日本国内で愛され続ける「ホッピー」。ホッピーとは、麦芽とホップで作られるビアテイストの清涼飲料水である。製造工程はビールとほぼ同じだが、アルコール度数が低いため、アルコール飲料ではなく清涼飲料水に分類されている。
ホッピーの歴史は長く、ビールにはない数々の魅力が備わっている。ホッピーとビールの違い、ホッピーの歴史を深く理解してもらうためにも、今回はホッピーについて徹底的に解説していく。ビールが好きな人、ホッピーに興味がある人はぜひ本記事を最後まで読んでほしい。
老若男女に人気のホッピーとは?
「ホッピーのセット、白で」「こっちは黒ね」。今ではこんな声が、大衆居酒屋だけに限らず、洒落た飲食店でも普通に聞かれるようになった。愛飲家には今さらな話で恐縮だが、ホッピーとは麦芽とホップと水で作られた、元祖ビアテイストの清涼飲料水なのだ。
誕生は昭和23年(1948)。ビールと同じ材料、製造工程ながら麦汁の濃度や酵母、発酵時間など秘伝のノウハウで、アルコール度数が0.8%の爽やかな飲み物が生まれたのである。それは本物のホップを使っていることから、ホッピーと名付けられた。
カストリやバクダンと呼ばれた粗悪な密造酒が出回っていた発売当時、酒を格段に旨くするということでよく売れた。時代が流れ今では、焼酎だけでなく様々な酒の割り飲料に。ここでは幅広い層に人気を得ている秘密に迫る!
ホップ
麦芽
製品 | アルコール 分(%) | エネルギー (kcal) | タンパク質 (g) | 脂質 (g) | 糖質 (g) |
ホッピー | 0.8 | 11 | 0.1 | 0.1未満 | 1.7 |
黒ホッピー | 0.8 | 12 | 0.1 | 0.1未満 | 1.9 |
55ホッピー | 0.8 | 11 | 0.1 | 0.1未満 | 1.7 |
ホッピー330 | 0.8 | 11 | 0.1 | 0.1未満 | 1.7 |
ホッピーブラック | 0.8 | 12 | 0.1 | 0.1未満 | 1.9 |
ホッピーの歴史|ビバレッジ社の前身は115年前に始まった
続いて、ホッピーの歴史について解説する。歴史を知れば、ホッピーの魅力をより深くまで理解できるはずだ。
その歩みの第一歩はわずか10歳の少年が記した
「ホッピービバレッジ」の前身が誕生したのは、明治38年(1905)。当時は「石渡五郎吉商店」という名で、赤坂にあった陸軍の連隊に餅菓子を納める御用商人としてスタートしている。店を任された石渡秀は、その時わずか10歳だった。それから3年後、秀は軍からの要請でラムネの製造も始める。そして明治43年(1910)、独立して「秀水舎」を設立し、サイダーも製造を始めた。
大正時代になると、ノンアルコールのビールが流行した。だが秀は「そんなまがい物は作らない」と考えていた。その頃、ある縁で長野県野沢にラムネ工場を建設する。そこで一面に広がるホップ畑と出会ったことで「本物のノンアルコールビールを作ろう」と閃く。その後、試行錯誤を繰り返した。
昭和20年(1945)、終戦を迎えた会社は野沢工場から赤坂へラムネ製造機を運び再スタート。昭和23年(1948)、ホッピー製造に成功する。この時、社名をコクカ飲料とした。粗悪な酒もホッピーで割れば旨くなると、たちまち人気を獲得したのであった。
history
創業者・石渡秀
わずか10歳で店を任されたが、時代を見る目と逆境もチャンスに変える精神で、115年の歴史の礎を築いた。
二代目・石渡光一
証券会社で営業のイロハを身につけ、新たな販売ルートを拡張する。1979年に2代目社長に就任し、事業を拡大する。
三代目・石渡美奈
大手製粉会社に勤めた後に入社。柔軟なアイデアを取り入れて、新風を吹き込む。2010年に3代目社長に就任。
ホッピーの銘柄一覧
続いて、ホッピーの銘柄をそれぞれ紹介する。販売されているホッピーの銘柄は以下の通りだ。
- ホッピー
- 黒ホッピー
- 55ホッピー
- ホッピー330
- ホッピーブラック
各銘柄を1つずつ見ていこう。
ホッピー
愛飲家たちからは“白”と呼ばれているオリジナルのホッピー。そのまま飲んでも飽きさせない、本物の味。
黒ホッピー
研究開発に10年を費やして、1992年に発売された。4種類の麦芽をブレンドし、黒ビールのテイストを実現。
55ホッピー
発売55周年を記念して発売。麦芽使用率100%、海洋深層水を一部使用、醸造時間も通常の倍かけて熟成した。
こんな環境だから外に飲みに行けない。だったら家飲み用ということで購入。普通の白よりやや甘口。好みはわかれるかも。
引用:Amazon
アルコール度数:0.8%
容量:330ml
カロリー:11kcal
参考価格:4,227円(24本)
Amazonの購入ページ
ホッピー330
家庭向け販売用に開発されたリサイクルボトル仕様。中身は店舗用と同じ。ポップなラベルが人気。
ビールだと重い、けど少し軽い感じの飲みやすさがホッピーの良い所だと思います。量がもう少し多ければ言う事無しかなと思いました。
引用:Amazon
アルコール度数:0.8%
容量:330ml
カロリー:11kcal
参考価格:2,827円(24本)
Amazonの購入ページ
ホッピーブラック
こちらも家庭用に発売された黒ホッピー。香ばしさと苦みの程よいバランス、まろやかな甘みがクセになる。
いつもビールばかり飲んでいた私が焼き鳥屋で薦められて飲んでから大ハマりです。白も飲んでみましたが、私は黒の方が好きです。プリン体がないのも嬉しい。
引用:Amazon
シャリ金のパウチも試して大好きですが、やや高い。白玉焼酎の一升瓶を買って飲んでます。ビールが好きで尿酸値が高めの方などオススメです。
アルコール度数:0.8%
容量:330ml
カロリー:12kcal
参考価格:3,301円(24本)
Amazonの購入ページ
ホッピーが愛され続ける3つの理由
ホッピーが人気の理由は大きく3つある。ホッピーは一般消費者だけでなく、飲食店からも愛され続けている飲み物だ。ぜひ以下の魅力を確認してほしい。
- 低カロリー・低糖質・プリン体0
- ラインナップが充実している
- 提供されている飲食店が多い
それぞれのポイントを1つずつ解説する。
低カロリー・低糖質・プリン体0
1つ目の魅力は、低カロリーかつ低糖質、そしてプリン体が0なことだ。ホッピーのカロリーは100mlあたり約11キロカロリーというヘルシーさ。一般的なビールと比べて、約4分の1ほどのカロリーしかない。
また、糖質は100mlあたり約1.7gしかなく、プリン体も0で痛風や高尿酸血症のリスクを抑えられる。これらのことから、健康を気にする人にとってホッピーは強い味方となるはずだ。
ラインナップが充実している
ラインナップが充実していることも、ホッピーの魅力と言える。前述した通り、ホッピーにはオリジナルの銘柄から味わい深い黒ホッピー、家庭向けのホッピー330など、さまざまな銘柄がある。
多種多様な銘柄が展開されていることから、消費者は飽きずにホッピーを楽しむことができる。その一方で飲食店はメニューを広げやすく、消費者にアレンジを加えて提供しやすい。消費者と飲食店の両方にとっての魅力だと言える。
提供されている飲食店が多い
消費者にとっては、提供されている飲食店が多いこともメリットだと言える。ホッピーは割材として人気の飲み物ではあるが、製法はビールと同じなので、そのまま冷やして提供することもできる。
飲食店でホッピーを取り扱えば、顧客の満足度を高められるだけでなく、オペレーションの効率化にもつながるのだ。古くから飲食店に愛され続けるホッピーは、多くの店舗で気軽に楽しむことができる。
ホッピーのおいしい飲み方|基本的な3つのスタイル
ホッピーのおいしい飲み方として、以下3つの基本スタイルを紹介する。アレンジレシピを確認する前に、まずは基本的なスタイルを押さえておこう。
- ハーフ&ハーフ
- 三冷ホッピー
- シャリキンホッピー
各スタイルを順番に見ていこう。
ハーフ&ハーフ
ハーフ&ハーフは、オリジナルのホッピーと黒ホッピーを1:1で注ぐ飲み方だ。オリジナルのホッピーをそのまま飲む場合とは、少し違った味わいを楽しめる。
和・洋・中の、どの料理とも相性が良く、家庭料理にもマッチする。飲食店で楽しむ場合は2本注文する必要があるが、2人でシェアすれば友好関係を深められるだろう。
三冷ホッピー
三冷ホッピーという飲み方もある。三冷ホッピーとは、ジョッキ・焼酎・ホッピーの3つを十分に冷やして楽しむ方法だ。
ホッピーをおいしく飲むためには、各材料をキンキンに冷やす必要がある。そして最もおいしいと言われているのが、ジョッキを凍らせる1冷・2冷という飲み方だ。
家庭では自分好みにアレンジしやすいが、飲食店では基本的な提供方法が固定されているため、要望が必ず通るとは限らない。その場合は、ぜひ自宅で三冷ホッピーを試してほしい。
シャリキンホッピー
3つ目のスタイルとして、シャリキンホッピーが挙げられる。シャリキンホッピーは別名「シャリシャリホッピー」とも言われる。
その名前の通り、凍らせた焼酎とホッピーを合わせて、シャリシャリのホッピーを楽しむという飲み方だ。名前の由来は、ホッピーと相性が良い「金宮焼酎」がこのスタイルを始めたためだと言われている。
ホッピーを使ったおすすめのアレンジレシピ5選
最後に、ホッピーを使ったおすすめのアレンジレシピを5つ紹介する。アレンジレシピを採用している飲食店もあるが、数が限られているため、できれば自宅で以下のアレンジレシピを試してみてほしい。
- ホッピー オン ザ スカイ(ホッピー×ジン)
- ホッピーラブ(ホッピー×カシスリキュール)
- ロティ(ホッピーブラック×アイスコーヒー)
- 赤坂リバティ(ホッピーブラック×ラム)
- クロウメP(ホッピーブラック×梅酒)
各レシピを1つずつ解説していく。
ホッピー オン ザ スカイ(ホッピー×ジン)
そよ風のような爽やかな味わいが楽しめる「ホッピー オン ザ スカイ」。ホッピーとジンをおよそ10:1で割って作るカクテルレシピだ。グラスをしっかりと冷やしておくことで、爽快感をさらに高めることができる
【材料】
- ホッピー:330ml
- ジン:30ml
- ライム:1片
【作り方】
- よく冷やしたグラスにジンを注ぐ
- そこに勢いよくホッピーを注ぎ、ライムを添えたら完成
ホッピーラブ(ホッピー×カシスリキュール)
2つ目のおすすめレシピは、ホッピーとカシスリキュールを混ぜた「ホッピーラブ」だ。甘くて濃厚な味わいが楽しめる本カクテルは、女性にも人気が高い。お酒のアルコール感が苦手でも、甘さが際立っているためゴクゴクと楽しめるはずだ。
【材料】
- ホッピー:330ml
- カシスリキュール:30ml
【作り方】
- よく冷やしたグラスにカシスリキュールを注ぐ
- そこに勢いよくホッピーを注げば完成
ロティ(ホッピーブラック×アイスコーヒー)
低アルコールで大人の風味を楽しめる「ロティ」。ホッピーとアイスコーヒーを混ぜるだけなので、家庭でも簡単に作ることができる。コーヒー豆の奥深さが加わり、ホッピーブラックの味わいがさらに濃厚なものになる。
【材料】
- ホッピーブラック:330ml
- アイスコーヒー:60ml
【作り方】
- よく冷やしたグラスにアイスコーヒーを注ぐ
- そこに勢いよくホッピーブラックを注げば完成
赤坂リバティ(ホッピーブラック×ラム)
風味豊かなホッピーブラックにラムをちょこっと加える「赤坂リバティ」。ラムの甘さが加わり、スパイシーかつ濃厚な味わいに仕上がる。チェリーを添えれば、バーで飲むようなおしゃれな雰囲気を演出できる。
【材料】
- ホッピーブラック:330ml
- ラム:30ml
- 缶詰チェリー1個
【作り方】
- よく冷やしたグラスにラムを注ぐ
- そこに勢いよくホッピーブラックを注ぎ、チェリーを添えれば完成
クロウメP(ホッピーブラック×梅酒)
ホッピーブラックと梅酒をかけ合わせた「クロウメP」。梅酒の酸味がちょこっと加わり、ホッピーブラックの良きアクセントとなる。夜中に眠気が来ないときなど、しっとりな夜のお供におすすめ。
【材料】
- ホッピーブラック:330ml
- 梅酒:45ml
- 梅:一粒
【作り方】
- よく冷やしたグラスに梅酒を注ぎ、梅を一粒入れる
- そこに勢いよくホッピーブラックを注げば完成
まとめ
今回は、一般消費者と飲食店の両方に愛され続けるホッピーについて解説した。
ホッピーは麦芽とホップで作られたビアテイストの清涼飲料水であり、アルコール度数は0.8%とかなり低いのが特徴的。アルコール度数が低いがゆえに、お酒が苦手な人でも飲みやすく、カクテルの割材として活用できる。
本記事ではホッピーの基本レシピとカクテルレシピを紹介したが、さまざまなアルコールと相性が良いため、組み合わせ方は無限大である。ぜひ自分だけのオリジナルカクテルを見つけてみてほしい。
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