秋の深まる11月は、秋そばの美味しい季節。今回は、そんな秋の風物である秋そばと酒の組み合わせについて紹介したい。
●今が旬の秋そばとは?
香りの高さと滋味深い味わいが魅力の秋そばは、一年に2回あるそばの実の収穫時期のうち、9月~11月頃に収穫された蕎麦の実を粉にして作ったそばを指す。秋そばの主な産地は、茨城県の「常陸秋そば」、福井県の「福井在来種」、島根県の「出雲そば」が特に有名だ。
その中でも、茨城はそばの収穫量が北海道・長野県・栃木県に次ぐ第4位で、その収穫量のほとんどが常陸秋そばになっている。常陸秋そばの生まれた常陸太田市では江戸時代からそば作りが盛んだが、水戸光圀公の命で信州から種を移入されたことが発祥なのだとか。
常陸太田市内には「金砂郷そば街道」「水分そば街道」「里美そば街道」の3つのそば街道があり、その歴史を物語っている。
●そばと酒を一緒に楽しむ日本古来の文化
古くから酒とそばは一緒に食べる文化が日本にはある。そば屋では日本酒を「酒」と呼ばずに「御酒(ごしゅ)」「上酒(じょうしゅ)」と呼び、そばを食べる前にお酒を楽しむことを「蕎麦前」と呼んで楽しむ文化がある。
今では日本酒に限らずビールや焼酎を味わうことも蕎麦前の楽しみ方として取り入れられているが、古くは日本酒にだし巻きや板わさなどで気分を盛り上げた上で、締めにそばを食べるのが粋とされている。
蕎麦前を楽しむ際に忘れてはならないのが「つまみ」のチョイスだ。特にだし巻きは甘みを強くするのか、塩気を強くするのか。そのまま食べるか、薬味を使うのか。その好みは選ぶ日本酒の銘柄にも影響を与えるほどだ。
夏は冷酒、冬は熱燗、香りを楽しみたければぬる燗で蕎麦前を楽しんでみてはいかがだろう。
●そばと合う酒5選
ここからは、風味豊かな秋そばのお供にしたい酒を5つ紹介しよう。
▷そば×「日本酒」
まずは、「あづまみね 純米吟醸無濾過生 初搾り」だ。あづまみねは、岩手らしさをコンセプトに作られた日本酒。ほんのり感じる甘さとキレが特徴で、後味の良さがクセになる。秋そばにはもちろんのこと、天ぷらやかまぼことの相性も良い。そば屋にあったら真っ先に頼みたい酒だ。
▷そば×「日本酒」
続いて「信州亀齢 純米吟醸 無濾過生原酒 ひとごこち」を紹介しよう。「そばに合う日本酒」をテーマに作られたひとごこちは、クリアでフルーツのような味わいが特徴。さっぱりした酸味とほろ苦さのバランスも申し分ない。夏はキリッと冷で、冬は燗で楽しみたい酒だ。
▷そば×「蕎麦の酒」
蕎麦の酒は名前の通り、原料にそばと日本酒を使った珍しい酒。日本酒を使用しているが、ジャンル分けでは日本酒ではなく新しいジャンルに登録されている。ワインのような綺麗なピンク色が目を引くが、味わいはスッキリ辛口。日本酒の旨みにそばの香りが楽しめる1本だ。もちろん、秋そばとの相性は文句ない。
▷そば×「焼酎」
「そば焼酎 十割」は名前からも分かる通り、そばのみで作った本物のそば焼酎で、そばの香りを惜しみなく楽しめる。口当たりが柔らかく、味わいはフルーティーなのが特徴なので、女性でも楽しめるだろう。秋そばを食べ終わった後にそば湯割りで飲める、おすすめの酒だ。
▷そば×「白ワイン」
最後に「ルバイヤート 甲州・シュール・リー 2017 丸藤葡萄酒 白」を紹介しよう。甲州のワインは日本酒のようだと称されているだけあって、日本食との相性もバッチリ。辛口な溌剌とした香りと重厚な味わいが特徴の酒だ。
●秋はそばと酒の組み合わせに舌鼓を打つ
11月は一番秋そばが美味しい時期。そんな旬の秋そばは、上記の酒たちと一緒に楽しんで欲しい。自宅でも、秋そばと酒の組み合わせがあれば、たちまちそば屋に早変わりするだろう。