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実はいろいろ使えるスピリタス

スピリタスとは?

スピリタス(英語:spirytus)は、ポーランドが原産地のウォッカ。アルコール度数は96度とほぼ100%に近い高い濃度を誇り、これを超える飲用のお酒は現在世界のどこにも流通していない。

スピリタスのボトルには本国のポーランド語でSPIRYTUS REKTYFIKOWANYと記されているが、これは精製アルコールという意味で、エタノールや蒸留酒全般のことを指す。日本の酒屋や通販サイトで見かけるのはミリオン商事が輸入するポルモス・ワルシャワ社のスピリタスが最も有名で、日本ではスピリタスのことを特定の銘柄だと思っている人も多いと思うが、ポーランドには複数のブランド種類があり、いろんなボトルを見かける。

スピリタスの原料と製造方法

スピリタスの主原料は、ジャガイモなどの穀物。製造方法はウォッカと同じで、原料となる穀物を糖化・発酵させた後、連続式の蒸留機にかけてグレーンスピリッツへ蒸留していく。ウォッカの中でも特にアルコール度数の高いスピリタスは、この蒸留作業を70回以上繰り返し、加水をせずろ過することでアルコール度数を高めている。

スピリタスに賞味期限はない?

ウォッカやウイスキーなどほかの蒸留酒と同じく、スピリタスには賞味期限の記載が義務づけられていない。未開封で保存状態が良ければ長期に品質を保つことができ、開封後でも正しく保存すればすぐに飲みきる必要はない。高いアルコール度数のお酒は、有害な微生物が繁殖しづらいことから製造日や賞味期限の表示義務がなく、スピリタスも開封前・開封後ともに常温で長く保存することが可能だ。

スピリタスはからだに良い?悪い?

スピリタスはカロリーも最強

お酒のカロリーの高さはアルコール度数の高さと比例する。そのため、世界一度数が高いスピリタスは、アルコールの中でもかなり高い部類に位置する。ビールなどほかのお酒のアルコール度数とカロリーを比較すると、数値がグンと目立ってしまう。

<100gあたりのお酒のカロリー>

・ビール:約40kcal
・ワイン:約73kcal
・ラム酒: 約240kcal
・スピリタス:約600kcal

ほかのアルコールと比べると圧倒的に高カロリーなスピリタスだが、度数が高いお酒は全般として、ゆっくりと嗜むことが多いだろう。ビールやワインを何倍もおかわりするなら、割って薄めたスピリタスを少量飲む方が結果としてカロリーを抑えられることもある。スピリタスを嗜むなら、アルコール度数の高さも念頭に置きながら、飲む量に気を付けることが重要だ。

糖質制限中におすすめ

お酒に含まれる糖質の量は、製造方法によって異なる。スピリタスは、蒸留を70回以上繰り返して造る高濃度スピリッツ。糖質は蒸留することで抜けるため、スピリタスにはほぼ糖分が含まれず、糖質制限中に飲むお酒としては最適だと言える。

一方、飲みやすく比較的カロリーの低いビールや日本酒などの醸造酒は、蒸留を行わないため糖分を多くを含んでいる。糖質制限中にアルコールを楽しみたいときはスピリタスのような蒸留酒を選ぶとよいだろう。

スピリタスのおすすめの飲み方

スピリタスはどんな味?

スピリタスをストレートで飲むと、そのアルコール度数の高さから喉や胃がカッと熱くなり、ヒリヒリとした刺激を感じる。味や香りはほとんどなく、ほかのフレーバーとバッティングしないためいろんな飲み方や割り方が楽しめ、ウォッカを使ったカクテルレシピはそのままスピリタスのカクテルレシピとして応用できる。

スピリタスのカクテルレシピ

スピリタスを使ったいろいろなカクテルレシピ

スクリュードライバー

ウォッカでも馴染みの深い、オレンジジュースと割ったカクテル。スピリタスを使う場合、アルコール度数が高いため、オレンジジュースの分量を多めにするといいだろう。氷を入れることでアルコール度数が下がり、さらに飲みやすくなる。

ウォッカトニック

こちらもウォッカでは定番のカクテル。トニックウォーターとライムジュースでウォッカを割るのだが、スピリタスを使う場合は、ウォッカの半分程度の量に留めておくといい。清涼感があり、すっきりしたいときにおすすめのカクテルだ。

パールハーバー

スピリタスをメロンのリキュールとパインジュースで割った、トロピカルなカクテル。甘みが強いため、初心者でも飲みやすい。また、鮮やかなグリーンのカクテルは見た目も楽しめるだろう。

ブラッディメアリー

トマトジュースでスピリタスを割ったカクテル。アルコール度数が下がるため、アルコールがあまり強くない人でも飲みやすいのが特徴。また、トマトには血中アルコール濃度を下げる効果があると言われており、酒の周りが緩やかになったり酔い覚めを早めてくれる効果も期待できる。

トマトの持つ独特な味わいが苦手な人は、レモンやライムなどの柑橘類を軽く絞ることで飲みやすくなる。

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スピリタスを使った果実酒レシピ

スピリタスは果実酒のベースに最適

カクテルとしても十分楽しめるスピリタスだが、原産国のポーランドでは、好きな果物をスピリタスに漬け込んで作る果実酒が伝統的な飲み方。スピリタスはアルコール度数が高いため、ほかのお酒と比べて短時間の漬け込みでもしっかりと果実の味が出る上に、スピリタスの持つ雑味のない味わいが果実の甘みを引き出してくれるという利点もある。

レモン

イタリアで生まれた「リモンチェッロ」は、スピリタスを使った定番の果実酒。皮のついたレモンを瓶いっぱいに詰め込み、約3週間~1ヶ月漬け込む。そのまま飲むのはもちろん、トニックウォーターや飲料水と割って飲んでもおいしい。

オレンジ

オレンジを使う際は果肉と共に皮も漬け込むのが一般的。白いワタの部分も漬け込むと苦みが出てしまうため、予め取り除いておく必要がある。漬け込み期間は約1~2ヶ月。飲む際にレモンやライムを搾れば、さらに清涼感を感じられる。

いちご

甘味が好きな人におすすめしたいのが、いちごを使った果実酒。いちごの漬け込み目安日数は約1~3週間と他の果物よりも短期間で完成するため、早く果実酒を楽しみたいときにも適している。さらに甘味が欲しいときは、氷砂糖を追加するといい。

焼酎や日本酒をベースに使うことが多い梅酒だが、スピリタスでも作ることができる。梅と氷砂糖を使い、スピリタスと1:1で長期間漬け込む。あく抜きやヘタ取りなど、他の果実と比べて少し手間がかかるが、日本人にとって馴染み深い飲み方のひとつであり、スピリタスで作る果実酒の中でも人気が高い。

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スピリタスを扱うときの注意点

誤ったスピリタスの扱い方はリスキー

アルコール度数の高さゆえ、スピリタスを扱うときはいくつか気を付けたいことがある。

まず、火の近くは避ける。日本の消防法では、アルコール濃度が60%を超えるお酒は危険物に該当する。特にスピリタスは、ガソリンと同等の厳重な管理を求められる「第4類危険物」に当たり、日本国内で流通している500ml以上のスピリタスの容器には「火気厳禁」「火気に注意」などの記載が必要だ。

お酒に直接火がつかなければ大丈夫と思う人もいるかもしれないが、これだけ度数が高いと気化したアルコールに引火する可能性も十分にある。成分のほとんどが純粋なアルコールのため、タバコ程度の火でも引火する可能性が非常に高い。液体に火を付けなくても、気化したアルコールに火がつき、服や髪が燃えてしまったという事例もある。危険物であることを十分に理解し、厳重に扱うことが重要だ。スピリタスを飲むなら火は遠ざける、タバコは吸わない、ということを心がけてほしい。

もう一つは、アルコール度数の高さを軽く見ないこと。昔は若気の至りでスピリタスを一気飲みしたものだ、と武勇伝を語る人もいるかもしれないが、あまりかっこいいエピソードとはいえない。

割って飲むときも、無味無臭に近いスピリタスは意外と口当たりがよく飲みやすいため、飲みすぎに気がつく前に泥酔状態になることも。急性アルコール中毒になる可能性もあるため、危険が伴う飲み方は避け、大人らしくスピリタスと上手に付き合おう。スピリタスカプセルなどは、論外だ。

スピリタスはどこで買える?

取り扱いのリスクを十分理解した上で、スピリタスを買うなら酒屋を訪ねてみよう。大きめの酒屋であればたいてい手に入れることができる。一部スーパーでも見かけるがコンビニでは取り扱いがなく、インターネット通販がもっとも確実に手に入りやすい。

スピリタス(ポルモス・ワルシャワ製)

消毒にもスピリタス

新型コロナウイルスの影響で、スピリタスを消毒液として求める人が増えたが、ポーランドでは以前からウォッカを消毒目的で使う習慣があり、スピリタスも飲用以外に感染症予防や治療の目的で使うことが一般的だという。ウォッカのなかでもアルコール度数が高いスピリタスはお酒のベースとしての役割と、消毒目的での役割を兼ね備え、マルチに使える万能酒として重宝されている。

そのままの高濃度ではアルコールの揮発性が高いため、消毒効果を最大限に高めるためには薄めて希釈する必要がある。

スピリタスでの消毒方法

消毒液として厚生労働省が推奨しているのは、エタノール濃度が70%(=アルコール度数70度)以上のもの。平均的なウォッカは35~45度程度とアルコール度数が足りず、注目されたのが96度のスピリタスだった。

ウイルスの不活化が期待できるスピリタス消毒液の分量の目安は下記のとおり。

スピリタス 400ml
精製水 100ml

4:1の割合で混ぜ合わせることで約76.8度の消毒液が完成する。精製水がない場合、ミネラルウォーターや水道水でも代用できるが、精製水と比べると日持ちしないため、少しずつ少量で作ろう。

スピリタス以外の高濃度のお酒でアルコール消毒液を作るなら下記の記事を参考にしてほしい。

アルコール消毒液の作り方|お酒・エタノール濃度を薄める代用方法

スピリタスの使い方

スピリタスで作った消毒液は、さまざまなシーンで使える。まずは手指の消毒用。アルコールに対応しているスプレー容器に入れて、自宅や外出先で気になる時にプシュッと殺菌。ウィズコロナ時代の新習慣にスピリタスが役立ってくれる。

手指以外にも、掃除用の除菌スプレーとして使っている人も多い。トイレやバスルームの除菌にも使えるが、キッチンやダイニング、リビングなど、食品を扱う空間ではとりわけ体に害のない消毒液を選びたい。飲むことを前提としたお酒をベースにした消毒液なら、食あたりや食中毒など別のウイルスの脅威と戦うときも強い味方になってくれそうだ。

「世界最強」という肩書きから、キケンで自分には無用なお酒だと思っている人も多いスピリタスだが、付き合い方を心得れば暮らしのなかでこんなにマルチに活躍してくれる。これからの新しい生活様式では、スピリタスを家庭に1本常備する習慣が日本にも根付くかもしれない。