キャンプ場には、12カ月それぞれでワクワクすることが満載! ソロキャンプ歴34年、日本単独野営協会・代表の小山仁さんがその時期ならではのキャンプの楽しみ方や快適な過ごし方を伝授。桜が咲き誇るこの時期は、お花見キャンプの楽しみ方を教わった。
(※キャンプの様子は【関連画像】を参照)
【文・小山仁(おやま ひとし)】
日本単独野営協会代表理事。中学生の頃からキャンプに親しみ、キャンプ歴は34年。ソロキャンプの健全な普及を目指して、2018年に日本単独野営協会を設立。2万3000人の会員を率いて野営地の清掃活動や初心者支援活動、キャンプイベントを実施している。
日本単独野営協会:https://tandokuyaei.com
お花見キャンプの醍醐味は、お酒がゆっくり楽しめること
春の訪れとともに、お花見シーズンの到来です。われわれキャンパーが楽しみにしているのが、お花見とキャンプを一緒にした「お花見キャンプ」です。お花見とキャンプを組み合わせると想像以上の楽しみが待っています。
お花見で見られる代表的な桜は、染井吉野(ソメイヨシノ)です。日本の桜の8割を占め、開花予想にも使われています。今年は全国的に桜の開花や満開が早まり、満開予想日は福岡で3月26日頃、大阪で3月28日頃、東京で3月21日頃、宮城で4月2日頃、北海道で4月28日頃となっています。同じ時期には、大島桜(オオシマザクラ)も見ることができます。大島桜は日本の固有種です。桜餅に使われている葉っぱといえば一気になじみ深くなりますね。ぜひ、キャンプ場でも見つけてみてください。
お花見の楽しみといえばお酒をあげる人が多いと思います。そうです。お花見キャンプの一番の醍醐味は、帰りのことを気にせず、思いっきりお酒が楽しめることです。そもそも車やバイクで行ってしまうと、お花見でお酒を呑むことができません。そうなると公共の交通機関で行かないといけないのですが、酔っ払った状態で帰りの電車やバスに乗るのも気が引けます。
お花見キャンプなら、車やバイクで行って、飲んだらその場で寝てしまえばOK。翌日、酔いが冷めたら帰る。それができるのがお花見キャンプなのです。
お花見キャンプの1日の過ごし方
お花見キャンプの1日目は、現地についたらまず設営をしましょう。寝床もしっかり作ってからがポイント。寝床をつくるときには、春は日中と夜の寒暖差が激しいので注意が必要です。シュラフは夏用には早いので、冬用を用意します。
設営をすませたら買い出しに行き、おつまみの用意など全ての事を終わらせてから飲み始めます。そうすればどんなに酔っ払ってもその場ですぐに寝ることでき、翌日、お酒が完全に抜けてから楽々帰ることができます。
花見のときにおすすめのお酒は、花見酒といわれる日本酒です。3月から5月のこの時期は、春限定の春酒が販売されています。桃色のボトルや桜をモチーフにしたラベルなどは気持ちもはずんでくるもの。「桃色にごり」「うすにごり」「おりがらみ」などのにごり酒や、スパークリング日本酒も旨みがあって、桜の時期にぴったりです。
また、キャンプ場に出かけたら、酒蔵やスーパーを訪ねて、現地の酒を現地で楽しむのもおすすめです。私は、神奈川県愛川町でキャンプをして、そこにある「大矢孝酒造」でよく日本酒を調達しています。現地で地元の酒を楽しむのは本当においしいものです。
お花見キャンプでは長い時間お酒が楽しめるので、こうしたお酒を順番に楽しんでみるのも良いですね。ゆったりとした花見酒は、なんともいえず贅沢な気持ちにさせてくれます。
その場に泊まることができるお花見キャンプは、昼間とは違う表情の桜を見るのも楽しみの一つ。ほろよい気分で見る夜桜は、なんとも幻想的な風景です。時間によって変化する桜の表情を一日中楽しんでみてください。
お花見キャンプのやり方と注意点
●キャンプ場探し
基本的には、キャンプができる場所を探し、その合間にツーリングやお散歩で桜がある場所を探します。キャンプ場によっては、場内に桜があるところもあるので、そうした場所を選ぶのも一つの手です。お花見キャンプといっても、「お花見できる場所=キャンプできる場所」ではないことに注意しましょう。
●お花見キャンプの服装
軽くて脱ぎ着しやすい風を通さないものを選ぶと良いでしょう。この時期は暑さ寒さが入り交じるので、重ね着をして日中と夜に調整できるようにすると便利です。
●ゴミは持ち帰りましょう
ゴミを放置するとお花見やキャンプができる場所がどんどん減ってきてしまっています。桜を見ながらお酒を飲んで、人が集まると、どうしてもテンションが上ってしまうものです。お酒は好きなだけ飲んだら、ゴミはしっかり持ち帰りましょう。
●桜の木の下での焚き火はNG
桜の下でキャンプをするのは構いませんが、木の根元で焚き火をするのはやめましょう。木に大きなダメージを与えるだけなく、沢山の人が代わる代わる同じところで焚き火をしてしまうので、最悪は火災のリスクもあります。桜の木の下以外で焚き火をする場合も、直火は避けて焚き火台を使用します。もちろん、焚き火が終わった後は「焚き逃げ」をせず、灰も炭も全て持ち帰りましょう。
キャンプ場での花粉症対策
この時期は風の強さと、それに乗って舞う花粉が人々を苦しめる季節でもあります。キャンプ場に行ってもアチラコチラのテントからくしゃみが聞こえてきます…。
花粉症でお困りの方は、この時期つらいでしょうけど、飲み薬、鼻うがい、マスクなどの装備をしっかり整えて行くことをおすすめします。重い人では熱が出たりすることもあり、せっかくキャンプに来て熱が出て帰るのでは辛い思い出になってしまいますので、準備は万全にしてください。
それともう一つ、この季節にもってこいのアイテムがあります。目の周りをしっかり覆ってくれる「保護メガネ」です。風が強い季節なので、キャンプ中に舞う微細なゴミやホコリが目に入ることも防いでくれ、また、焚き火をする際に煙が目に入ってしみる事も防いでくれます。サングラスと違い、色が入っていないので、自然の景色をそのまま楽しむこともできます。ぜひ、春のキャンプアイテムとして取り入れてみてください。
【おやまのつぶやき】
ソロキャンプは誰にも気を使わず、好きな時に行き、好きなことだけをやって、好きなものだけを好きなだけ飲み食いし、好きな時に寝て、好きな時に起きて、好きな時に帰る。
本当に自由を楽しめるストレスフリーで最高なレジャーだと思うのですが、時々自分の出したゴミをその場に捨てて帰ってしまう人や焚き火の炭や灰をその場に置いて帰ってしまう人がいます。自由を楽しむにしても、そこには果たさなければならない義務がかならず付いています。これから春の行楽に出かける方は、自由と自分勝手の違いをしっかり認識した上で思い切り楽しみましょう。
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