日本の挨拶は出会いと別れの際に短い言葉を交わし、軽くお辞儀をするのが一般的だ。この挨拶は日本に住んでいれば当たり前だが、海外ではまったく異なる挨拶が存在する。
そこで今回は、日本と海外における挨拶の違い、世界で実在する少し変わった挨拶を紹介しよう。海外での挨拶を知っておけば、海外旅行やビジネスシーンなどで役に立つはずだ。
■日本の挨拶
海外の挨拶を紹介する前に、まずは日本の挨拶を確認しておこう。日本における挨拶のやり方は、出会いと別れのタイミングで短い言葉を交わし、軽くお辞儀をするのが一般的だ。
このお辞儀をする挨拶は日本特有の文化であり、「会釈・浅礼・敬礼・最敬礼」といった複数のお辞儀を用いて挨拶をする。
実はお辞儀をする文化は日本が発端ではなく、仏教が広まった500〜800年頃に中国から伝わったと言われている。
なお、日本における挨拶の言葉は下記のようなものがあげられる。日本人にとっては非常に馴染み深い言葉ではあるが、念の為確認しておこう。
・おはよう
・こんにちは
・こんばんは
・ありがとう
・さようなら
そのほか、食事をするときには「いただきます」や「ごちそうさま」という言葉を発する。これらの言葉は食材に対する感謝の意味が込められている。
食事の挨拶に関しても日本では当たり前に思えるが、海外では食事の前後に決まった挨拶をしない国が多数存在している。これも日本と海外における文化の違いだといえる。
■アメリカの挨拶
アメリカの挨拶では、自己紹介の言葉と同時に握手を交わすことが多い。
相手の目を見て握手をすることで、相手に敵意がないことを表す。逆に目をそらしてしまうと「何か隠し事をしているのでは?」という不信感を持たれてしまう。
この握手の挨拶はビジネスシーンでも有効である。挨拶のときに力強い握手をすれば、プロジェクトに対するモチベーションの高さをアピールできる。
さらに、家族や恋人など親しい人との挨拶においてはハグを行う。ビジネスシーンでも親しい間柄ではハグの挨拶が当たり前である。
■イタリアの挨拶
イタリアの場合、挨拶の際にキスをすることが多い。
キスといっても頬と頬をあわせて「チュッ」という音を鳴らすのが一般的だ。日本では馴染みのない挨拶だが、イタリアでは老若男女問わずキスの挨拶を交わす。
ただし、出会ったばかりの人とは言葉や握手で挨拶を交わし、キスの挨拶はある程度親しくなった人に限る。
なお、人によっては頬に直接キスをする場合もある。日本ではほとんど見ない挨拶だが、アメリカでも挨拶の際にキスを交わす人が一定数いる。
■フランスの挨拶
フランスの挨拶もイタリアと同じように、Bonjour! (ボンジュール)という挨拶の言葉とともに頬にキスを交わす。
フランスでは友達や家族など親しい間柄ではない人同士でも、社交上の挨拶としてキスを交わす。このキスを「ビズ」と呼んでおり、知り合いや仕事仲間、友人の友人などでもビズをする文化がある。
しかし、新型コロナウイルス感染症が流行してからは、ビズを用いた挨拶に疑問の声があがった。感染拡大のきっかけになるかもしれないということで、一部地域ではビズの挨拶が中止になっている。
なお、ビズをしない代わりの挨拶としては、肘を突き合わせる、足を合わせるフットシェイク、微笑んで手を振るなどの挨拶が取り入れられている。
■世界で実在する少し変わった挨拶
ここまで、日本・アメリカ・イタリア・フランスの挨拶を紹介した。最後に、世界で実在する変わった挨拶を紹介しよう。
【キクユ族の挨拶】
ケニアを中心として東アフリカに住んでいるキクユ族は、挨拶の際に相手の手に唾をかけることがある。
これは、唾を付けることで「悪いものから身を守る」という意味を持つ。日本では失礼にあたる行為だが、キクユ族は相手のことを思っての挨拶として行っている。
【マオリ族の挨拶】
ニュージーランドの先住民族であるマオリ族も変わった挨拶をする。マオリ族は、鼻と鼻をくっつけて挨拶をする。
これは、息を吸うための器官である鼻を合わせることで、「魂のやり取り」を行っているとされる。日本では考えられない珍しい挨拶である。
■まとめ
本記事では、日本と海外における挨拶の違い、世界で実在する少し変わった挨拶を紹介した。
日本で当たり前のように行っているお辞儀の挨拶は、海外では「変わっているね」と驚かれることがある。もちろん、日本でも握手やハグの挨拶を交わす人がいるほか、アメリカやイタリアなどでも別の挨拶を取り入れている人が存在する。
「日本と海外では挨拶の文化が少し異なる」ということを知っていただければ幸いだ。ほかにも、日本とは違う挨拶を交わす国・地域がたくさんあるため、興味がある方はぜひほかの挨拶も調べてみてほしい。