13252こういう時は、ひとり、気軽に楽園へ。神秘の島・奄美への誘い

こういう時は、ひとり、気軽に楽園へ。神秘の島・奄美への誘い

男の隠れ家編集部
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手つかずの大自然が残る奄美大島。もし奄美大島に対して、リゾートやアクティビティのイメージが強かったら、自分には縁がないと思うかもしれない。だが、神秘的で雄大な大自然は、大人の好奇心を掻き立てると同時に、自分とじっくり向き合える機会を与えてくれる。ひとりで訪れるのにも相応しい場所だ。LCCの直行便就航によりグッと身近になった奄美への旅、今回は成田発のPeachを利用した。片道5990円〜、約2時間半のフライトだ。
目次

奄美大島に対して、なんとなく“近くて遠い”イメージを抱いている人は、きっと少なくないだろう。だが、LCC路線の就航によってリーズナブルにアクセスできるようになり、以前よりも身近な場所になったのだ。気軽に飛べるのであれば、気ままなひとり旅もできる。初めて訪れた筆者が見た奄美の魅力は、想像以上に深いところにあった。

「東洋のガラパゴス」と称される、美しき神秘の島

奄美大島は、沖縄本島、佐渡島の次に大きな島だ。全国的な知名度にも関わらず、訪れたことのある人が周りにそれほどいない。これが筆者の実感で、もれなく自分もその一人だった。

海の美しさは世界有数、その上国内希少動物の1割もが生息・生育する大自然の宝庫で、「東洋のガラパゴス」とも称されている。これほどまでに魅力的な場所なのに、自分も含め周りが行ったことがないのはなぜだろう。もしかしたら、リゾートやアクティビティばかりに注目して、あまり身近に感じていないのが理由かもしれない。とにかく、奄美のことをあまり知らないのは確かだ。なんとなく“近くて遠い場所”という印象を抱きながら、現地へ向かった。

奄美大島の北部に位置する奄美空港

LCCの登場で一気にハードルが下がった奄美へのアクセス

利用したのは、2019年10月1日から就航した、日本のLCC、Peachの東京(成田)−奄美線。成田空港発着の唯一の奄美直行便、唯一の定期運航便だ。フライトは約2時間半なので、そう遠くない。だが、国内の秘境へたどり着くのには、近場の海外よりもコストがかかるというのがこれまでのイメージだった。

しかしこの路線は、片道5990円〜という価格。同じくPeachが2019年12月26日から就航した大阪(関西)〜奄美に至っては、片道4790円〜だ。移動費が押さえられれば、その分ホテルをグレードアップしたり、滞在日数を増やしたりと、現地での過ごし方にも余裕が出てくる。

Peachの目印はピンクの機体。関西国際空港発着でも、唯一の直行便かつ定期運航便

奄美の文化体験から見る、自然の神秘

年間の平均気温が約21℃という温暖な奄美大島は、冬でもコートいらず。温暖多雨な亜熱帯気候なので、本州やその付近とは生態系も違う。見慣れない木々や植物、鳥などを目の前にすると、改めていつもとは違う場所に来たのだと実感させられる。

グラデーションが美しい海は、水の透明度が高い証拠。見ているだけで吸い込まれそうだ。自然と触れあえる時間については改めて触れることにして、ここでひとつ、奄美の文化体験を紹介しようと思う。

奄美の特産品の1つである「大島紬」は、日本を代表する高級絹織物だ。糸に直接色をつけたあとに織り上げる先染めであり、その全てが手織りである行程は、気が遠くなるほど手間がかかるものだった。島内にある「大島紬村」で、その一部始終を学びながら見学することができる。

陽気なガイドさんの解説により、複雑な大島紬の行程をわかりやすく学ぶことができる。

大島紬は泥染めが特徴なのだということも、恥ずかしながらこの時知った。泥染めは、世界中で奄美大島だけで行われている天然の染色方法なのだそうだ。まず、シャリンバイというバラ科の植物の木をチップ状にして煮沸した染料に絹糸を漬け、さらに泥で染める。こうすることで、色落ちすることのない深い色に仕上がる。泥はなんでもいいわけではなく、染めに適した泥は奄美の中でも限られた場所でしか見つからないとのこと。そんな貴重な泥田が「大島紬村」に存在し、さらにそこで染め体験ができるのだ。筆者もありがたく没頭させてもらった。

本来は泥田に入って染めるのだが、特別に桶で実践させてもらった
入場料500円+泥染め体験はハンカチ大1700円、のれん小5000円(いずれも税別)
大島紬村内のショップには、奄美で作られた無添加のチョコレート「ネサリチョコレート」の店舗がある

観光客を受け入れつつ、“島民ファースト”を重んじる島

「大島紬」は、わかりやすい派手さはないものの、その奥深さを知れば知るほどに引き込まれていく奇跡のようなつむぎだ。それこそ、奄美そのものではないかと感じた。奄美大島内を巡ってみて何度も思ったのは、いい意味で派手さがないことだった。圧倒的な絶景や美しい海を至るところで見られるのに、ほとんどが穴場かと思うほど静かだった。それは“島民ファースト”を重んじる文化の影響もあるかもしれない。奄美の観光に関わる方から、目指すゴールはあくまでも住民の幸福であると聞いた。世界遺産登録を目指しつつも、“生物多様性を持つ海と森を保全し、集落(シマ)の暮らしを文化とともに後世に継承する”。これが、10年後に目指す奄美大島の姿なのだそうだ。確かに、多くの観光地が陥りがちな、“本来の姿がよくわからなくなってしまった場所”は、1つも見当たらなかった。

島の北東部に位置する「あやまる岬」。ここから見る景色は奄美十景のひとつ
島を挟んで左に東シナ海、右に太平洋と、2つの海を同時に見ることができる「加世間峠」

もっと奄美を知りたい!そんな時に頼りになるLCC

さて、そんな奄美の“深さ”を知ってしまったが最後。もっと奥へ入って行くためには、移住するか何度も通うしかない。自分も周りも含めて、奄美のことをよく知らなかったというのが今まで訪れなかった理由だと思うが、きっと今回の筆者のように、神秘的な魅力に取りつかれたリピーターは数多くいることだろう。大人の好奇心を掻き立てる雄大な大自然は、同時に自分とじっくり向き合える理想的な環境であり、ひとりで訪れるのにも相応しい場所だ。

リピートするには、やはりLCCが頼りになる。おかげでまた気軽に、楽園へ戻れるだろう。

Peachは、成田および関空から1日1往復で運航。時間帯もいい

Peach 路線情報(奄美)
PEACH LIVE

大島紬村
・鹿児島県大島郡龍郷町赤尾木1945
・電話0997-62-3100
・営業時間/9:00〜17:00
・入場料/大人500円(税別) ※ショッピングのみは無料
・定休日/年中無休 ※見学は園内案内ガイド付き
http://www.tumugi.co.jp/

ネサリチョコレート
・鹿児島県大島郡龍郷町赤尾木1945 大島紬村園内
・電話0997-62-3100
・営業時間/9:00〜17:00
http://www.nesarichocolate.jp/

文・写真/河辺さや香
フリーランスライター・エディター
アジアをはじめ、国内外の旅行記事を多数執筆。ウェルネスツーリズム、ライフスタイルが得意分野。

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いくつになっても、男は心に 隠れ家を持っている。

我々は、あらゆるテーマから、徹底的に「隠れ家」というストーリーを求めていきます。

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