自分の愛車がそのままホテルとなる。それが車中泊。5年ほど前から流行り始めた新たな旅行スタイルを今回特集。日本全国を巡る達人に話を伺った。
(※その他の写真は【関連画像】を参照)
※この記事は2025年12月号に掲載されたものです。
【教えてくれた人】
「くるま旅クラブ」事務局長 山縣麻人さん
8年前に家を断捨離して、妻と日本一周を体験。今はユーザー団体の「くるま旅クラブ」にて車中泊の楽しく正しい情報を発信している。印象深いスポットは、「日本一危険な神社」と称される北海道の太田山神社。
■昼は走り、夜は寝る。愛車がそのまま宿になる
ここ5年ほど前より「車中泊」がブームになっている。「バンライフ」とも呼ばれるが、愛車をそのまま夜の宿として、昼は走って観光を楽しみ、夜は愛車をそのまま寝床にして泊まる。
そして朝を迎えれば車内で身支度に食事を済ませ、また走り出す……そんなライフスタイル&観光スタイルだ。
「定年後のセカンドライフとして、さらには若い人も増えています。愛好者の層は厚いですね。朝起きたら目的地、旅程の自然と時間にじかに触れあえる、それが車中泊の魅力です。」
「くるま旅クラブ」の事務局長を務める山縣麻人さんは語る。だが車中泊、自家用車でただ繰り出せばいいというものではない。車中泊に向かない車種、あるいは車中泊ならではの悩みというものもある。
だから最初から計画を立てて車内を「車中泊向け」にアレンジし、衣食住のすべてを車内で整えられるようにする。旅は行き当たりばったりではなく、宿泊場所を見据えてスケジュール計画を立てる。用意が整えば楽しいフィールド、日本一周へ!

■まずはここから「車中泊の基礎知識」
クルマの中に泊まれば車中泊。だが運転にマナーがあるのと同様、車中泊にもマナーがある。クルマゆえのデメリットもある。その点を学ぼう。
■① 車中泊のメリット&デメリット
時間の制約が少ない旅行を自由に計画できる
●メリット
車中泊の長所は、なんといっても愛車で、好きな道を走って好きな場所に行き、そして好きな場所に泊まれること。チェックイン時間も宿泊費用も関係ない。
最大のメリットは、ペットを旅に同伴できること。ホテルや旅館がペット同伴を拒否する場合が多く、ペットホテルは高価。だが車中泊では愛犬、愛猫に新世界を伝えられる。
●デメリット
クルマは「泊まる・住む」ために設計されたものではない。車内を車中泊用に改造しても自宅以上に「便利な衣食住」を整えることができない。
そして「密閉空間」であることから、人間関係のトラブルにはとにかく気を使いたい。そして車中泊……家を空けていることから「留守宅の防犯対策」にも留意しなければならない。
■② 車中泊をする場所の選び方
どこで車中泊をする?
自由な車中泊……だが車中泊とはいえ、好きな場所に勝手に停まって泊まればいいものではない。路上駐車での車中泊は論外だが、「道の駅」の駐車場も「休息」「仮眠」のものであり、宿泊は勧められない。
そこで活用したいのが「RVパーク」。車中泊愛好家に安全な宿泊場所を提供するための施設で、24時間トイレ使用自由、充電設備完備。またキャンプ好きな人ならば、「オートキャンプ場」の「電源スペース」を予約するのも手だ。
■初心者の3ステップ
●STEP1 自宅の駐車場
●STEP2 自宅から遠くない所
●STEP3 RVパークやオートキャンプ場
■③ 車中泊の準備
車内を車中泊前にチェックしよう
車中泊で大切なことは、最低限の衣食住を整えられる環境だ。体を伸ばして寝られるか、春夏秋冬、季節に合った寝具に衣服が用意できているか。
さらに旅に必須のスマホやパソコン充電設備があるか、あるいは食材を安全に保管できる簡易冷蔵庫やクーラーボックスがあるか……。
一度旅に出れば、車内の不備を落ち着いて直すのは難しい。前もって点検!
■出発前の事前チェック
●クルマの広さ、快適な寝床の確保
水平で、足を伸ばせる長さ、寝返りをうてる幅
●ライフラインとなる物や施設
電気や水の準備はもちろん、確保できる施設も確認
●目的地と道中のポイント
機動力や時間の余裕を生かして旅のプランを計画
■④ 車中泊の基本装備
車中泊で必要な物は?
車中泊でマストのグッズは、まずは寝具。春夏秋冬、北日本か南日本か。目的地と季節に合ったものを揃えたい。快適な睡眠が、昼間の安全運転、快適な観光になる。
夏季には車内に余計な陽光を招かないため、そして夜間に車内に点灯した折に周りから覗かれないため、そして防犯目的のためにフロントガラスのシェード、サイドのカーテンも必要。
■車中泊“三種の神器”
●その1 マット
車中泊用がベター、厚手のものが良い
●その2 シェード(カーテン)
目隠しだけでなく、保温などにも
●その3
温度設定がわかりやすい寝袋がお勧め
■⑤ 車中泊のマナー
自由な車中泊。だがクルマで泊まるにもマナーがある。どこにでもクルマは停められない。それぞれのクルマが、人がエチケットを守り快適な睡眠、さわやかな朝を!
●長期滞在は一般常識の範囲内で
快適なスポットであっても、長期滞在は禁物。周囲の迷惑になり、車中泊そのもののイメージを悪くしかねない。
●会話や音楽、ドアの開け閉めなどの音に注意!
夜は音楽を楽しみたい。だがRVパークではほかのクルマに音が伝わり安眠妨害。夜は静かに。ドアの開閉音も注意!
●溜まったゴミはきちんと持ち帰る
生活すればゴミが出る。もちろんRVパークにゴミ捨て場は備えられているが、基本ゴミは持ち帰ろう。
●車椅子ゾーンや大型車のパーキングに停めない
決して大型車両専用パーキングには停めない。それらのクルマは一般車両スペースには停められないからだ。
●アイドリングはしない。ただし命に関わる場合は…
アイドリンクをすれば騒音、排気ガスが発生する。駐車時は静かに。緊急時のエアコン使用などは致し方なし。
●火事・一酸化炭素中毒などの事故に注意!
車内調理は、カセットコンロなど「炎の出る熱源」は避けたい。火災や一酸化炭素中毒の恐れがある。
文・取材/角田陽一
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