若い人も入りやすい、おしゃれな店
1階入り口に足を踏み入れると、目に映るのは美術関係の本。「古書店」に抱くイメージとは少し異なり、華やかな雰囲気が印象的だ。これは三代目を務める小宮山慶太さんが、代替わり以来、手がけてきた成果のひとつだという。
1939年に創業した小宮山書店。現在、社長を務める小宮山さんは社長に就任して以来、様々な改革に着手した。「見せ方を変えることで若い人の入り口にしたいと考えました」。それが、この店構えやレイアウトへのこだわりである。かつては神田神保町界隈で半ば常識だった日曜祝日の定休日も、年末年始を除いて年中無休に変更した。1階から4階まで、それぞれのフロアで異なるカテゴリーを扱い、作者名をアイウエオ順に揃えたり、地道だが見やすいフロアづくりを徹底したという。
階段を3階まで上がると、高く積まれた全集やマジックで大書きされた書名が目立つ。レジの横には哲学書のコーナーがある。小宮山書店で扱う哲学書は約1000冊。ヘーゲルやカントなどドイツ哲学が人気という。
お勧めの哲学書を聞くと「クリテリオン叢書シリーズ」を提案された。独特なデザインの表紙が特徴的で、ルネサンス時代の哲学を表した哲学書で『ルネサンスのオカルト学』など人目を引くタイトルもあり、実に面白そうだ。
美術書や写真集、カルチャーやファッションなど幅広い品揃えを誇る同店において、哲学書とはどのような位置付けなのか伺うと、「哲学書は昔から王道」とのこと。流行り廃りはあるが必ず残るジャンルだという。いつの時代も変わらぬ常連の存在が、王道たる所以なのだろうか。
【基本情報】
住所:東京都千代田区神田神保町1-7
最寄り駅:地下鉄「神保町駅」よりすぐ
営業時間:11:3-00~18:30(日曜・祝日~17:30)
定休:年末年始
写真/佐藤佳穂