奄美大島の宿の中で、特に大人たちの注目を集めているのが「THE SCENE」。絶景を見渡せる静かな場所にあるだけでなく、ホテルが掲げるコンセプト「ネイチャークレンズ」によって、心身ともに浄化できると評判だからだ。別の記事で触れたヨガや瞑想、星空鑑賞以外にどんな体験ができるのか。実際に過ごしてみることにした。

「ネイチャークレンズ」をコンセプトにした、大人の宿

別の記事でも登場した「THE SCENE」が、今回の奄美旅で宿泊したホテルだ。奄美大島の南端にあり、全室がオーシャンビューという建物は、元々ダイバーたちが使っていた宿だったそう。ゆえに、島最南端のヤドリ浜まで歩いて10秒という絶好の立地。最南端だからこその静けさと大自然の美しさを満喫することができる。

周りにはホテルどころか建物もほとんどなく、プライベート感満点

ホテルのコンセプトは「ネイチャークレンズ」。ロケーション、ゲストルーム、リラクゼーション、食、天然温泉の5つの要素を掛け合わせることで、心や脳、身体を理想的な状態へ導くことを目標としている。

何もしない贅沢を謳歌できるゲストルーム

ゲストルームは正真正銘のオーシャンビューだ。白を貴重としたインテリアに、窓から臨む空と海の青さが抜群に映える。この景色だけでリラクゼーション効果があると言っても過言ではない。

シンプルで落ち着くインテリア。過度な装飾がないのがいい

実はこのホテル、奄美大島で唯一の天然温泉があることでも知られている。「きゅらの湯」と名付けられたこの湯は塩分を含んでいるので、湯冷めしにくく、肌をなめらかに整えてくれるのだとか。しかも露天風呂なので、1日を通して様々な空を眺めながら、身も心も休めることができる。2月の夜の露天風呂からは、満点の星空を見ることができた。なお、客室内で受けられるスパメニューには、奄美の薬草・月桃オイルを使って行う施術「LOMU」があり、筋肉疲労を感じている男性にもお勧めだそうだ。

昼間は開放感抜群。この温泉からの風景は、南国ならでは!

食はホテル滞在のお楽しみ

ホテルに籠もりたくなる要素の1つとして、食事の満足度が挙げられるだろう。「THE SCENE」のディナーは、イタリアンか和食コースの二択。いずれも名シェフの監修によるものだ。今回いただいたイタリアンのコースには、奄美産のイラブチを使ったポワレや、鹿児島黒牛A5ランプの炭火焼きなど、地元の食材を使った華やかなメニューがラインナップされていた。素材の新鮮さはもちろんのこと、繊細な旨みが引き出された料理の数々は、コースが進むほどに食が進んだ。なお、日替わりの朝食ブッフェでは、奄美の郷土料理・鶏飯が登場することもある。

イタリアンのコースから。「鹿児島黒牛A5ランプの炭火焼き」

奄美の食を知ることができる、評判の3軒

もし奄美の食についてもう少し知りたければ、以下の店舗に訪れてみるといい。

「島とうふ屋」は、奄美の海水からとれるミネラル豊富なにがりを使った木綿豆腐料理が食べられる食堂。まずは、お店のお勧めでもある「島とうふ屋定食」を味わってみよう。三枚豚を塩漬けにした奄美の伝統料理「塩豚」、もしくは「角煮」のほかに、錚々たる豆腐料理がズラリ。ボリューム満点だが、ほとんどが豆腐なのでヘルシーだ。さつまいも、米、砂糖を発酵させた奄美ならではのドリンク「みき」は、定食を注文すると無料で飲むことができる。

「島とうふ屋定食」1700円(税込)。内容は、奄美の生湯葉とエビのかき揚げ、ピーナッツとうふなど
左上が奄美のソウルドリンクとも言われる「みき」。豆乳(右上)や豆腐(下)も定食を注文すれば無料サービス

美味しい鶏飯が食べられると有名なのは、「鳥しん」。奄美大島のソウルフードでもある鶏飯は、藩政時代に薩摩藩の役人たちをもてなすために作られたのが由来だ。10時間以上鶏ガラを煮込んだ醤油ベースのスープに、奄美でとれた天然塩を加えた出汁は、旨みがぎっしり。サラサラといくらでも入りそうで、病みつきになる味だ。

「鶏飯セット」1400円(税込)。鶏飯の具材は、鶏ささみのほか、パパイヤの漬物やしいたけなど
名瀬地区にある「鳥しん」訪れた日は、ちょうど開店29周年の記念日だった

「なつかしゃ家」は、完全予約制の奄美伝統料理店。古民家を改築した個室は、風情がありつつもどこか懐かしさを感じる佇まいで、遠方からのリピーターも多いそうだ。大きな竹ザルの上に乗った島料理の数々は、口に運ぶ度に新たな発見があり、改めて奄美の食文化を掘り下げたい衝動に駆られた。ほかにも、奄美の薬用野菜「はんだま(水前寺菜)」の茹で汁で炊かれた華やかなごはんや、すり潰した車エビのお吸い物などがコースでふるまわれ、それらは何度もうなるほど絶品だった。

メニューは、コース料理5000円(税込)のみ。前日までに要予約
甘く濃厚な旨みに驚かされた、車エビのお吸い物「ほやほや」

食文化は土地の自然や歴史を背景に育まれる。例えば発酵食品は長期保存がきくため、古くから亜熱帯の島の暮らしに欠かせないものだったそうだ。豆腐のにがりや鶏飯、島野菜の数々も、それらの食材を通じて背景を知ることで、少しずつ奄美を知るきっかけになった。しかし、これらはほんの一例。まだまだ多くの“シマジューリ(島料理)”があるので、それらは次回以降のお楽しみとしたい。

Peach 路線情報(奄美)
https://www.flypeach.com/lm/st/route/kansai-amami
PEACH LIVE
https://peachlive.net/area/amami/

THE SCENE
鹿児島県大島郡瀬戸内町蘇刈970
電話0997-72-0111
客室数/21
https://hotelthescene.com/

島とうふ屋
鹿児島県大島郡龍郷町中勝1561-1
電話0997-55-4411
営業時間/11:00〜20:00(ラストオーダー)
年中無休
https://shimatoufuya.jp/

鳥しん
鹿児島県奄美市名瀬伊津部町12-6
電話0997-53-6515
営業時間/11:00〜23:00
年中無休
http://www.torishin.co.jp/menu.htm

なつかしゃ家
鹿児島県奄美市名瀬柳町11-26
電話090-5292-6123
営業時間/18:00〜22:00頃 ※完全予約制のため、前日までに要予約
不定休

文・写真/河辺さや香
フリーランスライター・エディター
アジアをはじめ、国内外の旅行記事を多数執筆。ウェルネスツーリズム、ライフスタイルが得意分野。