日本における車両は左側通行が基本だ。日本に住んでいるとそれが当たり前であり、違和感は特にないだろう。
しかし、海外では右側通行が主流であり、左側通行の国よりも数が圧倒的に多い。中でもアメリカや中国といった、人口の多い国・地域は右側通行を採用している傾向にある。「外車=左ハンドル」のイメージが強いことからも、海外では右側通行が当たり前だということがわかるだろう。
そこで本記事では、車両が右側・左側通行である理由、それぞれを適用している国を解説する。最後まで読めば、日本と海外における交通ルールの違いが明確にわかるはずだ。
■海外での車両は右側通行が主流だが…
世界的に見ると多くの国が車両の右側通行を採用している。「外車は左ハンドル」というイメージが定着していることからも、海外では右側通行が基本であることがわかる。
ではなぜ、海外では右側通行が主流なのだろうか? それは、ナポレオンが右側通行を指示したからだとされている。ナポレオンは左利きであったため、右側通行のほうが戦術的に有利なのだ。
側近は彼の利き手側から近づくよう指示されていたので、その決まりごとが右側通行の始まりだとされている。そして、ナポレオンは広範囲に影響を与えたことから、世界各国で右側通行のルールが定着化した。
一方、日本の車両は左側通行であり、法律の「道路交通法第17条第4項」によって定められている。
日本が左側通行であるのには理由がある。一説によると、昔の武士はほとんどが右利きであり、左側に刀を差していたのが理由だとされる。
左側に刀を差した武士がすれ違いざまに鞘をぶつけないよう、当時は左側通行が適用されていた。その文化が現代まで残り、車両の左側通行が定着したのだとされる。
■右側通行と左側通行の国
先程も解説したように、海外では車両の右側通行が主流だ。世界的に以下のような国が右側通行を採用している。
【右側通行】
・中国
・韓国
・フィリピン
・イタリア
・モナコ
・アメリカ
・カナダ
・エジプト
・メキシコなど
そのほか、複数の国が車両の右側通行を適用している。しかし、左側通行を採用している国は日本以外にも意外とたくさん存在している。具体的に以下のような国があげられる。
【左側通行】
・日本
・香港
・マカオ
・インドネシア
・シンガポール
・タイ
・イギリス
・インドなど
このように、左側通行を適用している国は意外と多い。とはいえ、どちらかというと海外では右側通行が主流で、左側通行に比べて倍以上の数を誇る。
■実は日本でも右側通行の地域が存在した
現代の日本では、一部地域を除いたすべての地域で左側通行が採用されている。しかし、以前は日本でも右側通行の地域が存在した。
その地域は沖縄県である。沖縄は1945年からアメリカに占領統治されていたことで、アメリカと同じ右側通行を適用していた。沖縄の領土が日本に返還された1972年以降も、しばらくの間は右側通行が続いていた。
しかし、1978年に日本全土と同じ車両の左側通行が採用され、それ以降は現在の交通ルールが適用されている。
■左側通行でもおかしくはない
ここまで解説したとおり、現在でも左側通行の国は一定数存在する。また、車両の右側・左側通行というルールは文化的な要素が大きく、特に合理的な意味があるわけではない。
そのため、世界的に見ても「日本だけ左側通行でおかしい」というわけではないのだ。しかし、海外旅行や海外移住を検討している方は、交通ルールの違いに注意してほしい。
つい日本と同じ左側通行で運転してしまうと、交通トラブルに発展するリスクがある。事前にその国の交通ルールを確認した上で運転しよう。
■まとめ
本記事では、車両が右側・左側通行である理由、それぞれを適用している国を解説した。
日本の車両は左側通行というルールが法律で決められている。以前は右側通行を採用している地域もあったのだが、現在では一部地域を除いたすべての地域で左側通行が適用されている。
また、車両の左側交通は世界的に見て珍しいとはいえ、日本以外の多くの国で左側通行が採用されている。「日本の左側通行はおかしい」というわけでは決してないのが、海外で車を運転する際には注意が必要だ。