17551どの味がお好み?「熟成ラム」を飲み比べて違いを楽しもう

どの味がお好み?「熟成ラム」を飲み比べて違いを楽しもう

男の隠れ家編集部
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熟成期間や熟成方法によって、まるで違った味わいになるラム。それも、ラムが持つバリエーションの広さを知るための物差しのひとつだといえる。軽快な口当たりのものから、どっしりと重厚なものまで、気分で飲み分けるのも楽しい。ここではラムの熟成による違いを解説する。
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ホワイトラム

蒸留後、加水調整をした原酒を、ステンレスタンクで3カ月から1年未満寝かせ、それから瓶詰め、出荷するものがホワイトラムである。樽で熟成させていない、無色透明のラムだ。すべてのラムの中で最も生産量が多く、カリブ海諸国での現地消費の約9割を占める。

バカルディ/スペリオール

トラディショナル・ラムの場合はすっきりと軽めで飲みやすく、ストレートで楽しむほか、フルーツジュースやコーラとの相性も良いのでカクテルのベースとして使われることが多い。

アグリコール・ラムではサトウキビ本来の甘みや旨み、青々とした香りなどが感じられ、個性豊かで重め。ストレートやロックで楽しむのに向いている。また、ティ・ポンシュのように個性を生かしたカクテルにも使われている。

ハイテスト・モラセスは中間的な味である。こちらも素材の風味が生きているので、まずはストレートで味わってみたい種類だ。

ゴールドラム

加水調整した原酒を木樽に入れて、2カ月~3年未満の熟成をさせたラムがゴールドラムだ。基本的にはチャー(樽の内側を焼き焦がして木香を抑え、リグニン、タンニンなどを木の表面に引き出す作業)を施していないオークの大樽、またはバーボン樽を使用する。

アプルトン エステート/シグニチャーブレンド

ラムがカリブ海諸国で造られ始めた当初は、ホワイトラムしかなかった。しかし大航海時代、新大陸からヨーロッパまでの船旅は3~6カ月を要するため、樽に詰めて積み込んだラムが熟成され、到着する頃には風味豊かな琥珀色の酒になった。それがラムを樽熟成させるようになった始まりといわれている。

ホワイトのフレッシュ感を残しつつもまろやかな味わいに加え、トラディショナル・ラムでは各ブランドの個性が表に出てくる。アグリコール・ラムは荒さや青々しさが和らぐ。ストレートやロックで味わいたい。

ダークラム

3年以上、木樽で熟成させたラムがダークラムと呼ばれる。チャー、またはリチャー(別の酒に使用されていた樽を再度チャーすること)した樽を使う。カリブ海諸国ではゴールドと合わせて熟成ラムの9割が輸出用だといわれている。ほとんどはバーボン樽を再利用するが、イギリス系ではシングルモルト・ウイスキー樽、フランス系ではコニャック樽、スペイン系ではシェリー樽を使うブランドもある。

マイヤーズラム/オリジナルダーク

暑い国なので熟成は早い。ラムの3年はスコッチの6年以上とされ、昔は8年でピークを迎えるといわれていた。現在は空調を管理したり、樽ごとヨーロッパに運び長期熟成するものも多い。また、冷涼な高地で20年以上熟成させるラムもある。深い木の香りや豊かなコクを、ストレートでじっくりと愉しみたい。

【おまけ】スパイスドラム

キャプテン モルガン/スパイストラム

スパイスドラムとは、ラムにスパイスやハーブ、果実などを漬け込み、風味や甘みをつけたもの。ラムリキュール、ラムパンチ(漬けラム)などもこれに含まれる。シナモン、ナツメグ、バニラ、ライム、オレンジ、グアバベリーなど、使用する材料はさまざまだ。現地にしかない、ボアボンデという木の皮を使ったものもある。

ハイチの市場で自家製スパイスドラムを売る女性。それぞれ秘伝のレシピがあるという。

もともと、現地の人々は薬草を漬けて子供が熱を出した時に飲ませたり、初期の荒々しいラムのクセを和らげるため、甘みや香りを加えたりしていた。それが現在でも続いており、ハイチなどではラムに薬草を入れたマジックスパイスと呼ぶ『まじない薬』もよく見かける。

一般に出回っている品は比較的、飲みやすいものが多い。それぞれの味わいをそのまま楽しむほか、カクテルのアクセントにしたり、菓子の風味付けに使ったりすると良い。

取材協力/多東千惠(Tafia) 文/秋川ゆか 写真/日本ラム協会、遠藤純、北神智子、古末拓也


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