79432雑誌「男の隠れ家」編集部が選んだいいもの。美しい江戸切子のロックグラス

雑誌「男の隠れ家」編集部が選んだいいもの。美しい江戸切子のロックグラス

男の隠れ家編集部
編集部

■職人の繊細なカットから生み出される、美しい江戸切子のロックグラス

●TSUCHI-YA(東京都)× 唯千

TSUCHI-YAオリジナルの江戸切子「室町硝子工芸」は職人とデザイナーの特別な関係から成り立っている。建築学科出身の元ランドセル職人が切子の技術を学び、試作切子職人として商品開発を行う。

「こんな複雑なデザインは普段自分たちでは絶対やらない」と江戸切子の職人たちをも唸らせる難易度が高い作りのグラスは他と一線を画す。

職人たちも負けていない。グラス側面にスッと伸びる美しい切り込みのラインは、光を受けると凛とした涼やかな光を放つ。

工房での作業は手元を明るく照らして行われる。溝が均等に入っているか、ガラスに光を通して確かめながら丹念に削っていく。

これは「ダイヤモンドホイール」と呼ばれる専用の機械を使用し、約3㎜間隔で均一に刻み込んでいく。手がける職人曰く、一定に淀みなくカットしていく技術こそ、最も難しく、そして美しさにつながる大事なポイントだという。

さらにベースとなるグラスは職人が息を吹き込んで作るため、わずかではあるものの形や厚みに個体差が生じる。その微妙に違うグラスを一定でカットしていく作業は、機械では対応できない。職人がグラスそれぞれの個体差に合わせたカットを絶妙な加減で行っていくのだ。

また機械では溝のあるグラスを作る時、多くの場合で「プレス加工」という方法をとる。これは模様を入れた金型にガラスを流し込んで成形するやり方のため、溝の先端が丸みを帯びがちになる。

TSUCHI-YAの特徴的なデザインは加工の難易度が高い。デザインを最も美しく表現できる切子職人が特別なグラスを生み出す。

しかし、TSUCHI-YAの江戸切子は手仕事ならではのエッジの効いたカットに仕上がっている。

ロックタンブラーの「唯千」は着物などの染物にみられる「千筋」と呼ばれる技法から着想を得たデザイン。

特に側面のカットは約3㎜と細かく均等であるため、高い技術を要する。一定間隔に刻まれる細かな縞模様は、少しでも手元が揺らぐと台無しに。職人は息を殺すように作業をする。

これらの相当な努力と高い技術があってこそ、TSUCHI-YAの追求する美しさは江戸切子として形になるのだ。

【商品概要】
製品名:唯千
価 格:2万7500円
サイズ:幅90×奥行き90×高さ82mm
重量:約418g
容量:250㎖
※サイズ、重量は目安となり個体差があります。

TSUCHI-YA(つちや)
東京都台東区西浅草2-5-4
TEL:03-6555-2270
公式HP:TSUCHI-YA

江戸切子だけでなく、日本全国の作家のガラスの器と工芸品の数々を取り扱う。プロデュースは土屋鞄製造所。

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