「まんだらけ中野店」は中野ブロードウェイの1F~4Fまで店舗展開している。迷宮の中を宝探しするように、1店1店お店をめぐるのは格別の楽しみだ。思わず時間を忘れてしまう。まずはそんな中野店の各店舗をご紹介したい。

4F「まんだらけ中野店 変や」

店の入り口に設置された幾層にも連なる大鳥居が異空間の入り口を感じさせる。中はまさに時空を超えた不思議世界だ。入り口の右手には、その時の目玉商品が常に変わるがわる置かれている。

こちらのショウケースの展示品の特徴は、一点物でサイズが大きいもの、希少性がとても高い物だ。そのため販売価格も10万円を超える物がほとんどだ。店内は昭和以前(~戦前まで)のブリキ、ソフビなど希少性の高い物が展示販売されている。販売可能な博物館といった店内だ。

2F「まんだらけ中野店 スペシャル1」

 ブロードウェイ2階にあるソフビ、ブリキなどのキャラクター造形商品を扱っている店だ。造形のジャンルは多彩だが、「変や」ほどクラシックな商品を取りそろえてはいない。比較的新しめ(1990年代以降~)の造形を中心に販売している。

まんだらけの高額商品は、保管状態のたいへん良いものだ。ここでも未開封に近い造形物は高値で取引されている。

子供の頃に買ってもらった玩具は誰だって家に持ち帰ったらすぐに開けてみたいのだ。そんな思い出の商品が時には未開封で売られているのは、なんとも夢のようだ。そのサプライズが、「まんだらけ」の強烈な魅力を生んでいる。

3F「まんだらけ中野店 買取処」

ここにはコレクターが大切に保管していた造形や、愛着のあるコミックス、小説、グラビア誌、CD,DVD、サイン入りのTシャツ、色紙他あらゆるジャンルの蔵書のシリーズを売りに来る。一般のお客さんの列は絶えない。

経済的な理由や部屋が手狭になったなど、お宝や愛憎品を手放す動機は様々だ。お客さんの持ち込む商品はどれもが保管状態の良いものが多い。持ち主の愛着が伝わってくる。これらが「まんだらけ」で磨かれてまた新しい愛蔵家の手に渡っていく。クールジャパン、日本文化はこうして、誰かが大切に未来に繋げていってほしい。

中野ブロードウェイには、「まんだらけ」の他にも多様なジャンルのお店が並んでいる。アニメのセル販売、トレーディングカードの専門店、プラモデル、ミリタリー、古い玩具の専門店、他にもコレクターがそれぞれ販売しているキャラクターショウケースも多数並んでいる。一日中散策していても飽きることはないミステリアス空間なのだ。

60余年を経て奇跡的に日の目を見た、新品のようなブリキの車

さて、今回紹介するまんだらけのお宝は、ブリキ製自動車の「東芝ユニカラー自動車〈名門〉号」だ。

野村トーイ製トヨエースの本体、ダッシュボードにロゴが入ったタイプ。60年代後半から70年代前半、カラーテレビの普及に家電メーカー各社は販売促進戦略として、様々なノベルティを展開していた。

「東芝ユニカラー自動車〈名門〉号」 1/100。発売元、野村トーイ。発売時期、1960年代。材質、ブリキ、ゴム、塩化ビニール・ポリスチレン、ポリスチレン・フリクション。「箱付き 美並」少々イタミ「本体 美」微小な傷アリ。オークション価格450.000円より。

東芝製のユニカラー「〈名門〉号」は配達車である。「〈名門〉号」は番組提供している「光速エスパー」を箱とし、その絵をルーフトップにプリントしてノベルティとして配布した。

ルーフトップにプリントされた「光速エスパー」がポイントだ。東芝のキャラクターが「サザエさん」以前は「光速エスパー」だった。

「〈名門〉号」はサイズ感、ディテール、カラーリング共にこだわりが感じられる仕様になっている。フリクションは快調で、箱を開けると箱の型崩れ防止のスペンサーと保護紙が残っている状態。この状態で今日まで保存されていたとすれば、もはや製造メーカーの保管サンプルか、デッドストックとしか考えられない最上級品。

今回の「〈名門〉号」のオークション初値の価格設定は、前回の「ミゼットの郵便車」の倍以上だ。このお宝がオークションに出展されて、初値が450,000円となっている理由は何なのだろうか?

それは、これから紹介する「トヨエース」の価格が下値の価値基準になっている。「トヨエース」はトラックの国民車。荷台が長く広く、キャビンはベンチシートで居住性が高いため採用する企業が増え、当時の軽貨物物流のエースだった。

「トヨエース」中サイズ 1/100。発売元、野村トーイ。発売時期、1960年代。材質、ブリキ、ゴム、塩化ビニール・ポリスチレン、ポリスチレン・フリクション。「箱付き 美並」シワ、下箱ヤケアリ。「本体 美」底面:美上。オークション価格120,000円より。

野村トーイの「トヨエース」は大中小の3サイズがあり、ここに出展されたのは中型サイズ。大型ホイールで滑らかなフリクション可動。底面はマットブラックで傷がつきにくい仕様。ドアや荷台のアオリが開くというギミックはないが、モールや溝まで忠実に再現されている。箱はモノクロ写真に天然色を施したオシャレなイラスト風に仕上がっている。

まず箱と本体の状態がとても良い。約60年の年月を超えて、この保管状態はなかなかないレベル。「トヨエース」はこれだけで、120,000円の価値がある。しかし当時人気の車種で、かなりの数が作られていた。現在、希少性は高いものの、現存している「トヨエース」がないわけではない。

しかし「〈名門〉号」は違う。「トヨエース」が販売されていたのに比べ、ノベルティとして配られていたので手に入れることは困難なのだ。そこで〈名門〉号はオークション初値450,000円という値段が付いたのだ。

「〈名門〉号」は、パッケージではカラーテレビを運んでいるが、他にも家電品の3種の神器と呼ばれた洗濯機、冷蔵庫の配達にも使われていた。「〈名門〉号」が家の前に着くだけでも、ご近所に鼻高々だったのだ。その思い出と憧れも一緒に値段に含まれている。まさに「〈名門〉号」はそれだけでお宝なのだ。

まんだらけ中野店
https://www.mandarake.co.jp/shop/
東京都中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ」3F 
TEL 03-3228-0007
12:00~20:00 無休
まんだらけオークション
https://ekizo.mandarake.co.jp/auction/item/indexJa.html

今回紹介した「〈名門〉号」「トヨエース」に興味のある方は、「まんだらけオークション」をのぞいてみてほしい。「まんだらけ」のイチ押しのお宝大公開、また次回もお楽しみに。

文/宮川総一郎
エッセイスト、漫画家、小説家。代表作:漫画『マネーウォーズ』(集英社ビジネスジャンプ)。小説:「七福神食堂」「東京謎解き下町巡り」(マイナビFan文庫)。総監修:「漫画から学ぶ生きる力」、他。