<今回教わった先生>
ブッシュクラフトの第一人者
川口 拓さん

1990年代より北米を幾度となく訪れ、ネイティブアメリカンの古来の教えやサバイバル技術など、アウトドアスキルを磨く。2001年に自然体験プログラムを実施する自然学校「WILD AND NATIVE」を主催し、2013年には「危機管理リーダー教育協会」を設立。サバイバル技術を幅広い人々と共有している。著書が好評発売中。

※この体験講座は川口氏の指導のもと、定められた場所にて行われています。勝手に山へ立ち入って樹木を伐採したり、直火で焚き火などは行わないでください。

先入観を打ち砕くゆるさ、正真正銘サバイバル体験

ライフラインを絶たれた時、果たしてどのように行動できるだろう。生きるためには何が必要か? 備蓄食材や飲料、防災セットは自宅にキープしてあるが、イザという時の対応に自信がある人はいかほどか?

今回体験したブッシュクラフトアドバイザー認定講座の内容は、シンプルに言えば「サバイバル技術の取得」である。さぞかし屈強な体躯の参加者だらけかと思っていたが、私を含めてカジュアルなルックスの人ばかり。

主催の川口さんいわく「言葉の妙もあるかもしれませんが、“サバイバル”だと拒否反応を示す人が多かったのかな。数年前までは自衛官など武闘派系の参加者がほとんどだったのは事実です」とのこと。実施会場は茨城県にもかかわらず、はるばる九州から訪れた人まで! 注目度の高さがうかがえる。

まずは室内で4~5名1組の班を作り、サバイバルの基礎知識を学ぶ。生き残るために必要な順序として提示されたワードは「空気」「シェルター」「水」「火」「食」。ディスカッションをしつつ、ワークショップ形式で、それぞれの持つ意味、重要性を頭にインプットする。

あとはほぼ屋外での実技となるが、ひと作業の前に必ず川口さんによる丁寧な解説が入る。ナイフの使い方、焚き火の着火法、森の歩き方などなど、非常に濃密なサバイバル技術の数々。決して急がず、体力の消費を抑えて身を守るための術が、自然と身に付いていくのを実感する。

ふと、生き残るための順序を反芻すると「なるほど」と合点がいく。受講後私は、早速モーラナイフを購入。自然環境のなかで身を守るというより「己の力を磨きたい」と直感したのだ。気軽に楽しみ、サバイバル技術が身に付くブッシュクラフト。完全に、その虜になったのである。

DAY1:座学と屋外実践

生き残る術を知り、必要最小限の道具を携え、自然の中で材を入手し加工する。自然の中で、楽しく知識と技術が身に付く。

■持ち物リスト
・ナイフ(無料レンタルあり)
・タープ(180×240㎝程度)
・コッヘル
・割れない食器(飯用・汁用)&カップ
・懐中電灯やヘッドランプ
・雨具&洗面道具
・テント&寝袋(外で寝る場合)など

▶︎11:45 雨でも安心のレクチャールームへ

雨の中、プログラム実施会場に到着。キャンプ場内の体験交流館にて昼食後、参加者の班分けをする。

▶︎13:00 講習開始!まずは基礎から

基礎を知れば災害時でも冷静でいられる!

ユニークな話術で参加者の心を掴む川口さん。ライフラインから孤立した時どう行動する? と各班に課題を出す。

このボードの文字は、生き残るために必要な5つの要素。班ごとに議論して優先順位を考える。正解は空気、シェルター、水、火、食の順序だという。

▶︎14:00 ロープワークの練習

シェルター作りに必要なロープワークを4種、体と脳にたたき込む。写真はパイプ椅子を使った自在結びの様子だ。

イザというとき役立つ!

▶︎15:00 ナイフを使ってペグを作る

雨がやんだので屋外へ。ナイフの使い方のレクチャーを受けた後、実践。ブッシュクラフトに好適なモーラナイフを使い、枝に平らな面、尖った先、ロープを引っかける凹みをつけてオリジナルのペグを作る。

ちょうどいい木を探す。
ナイフの扱い方を一から教わって実践。
なんとか完成!

▶︎16:00 ロープとシートでシェルター作り

1.8×2.7mのシート、枝、ロープでシェルターを作る。ロープワークで学んだ技術を使い、後方2点をツー・ハーフ・ヒッチ&自在結び。前方2点はハトメをツー・ハーフ・ヒッチし太い枝を巻き結び、自在結びで張った。

参加者の皆さん黙々と挑戦。
さっき作ったペグを使う。
ロープと枝でシェルターを作る。

▶︎18:00 初日を終えて晩ご飯!

巨大寸胴で大量に作られた具だくさんのキムチ鍋。サバイバルにおいて安全・簡単な調理法が煮ることだと川口さんは説く。辛くてウマい!

▶︎20:00 夜はテントでゆっくり休む

シェルターを作ったがそこで眠る度胸、スキルがない。しかし外では眠りたい。ということで、キャンプ指定地にてテント泊。早めの就寝で明日に備える。

DAY2:応用ワザを習得

この日はほぼ実践がメイン。シェルター内を快適仕様にするテクニック、焚き火の着火法、マルチに使える三脚作りなどの応用ワザを習得。

▶︎09:00 本日も座学からスタート!

室内にて自然環境の違いや状況に応じてシェルター形状を変える必要性や、体温維持の重要性について解説。

▶︎10:00 良い枝を探して森へ入る

薪やベンチ用の材料を探しに裏山へ。どれほどの材が必要か? 枯れ枝の太さや長さを見極める面白さがある。

▶︎10:30 座り心地の良いベンチを作る

井桁型に太い枝を組み、その上にやや細い枝をイカダ状に配置すれば簡易ベンチができる。防虫・抗菌効果のある杉や松の葉を敷き完成。

▶︎11:45 土を掘って焚き火とサンドイッチで昼食

直径30cm・深さ10cmほどの穴を掘り、差し掛け型で薪を組んでマッチで着火。丸めた杉の枯れ葉がよく乾燥しており、程なくいい炎を上げた。これでベーコンを炙る。焦げて燻されて最高にウマい!

▶︎13:30 松の葉でティータイム

松の葉を生でかじると、酸っぱい!ビタミンC補給にお試しを。鍋の湯に松の葉を入れてフタをし、20分ほど蒸らすと松の葉茶が完成。夏は発汗を促し、体温調節に最適。

▶︎14:15 ロープワークで三脚作り

やや太めの枝を3本長さをそろえて用意し、ロープではさみ縛りをして結ぶ。2脚の三脚を作り、その上部に横枝を載せると吊り下げ調理などができる。

▶︎15:00 キレイに片付けてカリキュラム修了

シェルターを畳み、火を燃やしきり、炭を石で細かく潰して周囲に撒く。地面を極力元通りにして撤収完了。

【番外編1】ワイルドに!! コーヒーを美味しく淹れる

①鍋に湯を沸かす。
③蓋をして10分ほど蒸らす。
②そこにコーヒー粉を多めに投入。
④太めの枝で鍋の横をコンコン叩き、上澄みの粉を底部に落とせば完成。

フィルターを介さずに鍋だけで手軽かつ簡単に、ワイルド&ストロングなコーヒーが味わえるのである。

【番外編2】小さいけれど命を守る焚き火の方法

今回教えていただいたのは、小さな火床で効率的に燃焼させる差し掛け型。よく乾燥している木が最良ではあるが、大小の枯れ枝や枯葉、それにマッチさえあれば誰でも火は起こせる。

①ベースになるよう土を掘り、ならす。掘った土は土手のように盛る。
②木は鉛筆の芯ほどの太さから4種類くらいのサイズで準備する。
③一番内側に敷き詰めた松などの枯葉にマッチで火をつける。
④徐々に太い木へ火がつき始めたら、風を送って炎を安定させる。
⑤太めの枝で五徳を作り、お湯を沸かすことができたら完璧!

◆参加した講座(2017年取材時)

CMLE認定 ブッシュクラフトアドバイザー資格認定講座
―ゼロから学ぶアウトドアサバイバル―

川口拓氏が主催するこの講座は、「サバイバル=極限状況」などという肉体的・精神的な厳しさはない。ロープワーク、ナイフの使い方、シェルターの使い方、焚き火の方法などまずは最低限のサバイバル技術を楽しく身につけられるのだ。

一般社団法人危機管理リーダー教育協会
WILD AND NATIVE

※2017年取材 

※この体験講座は川口氏の指導のもと、定められた場所にて行われています。勝手に山へ立ち入って樹木を伐採したり、直火で焚き火などは行わないでください。

文/真田崇史