97336昭和然とした絢爛な装飾「イーグル」(新宿)|フードを愉しむBAR

昭和然とした絢爛な装飾「イーグル」(新宿)|フードを愉しむBAR

男の隠れ家編集部
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■進駐軍の文化を伝えた料理自慢の社交場

BARTENDER
上原 幸雄さん(バーテンダー歴37年)

人肌恋しい冬は、新宿の雑踏にもなんだか嬉しさを覚える。新宿駅東口からアルタ裏へ抜けると、ビルの地下に、昭和の風情をたたえる琥珀色の空間が広がっている。

ゼブラウッドを使用したカウンターに座ると、艶やかな机上にシャンデリアが映り込む。ぜいたくな空間で時の流れを愉しみたい。

「イーグル」は昭和41年(1966)創業。地下1階はヨーロッパの城を、地下2階は客船をイメージしたという内装は当時のままだ。

福島の白河石を積み上げた壁、豪奢なシャンデリアに古き良き時代が偲ばれる。地下1階のカウンターに座り、まずはカクテルを1杯。シェーカーの中で躍る氷が、ホールに反響する音も小気味良い。

朗らかな笑顔が印象的なマネージャーの上原幸雄さんは、入店38年目の超ベテラン。

「お酒を勉強してみようと軽い気持ちで入ったら、バブル期で夜中まで、まぁ忙しい。辞めてやるぞと毎日思っていましたね」と笑う。

そんな上原さんを支えたのは、同年代の仲間との男くさくも楽しい社員寮生活だったと、思い出を振り返る。

この店はコックが作る料理も自慢だ。先代オーナーは進駐軍の将校クラブで働いた料理人。

「昔の日本は酒なら酒、ご飯ならご飯と分けていたらしいですが、それを同時に愉しむ向こうの文化に衝撃を受けたと聞いています」。これは商売になると自身で店を開き、酒に合う料理を充実させていった。

ビーフストロガノフ (2310円)。濃厚なビーフストロガノフのほか、カクテルに合う洋風カニミソバターなど、料理が充実。

店の名物は“ビーフストロガノフ”。自家製のデミグラスソースと牛ヒレ肉を使った一皿は、まったりと濃厚でクリーミー。サフランライスを添えるのがオリジナルだ。

昔は先代オーナーの言いつけで、スプーンではなく必ずフォークを出したとか。「その美味しさに、すぐかき込んでしまうから」と伝え聞くバーテンダーもいる。

ひと通り話を聞き終えたとき、横に座っていた先客の男性が「上原さんも偉くなったね」と笑いかけた。

大学生の頃、「こういう店で勉強しなさい」と母親に連れられて以来、息子と三世代で通っているという。

ホールを見渡せば、紳士淑女のほか、若い世代や外国人も、愉しそうに時を過ごしている。7店舗あった系列店は、現在ここだけに。こんな都会の社交場には、いつまでも残っていてほしい。

豪華なシャンデリアや、イーグル(ワシ)をあしらった紋章の飾りが、まるで西洋の古城のような雰囲気を盛り上げる。

■冬の一杯

山崎12年 (1980円)

イーグルはサントリー指定の優良モデル店。今や入手困難となった「山崎12年」も適正価格で味わえる。日本らしい繊細なシングルモルトのファンは多い。

イーグル
東京都新宿区新宿3-24-11
関根ビル 地下1・2F
TEL:03-3354-7700
チャージ:660円 席数:50席
営業時間: 17:00~22:45
定休日:月曜
アクセス: JR「新宿駅」より徒歩約5分

文/中村さやか 撮影/むかのけんじ

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