「後世に何かを繋げたい」と
築180年の古民家に住まう

東に南アルプス、西に中央アルプスを望む伊那谷の山村。その小さな集落にどっしりと佇む築180年ほどの古民家を1年4カ月かけてリフォームしている小商い農家のショージさん。

以前は首都圏で化粧品会社に勤めていたが東日本大震災後、食の安全などについて考えるうちに、農業に強く惹かれるようになる。

縁あって地域おこし協力隊員となったショージさんは、村役場で働きながら地域に溶け込んでいき、移住して炭を焼いたり、蕎麦や自然薯、ワイン用ブドウなどを栽培する小商い農家になることを決意。

その際、地区の方から紹介されたのがこの古民家だった。神様でも住んでいそうな古くて大きな家の存在感に圧倒されながらも、リフォームを開始。

思いのほか昔ながらの状態で家屋が保たれていたため、その良さを引き継ごうとDIYに使う素材は極力、周囲にあるものや廃材を使用している。

「土壁は下地となる竹木舞を組むことから始まり、近くの山から山砂や土をもらって練り、竹木舞の上から塗っていきました。土間も同じように手仕事で仕上げています。昔の人々はそうやって周囲のもので衣食住を賄っていた。そんな歴史を胸に刻み、ここに住みながら少しずつリフォームしています」

大きな家ゆえ、知人の間から参加人を募り、ワークショップ形式の共同作業も進めたが、皆が初体験者ということもあり、失敗は数知れず。

「土間の三和土をやった際、始めのほうと最後のほうで出来具合が全く違ってしまいました。始めのほうはボロボロになり、叩き直しました」

試行錯誤はあるものの、古民家のリフォームを通して知り合いが増えたのは、ショージさんにとってかけがえのない収穫だったという。

DIYを終えたのは約2割で、現在も必要に応じて参加者を募り、古民家や農業、田舎暮らしに興味を持つ仲間が集っている。

ここでは、DIYが築いた人と人のつながりが、山村文化を後世へと繋ぐ架け橋となっている。