が特A。

西日本でも有数の米どころとして知られる但馬地域を有する兵庫県は、県北と県南の「コシヒカリ」が特Aに。

▷中国

比較的温暖な気候となる地域のため、鳥取県と岡山県の「きぬむすめ」や島根県「つや姫」、広島県北部「あきさかり」といった、暑さに強い品種が特Aに。「つや姫」は山形県のブランド米だが、島根県では平成24年から県奨励品種として力を入れて産出している。

▷四国

四国・九州地方では、温暖化による影響で、主力であった「ヒノヒカリ」に代わる、暑さに強い米が研究・開発されている。香川県の「おいでまい」のほか、愛媛県と高知県の県北・県西の「にこまる」が特Aだ。

▷九州

個性豊かな米がランクインしている九州。福岡県の「元気つくし」、佐賀県は「夢しずく」と「さがびより」。長崎県は「にこまる」と「なつほのか」。熊本県の県南「くまさんの力」はなんとも可愛らしいネーミングだ。宮崎県西北山間と霧島の「ヒノヒカリ」のほか、鹿児島県の県北「あきほなみ」も特Aに。

ここで紹介したもの以外も合わせると、計53の米が特Aの評価を受けている。また、良好なものも「A」として計77の米が評価されており、そちらもぜひ注目したい。

●おいしい米をもっと楽しむために

日本穀物検定協会が実施している「食味ランキング」以外にも、米の国際大会として知られる「米・食味分析鑑定コンクール」で高評価を受けている米もある。また、産出量が少ないため店頭では購入できないが、優れた味の米も存在している。評価を受けた米は高値の場合が少なくないが、ぜひ一度味わってみたいところだ。

そして、米を味わう際に大切なのが炊き方だ。

1回目の洗米と浸水の際にはミネラルウォーターを使うのもおすすめで、浸水は時期によって30分から1時間以上置いたほうが良い場合もある。米の炊き方については、米袋に記載されている場合が多いので、一度チェックして、基本に忠実に炊いてみるのも良いだろう。

あれこれ食べ比べて、自分の舌で違いを発見し、お気に入りの米を探してみてはいかがだろうか。きっと、いつもの食卓をより楽しめるはずだ。